教えてくれたのは……矢吹有里先生
女性のための整形外科ゆりクリニック院長。骨太な未来プロジェクト アドバイザー。日本専門医機構整形外科専門医/ 日本骨粗鬆症学会認定医/ 日本抗加齢医学会専門医。運動器リハビリテーションから体力維持のためのトレーニングまで、女性の健康に寄り添うほか、骨粗しょう症予防を美容医療の視点から考える「骨美容」を提唱し、若い世代からの骨密度維持の大切さを啓発している。
骨密度の低下がシワやたるみの原因になることも
骨密度が低下すると、顔の骨も委縮して「骨やせ」が起こります。
顔も身体と同じように骨によって支えられているため、骨やせが起こると見た目にさまざまな変化が表れてきます。
骨密度は20歳頃がピーク!それ以降は年齢とともに低下
骨は、古い骨がこわされて新しい骨に生まれ変わる「骨代謝」という新陳代謝を、日々繰り返しています。
この骨代謝のバランスが崩れると、骨がスカスカな状態になって骨密度が低下します。
骨が生まれ変わるサイクルに大きな影響を与えるのが、女性ホルモンのエストロゲンです。
女性は更年期を迎えるとエストロゲンの分泌が減少します。そうなると、骨をこわす働きが活発になり、骨をつくるスピードが追いつかなくなるのです。それに伴い、骨密度も40歳頃から下がり始め、50代になると、ぐっと低下していきます。年齢を重ねると、若い頃のように骨密度を上げるのは難しくなります。「減ってから補う」のではなく「減らさないようにキープする」ことが重要です。
今すぐ始めたい骨美容
1.食事
丈夫な骨づくりに必要な栄養を積極的に摂りましょう。
骨を作る栄養素の代表格といえば、カルシウム。カルシウムを多く含む食品は、魚や海藻類、緑黄色野菜、牛乳・乳製品です。なかでも、牛乳、チーズやヨーグルトなどの乳製品は、調理せずにそのままでも食べやすいため、他の食品に比べて効率よく摂取できます。
ただし、カルシウムは身体に吸収されにくい成分なので、吸収を助けるビタミンDも必要です。
ビタミンDは、魚やきのこ類に多く含まれています。また、骨の代謝を助けるマグネシウムや、丈夫でしなやかな骨を作る栄養となるたんぱく質も補っていきましょう。
2.運動と日光浴
骨を強くするためには、運動も不可欠です。骨は衝撃を与えられることで骨細胞が活性化され、強い骨に生まれ変わっていきます。
まずは、ウォーキングやジョギングなどからはじめてみましょう。さらに、縄跳びなどジャンプする動きがある運動は、骨に適度な負荷がかかり骨代謝が促されます。
筋肉が強く収縮することでも骨に刺激が伝わるため、スクワットなどの筋トレやヨガなどもおすすめです。
今までまったく運動していないという人は、階段の昇り降りや散歩から始めてみましょう。
また、強くした骨を維持したり、カルシウムの吸収を助けたりするのに欠かせないビタミンDは、日の光を浴びることでも生成されます。
日焼けによるシミやそばかすなどが気になって、太陽はできるだけ浴びないようにしているかもしれませんが、それこそが骨を弱くしてしまう原因に。
日光浴といっても夏なら日陰で15分、冬場は1時間程度で良いといわれています。そこまで時間が取れなくても、朝起きて太陽を浴びる、1日数分程度など、シミが気になる顔は避けて、ベランダで日光浴するだけでも違います。
3.骨密度チェック
骨密度の低下は、見た目や症状にすぐには表れません。
知らないうちに進んでいるので、肌や髪のメンテナンスと同じように、定期的に自分の骨密度をチェックしておくことが大事です。骨密度は、健康フェア、自治体の健診、病院の整形外科などで測ることができます。 症状や見た目に表れる前の早めの対策が、何よりのエイジングケアです。