教えてくれたのは……島本美由紀さん
料理研究家・食品ロス削減アドバイザー・防災士。旅先で得たさまざまな感覚を料理や家事のアイデアに活かし、誰もがマネできるカンタンで楽しい暮らしのアイデアを提案。親しみのある明るい人柄で、テレビや雑誌、講演会を中心に多方面で活躍。「野菜保存のアイデア帖(パイ インターナショナル)」など、著書は80冊を超える。
『もしもに備える!おうち備蓄と防災のアイデア帖』(パイ インターナショナル)
著者:島本美由紀
定価:1,430円(税込)
おうち備蓄には「ローリングストック」がおすすめ
“おうち備蓄”において、おすすめな方法が「ローリングストック」です。
ローリングストックとは、普段食べているものを少し多めに買い置きし、期限の近いものから順番に消費し、食べた分を補充していく方法のこと。
常に一定量の食品が自宅に備蓄されていれば、万が一のときでも焦らずに行動でき、非常時のストレスを軽減することができます。
おうち備蓄の目安は
おうち備蓄の目安の量は「家族の人数×7日分」です。
基本的に備蓄するべき水や主食、缶詰、レトルト食品などをすでに用意している方も多いと思いますが、今回は「いざというときにあると役立つもの」をご紹介します。
家族構成や食の好みに合わせて、1週間乗りきるためには「何がどれだけ必要か」を、各ご家庭で話し合っていただけるとよいと思います。
おうち備蓄に必ず入れておきたい「6つの食品」
災害時の食事は、心身を守るためにとても大切です。6つのポイントをお伝えするので、おうち備蓄の食品選びの参考にしてみてくださいね。
1.食べ慣れているもの
ローリングストックの基本は、「日常使いできる食品」をそろえることです。日常的に食べ慣れているものであれば、災害時にもどのように活用すればよいかわかり、食べたときの安心感が得られます。普段あまり買わないものは控えめにしておきましょう。
防災用の長期保存できる食品を用意する場合は、年に一度でもいいので、防災グッズを見直す際に食べて慣れておくことが必要です。
また、常温で長期保存できる「ロングライフ紙パック」を使った食品を常備するのもおすすめです。一般的な牛乳や豆腐の賞味期限は要冷蔵で2週間程度なのに対し、ロングライフ紙パックの商品は常温で3か月保存できる牛乳、6か月保存できる豆腐が販売されています(※商品によって保存可能期間は異なります)。
普段から食材を多めに用意しておこうとすると冷蔵庫がパンパンになりますが、常温保存が可能な商品は冷蔵庫に入れる必要がなく、冷蔵庫がいっぱいになりません。紙パックでたためるので、ゴミをコンパクトにできるのもメリットですよ。
2.短時間調理できるもの
お米は、とがずに使える無洗米がおすすめ。日常的に無洗米を使っていない場合は、パックごはんでもOKです。
麺類は、短時間で調理できるものを選ぶとよいと思います。たとえば、パスタはゆで時間が3分や5分で済むものを普段から使うと便利です。そうめんはゆで時間が短く、災害時にガスの使用を節約するのにも役立ちます。
3.やわらかいもの
災害時には、硬いものはあまり食べたくなくなる傾向があると言われているため、やわらかいパンを用意しておくことをおすすめします。長期保存できる缶詰のパンを備えたり、冷凍室にパンを保存したりすると便利です。
私はジャムなどを塗った食パンをラップで包み、フリーザーバッグに入れて冷凍したサンドイッチを冷凍室に常備しています。自然解凍すれば日常的にも食べられるので、おすすめです。
4.自然解凍OKの冷凍食品
日常使いはもちろん、いざというときの備えになるので、自然解凍で食べられるおかずや野菜を用意しておくと安心です。
冷凍室での収納は「立てて収納」が鉄則。こうすることで見やすくなって探す手間を省けるので、使い忘れの防止につながります。冷気が外に出る時間を短縮できるメリットもありますよ。
停電時には、まず冷蔵室や冷凍室の中のものから使うので、入っている食材を把握しておくことも意識しておきましょう。
5.心を満たせる嗜好品
「お菓子」をおうち備蓄の食品リストに加えたのは、災害時にはお腹だけではなく、精神面を満たすことも大切だからです。甘いものは、心をホッと和ませてくれます。
甘いキャンディーやチョコレートなどのお菓子に加えて、コーヒーやハーブティーなど、自分や家族の嗜好品もぜひ一緒に備蓄しておいてくださいね。
6.季節に合ったもの
意外と見落としがちなポイントですが、夏と冬では欲しいものも変わるので食べ物にも衣替えが必要です。
夏はそのまま常温で食べたり飲んだりできるもの、冬は温かいものが欲しくなるので、お湯を注ぐだけで飲めるインスタントのスープ類などがあるとよいですよ。
日常の中にローリングストックを取り入れて、上手な“おうち備蓄”を始めてみませんか?