思春期の子どもとの会話に役立つ。心が離れる前に始めたい“夜の3分習慣”

家族・人間関係

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2025.11.09

臨床心理士・公認心理師のyukoです。思春期にさしかかると親子の会話が少しずつ減っていくもの。しかし子どもの心に消化されないモヤモヤが募っていくと親子関係もぎくしゃくしてしまいます。夜寝る前の3分の習慣を見直して、親子の心を整えていきましょう。

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「どうだった?」よりも、「どんな気持ちだった?」

「別に、話すことないし」。小6の娘は最近、話しかけてもそっけない態度ばかり。前は嬉しかったことも嫌だったことも、夕飯のときに全部話してくれたのに、最近は学校で何があったか聞いても答えなくなってきた。だけど今日は就寝前、家事をしているとき「ママはまだ寝ないの?」と気になっていた様子。手が離せず「何? 明日も早いんだから早く寝なさい」と返事してしまったけど、何か話したかったのかな。

思春期の子ども出典:stock.adobe.com

思春期に差し掛かると、「もうあまり話しかけない方がいいのかな?」と感じる親御さんも多いですが、子どもの心はまだまだ揺れやすく、感じたこととうまく向き合う力は発展途上。
学校や友達関係、習い事、家庭での役割など、日々いろいろな役割や期待の中で、子どもたちは思っている以上にがんばっています。
しかし大人のように、「今日ちょっと疲れたな」と頭の中で言葉にして整理するのは難しいもの。

干渉しすぎず、でも子どもの心に寄り添う方法を考えてみましょう。

1日の終わりの3分が親子を変える

言葉にしないまま気持ちをためこんでいると、その「もやもや」は心の中で混ざり合い、整理されないまま残ってしまいます。
たとえば、「友達に嫌なことを言われた」「先生に注意されて恥ずかしかった」など、小さな出来事でも、言葉にできないままだと「なんだか自分が悪いのかも」「うまくいかない自分が嫌だ」といった自己否定に繋がりやすくなるんです。

また、言葉にできない気持ちは、イライラ・不機嫌・無気力などの形で表に出ることもあります。
親から見ると「反抗的」「何を考えているかわからない」と感じるかもしれませんが、実はその裏には「わかってほしい」「でもうまく伝えられない」という葛藤が隠れていることも。

そこで、1日の終わりにその日の出来事を振り返り、気持ちを言葉にしてみる小さな習慣がカギとなります。

たとえば、

  • 「今日はちょっと友達の発言にイライラした」
  • 「部活は楽しかったけど、人間関係に疲れたかも」
  • 「今日の試合は序盤思うようにいかなかったけど、最後はまあよかった」

会話する2人出典:stock.adobe.com

肝心なのは、「何があったか」ではなく「どう感じたか」に目を向けること。
これを親子の会話の中で促してあげられると、子どもは少しずつ自分の気持ちを理解し、安心して表現できるようになっていきます。

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「がんばったね」の一言も忘れずに

子どもにとっての「がんばったね」は、これは“何かできたとき”だけに与えられるべき言葉ではありません。
むしろ、日常の中で特別なことがなくても「今日も1日がんばったね」と伝えてあげることで、子どもは「自分には価値がある」と感じるようになるんです。

この「静かな肯定感」は、テストで点を取ることや、褒められる成果とは違って、他人の評価に左右されにくい“内側の自信”を育てていきます。

特に、寝る前というのは子どもの心がゆるみ、1日の記憶や感情を整理する大切な時間帯。
ここで親からのやさしい言葉をもらえると、そのまま安心感として心に残り、翌朝の元気にもつながります。

忙しい日こそ「3分」でいい

子育ての毎日は慌ただしいものですが「今日、どうだった?」「どんな気持ちだった?」「今日もよくがんばったね」と3分のやりとりを取り入れてみるのがおすすめです。
子どもの気持ちに寄り添うだけで、その日が“意味のある1日”になっていくんですね。

笑顔で会話する親子出典:stock.adobe.com

感情にフタをしない、無理にポジティブにもしない。
ただ、そのままの気持ちを受け止めてもらえることで、子どもは「自分でいていいんだ」と感じられます。
ママ・パパからの「今日もよくがんばった」が、のちのち「今日も自分はよくがんばった」と思う気持ちに繋がっていきます。
親子でお互いを労う3分間をぜひ作ってみてください。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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