一人でいる時間が長いうちの子は孤立している?個性が強い?
小学校高学年ともなると、友だちのグループ化が一般的になり、子どもたちの社会的なつながりが大きな意味を持つようになります。
しかし、すべての子どもがその“グループ”に馴染めるわけではありません。
グループに入りたくてもうまく溶け込めない子もいれば、一人の時間を大切にしている子、一人で楽しんでいるのに「孤立している」と見なされてしまう子もいます。
親としては「友だちができていない」「ひとりぼっちになっている」と心配になることもありますが、実際にはその子が感じている「一人の時間」にはさまざまな形があります。
今回は、A君、Bちゃん、Cちゃんという3人の子どもを例に挙げ、それぞれに適したサポート方法を考えていきます。
孤立と個性について考え、子どもをどのように受け止めていけばよいのかを考えてみましょう。
友だちが欲しいけど、うまく話せないA君
仲良しの子が転校してしまってから、クラスの子と一言も話さず帰ってくる日もしばしばあるA君。「友だちは欲しいけど、どうしても自分から声をかけるのが怖い」と言っており、他の子たちが楽しそうにしているのを見ると、寂しく思うときもあるよう。
A君の場合は、「声をかけるのが怖い」「寂しく思う」などの気持ちがあるので、不安や寂しさを解消する手助けが必要になります。
- 担任の先生やスクールカウンセラーと相談し、話しかけやすい子と近づけてもらう。
- 今日は挨拶をする、明日はゲームの話を持ち掛けてみるなどスモールステップで関わる。
- 家で友達との会話をシミュレーションしながら親子で練習してみる。
学校でA君の様子を見ている先生や専門家に、橋渡しやサポートをしてもらうのが肝心です。
小さな成功体験を積んでいけると、少しずつ人と関わることに抵抗が少なくなっていきます。
友人からの誘いを断り、周囲から心配されているBちゃん
クラスの子から外遊びやカードゲームに誘われても「私はいい」と断ることが多いBちゃん。昼休みは図書館で読書をして過ごしたり絵を描いたりしているが、特に寂しさを感じている様子もない。
親が幼少期の頃、友人に囲まれていたり、誰かといるのが当たり前だった場合、「友達がいないなんて可哀想」「うちの子大丈夫かな?」と心配になりやすいもの。
ですが、小学校高学年くらいになり、自我がしっかりしてくると、「自分は一人の時間も大切にしたい」と表現できる子もでてきます。
「みんなと同じでないといけない」と親が押し付けるのではなく、その子の個性を生かしたサポートを行うのがおすすめです。
- 一人の時間をより充実したものにできるよう、サポートする。
- 一人で行った活動についても、家族で「今日はどんなものを作った? 何を見た?」などシェアする。
一人の時間を充実させてしまったら、より一人で過ごす時間が長くなってしまうのではと考える方も多いようです。
しかし実際は逆で、一人時間を思う存分楽しむことができたら、心に余裕ができ、他の人との関わりにも関心を向けやすくなるんですね。
グループに入りたくても、うまく仲間に入れないCちゃん
周囲の子たちと遊びたいと思っているのに、どうしてもグループに入れずにいるCちゃん。誘われて一緒に遊んでも、何を話して良いかわからず微妙な空気になり、いまいち馴染めないよう。会話のテンポやノリがわからず、「空気が読めていない」と言われてしまったこともあるみたい。
グループに入りたい気持ちが強いCちゃんとは、グループ内での振る舞いやコミュニケーションスキルを練習するのが必要。
- 同年齢のやり取りが見られる動画を見る。
- 気の合いそうな子と1:1の関係から始められるようフォローする。
「放課後 トーク 小学生」「小学生 チャレンジ企画」などと検索すると、小学生同士のリアルなやり取りが見られます。
また、今学校で話題になっているものについて、一緒に見てみるのもよいかもしれません。
「一人でいることは寂しい」とは限らない
「一人でいる時間が長いことは、友達がいない・寂しい」と決めつけてしまうと、その子に対するフォローが求められているものとずれてしまうこともあります。
子どものペースに合わせたフォローをして、本人のペースで社会性が育つのを見守れたらいいですよね。
「孤立」しているのか、「個性」として一人でいるのかを見極め、子どもが居心地よく過ごせるようなサポートをしていけるとよいでしょう。