親の「将来困らないように」発言が子どもに与える影響

家族・人間関係

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2026.06.23

臨床心理士・公認心理師のyukoです。グローバル教育、AI、非認知能力。今の親は、子どもが将来困らないための情報に囲まれています。しかし、将来に備える会話ばかりになると、子どもは「今の自分では足りない」という感覚を持ちやすくなることも。未来への準備と、“今ここ”の安心感をどう両立するかを考えていきます。

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将来の話はもうやめて!

小6の一人娘がいる。夫は進学校出身で教育熱心。「今の時代は勉強だけじゃ厳しい」「将来困らないように力をつけておいた方がいい」とよく話している。夫の話を聞き、私も「英語は早めに対策が必要だよね」「高校受験を考えると今から準備した方がいいかも」などとよく娘に話している。しかし先日娘から「また将来の話? もう聞き飽きた。なんか考えるのも嫌になった」と言われてしまった。娘は親の考え方や不安をどう受け取っていたのだろうか。

悩む夫婦出典:stock.adobe.com

子育てをしていると、まるで鏡を見ているかのように自分の過去が映し出されることがあります。

  • 自分は親からこうした教育を受けてきた。だから娘にも同じようにしてあげたい。
  • 自分はこういう面で苦労したから、息子には同じ思いをしてほしくない。
  • 今の時代は先が見えないから、とにかく情報を集めてよい教育を受けさせなければ。

子どもの教育は一見、子どもの能力に合わせて進められていると思いがちですが、親の思いや価値観が大きく反映されています。
今回は、親が思う「将来困らないように」という考えが子どもに与える影響について考えます。

 今の親は「未来の不安」と一緒に子育てしている

  • 「将来のためにはSTEAM教育を!」
  • 「私はこうして息子を東大に入れました」
  • 「〇〇教育はもう古い。令和の〇〇式教育!」

SNSや情報誌、教育系YouTubeなど、今の親御さんはさまざまな情報があふれるなかで子育てをしています。
その結果、親は自然と子どもの10年後を見ながら子育てするようになりました。

もちろん悪いことではないのですが、親が将来を心配するあまり、子ども自身も“まだ起きていない問題”を考えるようになることがあります。

たとえば、「このままで大丈夫かな」「もっと頑張らないといけないかな」「今の自分じゃ足りないんだ」という感覚。
親が案ずる未来の心配を、子どもが背負ってしまっているんですね。
子どもの将来と今、どちらも大切にするにはどうすればよいのでしょうか。

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子どもの「今」も「未来」も大切にするためにできること3つ

「まだ起きていない話」ばかりになっていないか確認する

将来への不安が強い家庭では、会話の主語が未来になりやすくなります。
「中学になったら」「高校受験のためには」「将来的には」「いとこのお姉ちゃんは」……。
それが毎日続くと、子どもの頭の中も未来への不安でいっぱいになってしまいます。

悩む子ども出典:stock.adobe.com

最近子どもとの「今」をあまり共有できていないかもと思ったら、「今日」を意識してみるのがおすすめです。
今日の給食、友達との会話、部活のプログラム、テレビ番組、職場での出来事。

意外と、今まで「今日」の話が少なかったなと感じる方も多いのではないでしょうか。

「なんでもない話」を増やす

「それ何のため?」「将来役立つ?」「意味ある?」
将来への不安が強いと、目的に重きをおいた会話ばかりになってしまいます。
ですので、時々役に立たない話を意識的に増やすのがおすすめ。

たとえば、

  • 「もし無人島に1個だけ持っていくなら?」
  • 「給食で一生一品しか食べられないなら?」
  • 「生まれ変わるなら誰の人生がいい?」

本当にどうでもいい話をしているとき、子どもは「何かの役に立つ自分」ではなく、「ただ家族と笑っている自分」でいられます。
成果も結論もいらない会話を楽しむ時間こそが、子どもにとって重要なんですね。

「役に立たない選択」を見せる

親が、「目的や成果だけを基準に動いていない姿」を見せるのも大切です。
仕事のために読む本、キャリアアップのための勉強、資金運用のための情報収集ではなく、「なんとなく楽しむ姿」です。

  • 「面白そうだから読んでみた」
  • 「なんとなく行ってみたい」
  • 「特に意味はないけどやってみる」

という選択をしている姿を見せるのがおすすめ。

飲み物を飲む女性出典:stock.adobe.com

未来への不安が強い子ほど、行動に価値や成果を求めやすくなります。
だからこそ親がたまに“役に立たないことを楽しんでいる姿”を見せることは、「人生は準備だけでできているわけではない」というメッセージになるんですね。

子どもの未来は一本の道で繋がっているわけではありません。
脇道で見つけた草花、寄り道して転んだときの傷、遠回りして見えた意外な景色。
たくさんの「無駄」が、子どもの心をより豊かにしていきます。
目的のない「今」もしっかりと味わいながら、将来を楽しみにしていけるといいですよね。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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