教えてくれたのは……五百田達成さん
心理カウンセラー。米国CCE,Inc.認定 GCDFキャリアカウンセラー。
東京大学教養学部卒業後、角川書店、博報堂、博報堂生活総合研究所を経て、五百田達成事務所を設立。サラリーマンとしての実体験と豊富なカウンセリング実績に裏打ちされた、人間関係、コミュニケーションにまつわるアドバイスが好評。個人カウンセリング、セミナー、講演、執筆など、多岐にわたって活躍中。
『話し方で老害になる人尊敬される人』
著者:五百田達成
価格:1,760円(税込)
発行所:ディスカヴァー・トゥエンティワン
この話し方って「老害」?
自分より若い職場の部下やママ友と雑談をしているとき、「この話し方って不適切?」「もしかして老害って思われたかな?」と気になったことはありますか? コミュニケーション心理に関する人気書籍シリーズが100万部を突破している“話し方のプロ”五百田達成さんは、「年下と接することに苦手意識を持つ人が多い」とおっしゃいます。
五百田さん 「敬語や作法など、年長者に対する話し方や接し方はある程度でき上がっているのですが、年下への接し方はいまだ確立されていないように感じます。40代女性からよく聞くのが、自分が組織で上の立場になったとき、年下の部下にどう指示を出したらいいのかわからない、という悩みです。職場でマネージャー研修を受けたけれど、できる気がしない。そんな話をよく耳にします」
五百田さん 「最近は、30代だろうが20代だろうが、なんなら大学生でも、ちょっと先輩風を吹かせると『老害だ』なんて指摘されることもあるようです。冗談ならまだいいのですが、職場でハラスメント・トラブルが起きたとなると、洒落になりません。そうした背景も、若者との話しにくさにつながっているようです」
自分の話し方は老害?今すぐチェック!
では、具体的にどのような話し方や言葉が「老害」にあたるのでしょうか? 五百田さんの最新刊『話し方で老害になる人尊敬される人』から、6つの自己診断ポイントを紹介します。
セルフチェック!「老害?」それとも「尊敬?」
1.年下の相手と話すときは
A:「私が若いころは」と自分のエピソードを話す
B:「今はどうなの?」と質問する
2.相手の話に返答するとき
A:「今の若い子は」と枕詞をつける
B:「あなたは」で会話を始める
3.してほしいことがあるときは
A:「あなたのためだから」と言う
B:「私は〇〇してほしい」と伝える
4.頼んだことが進んでいないとわかったとき
A:「聞いてない!」と怒る
B:「できることはある?」と尋ねる
5.世代間ギャップを感じる相手と話すとき
A:自分のことを「おばさん・おじさん」と言いがち
B:自分から年齢の話はしない
6.ちょっとした雑談の時間ができたときは
A:「恋バナ」をする
B:「推しの話」をする
老害・ハラスメントが起こる原因は「距離感のバグ」
セルフチェックの「A」は老害と受けとられやすい話し方、「B」は五百田さんおすすめの年下との話し方です。「A」に当てはまる数が多いほど、老害認定されやすいと考えられます。これまでの自分の行動を振り返って、背筋がゾゾっとした方も少なくないかもしれません。
五百田さん 「老害やハラスメントが起きてしまう原因は、『距離感のバグ』です。相手との距離が近すぎれば、老害と思われたり、ハラスメント・トラブルが起こりやすくなります。また、若者ぶってイタいと思われたくないからと距離を置きすぎたり遠慮しすぎたりしても、若者といい関係は築くことはできません。正しい距離感を保って、正しい話し方をすることで、良好な関係が築けます」
年下と接するときは、「距離感」に気をつけることが大事なのですね。次回は、老害に気づくサインと正しい距離感について、五百田さんに教えていただきます!