「ショート動画ばかり…」子どもの視野が狭くなる?アルゴリズム時代に親ができる“3つの工夫”

家族・人間関係

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2026.03.22

臨床心理士・公認心理師のyukoです。SNSを開いたら流れ続ける関連動画や情報の山。大人も子どもも「自分の興味に偏ったアルゴリズムの世界」を生きています。そんな今だからこそ取り入れたい「セレンディピティ(偶然の出会い)」。子どもの視野を広げるためのちょっとした工夫を考えます。

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流れてくる動画を淡々と見続けるわが子を見て不安になる

小学5年生の息子は今日もひたすらショート動画を次々にスワイプしている。ゲーム実況、ダンス動画、食べ物を咀嚼している動画。しばらく横で見ていると、おすすめ欄にも、次に流れてくる動画にも、似たようなジャンルのものばかりが並んでいる。「ずっと見てるけど面白いの?」と尋ねると「これしか出てこないんだもん」と無心にスワイプを続けている。「この子の見てる世界は、狭いのでは?」と感じたけど、今時はそういうものなのかな。

寝転ぶ子ども出典:stock.adobe.com

スマホが普及する前、多くの人はどのように暇をつぶしていたのでしょうか。

  • つけっぱなしのTVをぼんやり見ていたら、見たことのないジャンルの世界に触れられた。
  • 夏休み、涼みに図書館に行って、たまたま手に取った漫画が面白かった。
  • あてもなく散歩していたら、知らない通りや町が続いていて意外と楽しかった。

スマホがあまりにも便利すぎる今の時代。
子どもだけではなく、大人もこのような「偶然の発見」や「意外な出会い」を失っているのではないでしょうか。

親子で視野を広げるための「予想外の出会い」について、考えていきます。

見たいものだけが集まるアルゴリズムの時代

今は、情報の多くがアルゴリズムによって整理されています。
動画サイトもSNSも、「その人が好きそうなもの」を優先的に表示しますよね。

これは便利な仕組みである一方、見たいものしか見ない環境をつくりやすいという特徴もあります。
すると子どもは、知らないうちに「好きなこと」「知っていること」だけで世界を捉えるようになります。

ヘッドホンをする子ども出典:stock.adobe.com

スマホやインターネットによって、手に入れられる世界は広がったはずなのに、視野が逆に狭まってしまう矛盾。
少し前は、意図せずに生まれていた「偶然の出会い」を、今は意識的に作らなければ得られなくなっているんですね。

そのため家庭の中では、子どもの視野を広げるためのちょっとした工夫を取り入れるのがおすすめです。

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家庭でできる「セレンディピティ」のつくり方

「なんとなく本棚」を置いておく

子どもがお気に入りの本を詰め込んだ、子ども専用本棚を作ってあげているご家庭は多いかもしれません。
もちろんよいのですが、おすすめは「なんとなく本棚」を隣に置いておくこと。

  • 最近買った雑誌
  • 親子で興味を持てそうな図鑑や写真集
  • 親が昔はまった漫画

立派な本棚をわざわざ買う必要はありません。
ちょっとした机に積み上げておく、小さいマガジンラックやブックシェルフをリビングに置いておく程度で大丈夫。

ポイントは、「子どもに読んでほしい」と思いすぎないこと。
病院や歯医者で見かけたら暇つぶしに読む程度のものを置いておくのがおすすめです。

会話に“知らない世界”を混ぜる

家庭の会話も、実は大きな入り口です。

たとえばニュースを見て

  • 「今日は月にロケットが行った日らしいよ」
  • 「世界で一番寒い場所って知ってる?」
  • 「この国はどの地域にあるのかな」

こんな雑談でも十分です。

会話する親子出典:stock.adobe.com

ポイントは、説明しすぎないこと。
知識の授業にしてしまうと、子どもは構えてしまいます。

「なんとなく」TVやPodcastを流して、「なんとなく」一緒に目にしたり耳に入れて、「なんとなく」会話を始める。
何気なさが、偶然の興味に繋がっていきます。

「ついでの体験」を作る

視野を広げる体験というと、
博物館や特別なイベントを想像するかもしれません。

もちろんそれもよいのですが、もっと効果的なのはついでの体験です。

たとえば

  • 図書館に行ったついでに知らない本棚を見る
  • 旅行先で地元の資料館に10分寄る
  • スーパーで海外の食材を見てみる

こうした小さな経験が、子どもの中で「こんな世界もあるんだ」という感覚を育てます。

美術館にいる子出典:stock.adobe.com

子どもの視野を広げたいと思うと、つい「勉強させる」「知識を教える」「経験を増やす」という方向に考えがち。
もちろんそれも大切ですが、実はもっとシンプルに日常の中に予想外を混ぜることで親子の視野は自然と広がっていきます。

「視界に入る」、「なんとなく」、「ついで」。
このような積み重ねで、子どもの世界には「自分の好きなもの」以外の扉が増えていきます。
親子でぜひ、素敵なセレンディピティを共有してみてください。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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