家庭内で「老害」にならないために。子どもと接するときにやってはいけない“4つのNG行動”

家族・人間関係

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2024.08.22

老害やハラスメントが起きてしまう原因は、「距離感のバグ」にあると話すのは、“話し方のプロ”五百田達成さん。じつは親と子のあいだでも、距離感のバグが原因で関係がうまくいかなくなることもあるといいます。どのようなことなのでしょうか?

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教えてくれたのは……五百田達成さん

五百田達成さん

心理カウンセラー。米国CCE,Inc.認定 GCDFキャリアカウンセラー。
東京大学教養学部卒業後、角川書店、博報堂、博報堂生活総合研究所を経て、五百田達成事務所を設立。サラリーマンとしての実体験と豊富なカウンセリング実績に裏打ちされた、人間関係、コミュニケーションにまつわるアドバイスが好評。個人カウンセリング、セミナー、講演、執筆など、多岐にわたって活躍中。

書影

『話し方で老害になる人尊敬される人』
著者:五百田達成
価格:1,760円(税込)
発行所:ディスカヴァー・トゥエンティワン

家庭内の“老害”とは

最新刊『話し方で老害になる人尊敬される人』を刊行した“話し方のプロ”五百田達成さんは、「家庭内でも“老害”は起こる」とおっしゃいます。

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五百田さん 「『話し方で老害になる人尊敬される人』では、ビジネスシーンやママ友とのあいだ、パート仲間となど、さまざまな場面で“老害にならない”ために役立つコミュニケーション術を紹介していますが、『子どもとの会話に役立ちました』とうれしい声も届いています。老害が起こる原因は、『距離感のバグ』を起こしてしまうこと。子どもに対して『私は親なんだから』と距離を詰めすぎると、子どもから煙たがられてしまいます」

子どもと接するときに気をつけたい「4つのNG行動」

では、家庭内で老害にならないためには、子どもとどのような話し方を心がけたらいいのでしょうか。五百田さんに教えていただいた4つのNG例を紹介します。

《NG例1》「あなたのために」というフレーズを使う

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×「あなたが大人になったとき苦労しないように言ってるのよ」
×「こんなこと、お母さんくらいしか言ってあげる人いないんだからね」

このような言い方は、子どもからすれば「大きなお世話」。効果はあまり期待できません。子どもの部屋が散らかっていて片付けてほしいときは、「整理整頓したほうがあなたも気分いいでしょ?」ではなく、「部屋が散らかっていると私がイライラするから片付けて」と伝えましょう。私を主語にして伝える「I(アイ)メッセージ」は親子の会話にも役立つコミュニケーション方法です

《NG例2》注意するとき「今の若い子は〜」と枕詞をつける

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「今の子はゲームばっかりやって……」と子どもの前で嘆いていませんか? 「若い子」という言葉で一般化して決めつけるのは、目の前にいる子どもの人格・個性を認めていないといっているようなもの。世代間のズレ・ギャップを強調することになり、「お母さんにはわからないよ!」と言われることにもなりかねません。世代でくくって納得したい気持ちはグッと堪えて、子ども個人と向き合うような話し方を心がけましょう。

《NG例3》第三者の目の前で、子どもをいじる

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親戚やママ友と話しているとき、子どもの目の前で「うちの子は本当にだらしなくて」と話していませんか? たとえ愛情を込めていたとしても、子どもの目の前で、第三者に子どものネガティブな評価を話すのはNG。取引先に部下を紹介するときのようなイメージで、「〇〇なところ(ダメなところ)もあるけど、こういういいところもあるんですよ」と紹介しましょう。

《NG例4》「恋バナ」をする

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「いま付き合っている子いるの?」などのストレートな恋バナは、子どもにはふらないようにしましょう。「えっ! 付き合ってる人いないの? お母さんが若いころはね……」なんて話し方は、“ダメ”のコンボです。子どもの好きなことを話題にしたいのなら、「推しの話」がおすすめです。「いまどんな音楽聞いてるの? ちょっと教えてよ」と切り出して、もし子どもが布教してくれたら御の字ととらえましょう。

コミュニケーション方法を変えると、親子関係も変わる!

五百田さん 「『あー、お父さん/お母さん、キモい』などと言われているうちは、親子関係はまだ大丈夫。でも、キモいと言われなくなったら……関係回復は難しくなりますね。子どもが出しているサインを見逃さず、コミュニケーション方法を改めるきっかけにしてみてください」

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五百田さん 「親とは、そもそも家庭で老害にならざるを得ない存在です。『うちの親はフェアでフレンドリーなコミュニケーションをしてくれる』と思っている子どもはごくごく稀です。とはいえ、永続的に距離が近い状態だと『毒親』など違う名称がつきかねませんので、距離を詰めすぎたと気づいたら、すぐ微調整する。これを繰り返すことで、関係が徐々に正常化していくケースもあります」

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五百田さん 「とても極端な言い方にはなりますが、心の中で『子どもは私の所有物だ』と思っていても、それを表に出さないのならアリだと僕は思っています。ただ、その気持ちを出すのはグッと堪えて、コミュニケーション方法だけは変えてほしい。そうすることで、関係が良くなることはあります。より良い親になろうとすることも素敵なことですが、『コミュニケーション』というテクニックを磨いて、結果的に相手との関係が良くなれば、100万個くらいある悩みごとの1つは解決する。そうした積み重ねで、少しでもハッピーになってもらえたらと思っています」

できることから始めることで、親子関係がより良いものになる可能性があるのですね。五百田さんに教えていただいた子どもへの適切な話し方を、ぜひ試してみてください!

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