教えてくれたのは……抗菌博士 梶浦義浩さん
1985年、株式会社シナネンゼオミックに入社。以来、抗菌剤「ゼオミック」の研究・開発に従事。現在は同社プロジェクト担当シニアスペシャリストとして、市場開拓も担当。抗菌試験管理士、臭気判定士の資格も有する。コロナ禍で抗菌博士として講師を務める。
家の中で「菌」が一番多い場所って?
菌が好む環境とは
菌が最も好む環境は、高い湿度(60%以上)または水分、温度(20度~30度)、栄養分(食べ物のかす等)がある場所です。全ての条件が揃うのは、生ゴミがあるゴミ箱の中ということになります。しかし、ゴミ箱の中身は最終的には廃棄されるので、ニオイの問題以外は特に気にしなくてよいでしょう。
家の中で「ゴミ箱」に近い条件の場所は……ズバリ!
それは、キッチンとお風呂場です。
キッチンは、水、適した温度、食べ物かす…まさに菌が発育する好条件が揃っています。
特に食器を洗うスポンジは、水分を含み食べ物かすが付きやすいため、菌の温床になる可能性が高いと考えられます。
スポンジにつきやすい菌が及ぼす「悪影響」とは
悪影響1: ヌメリによる悪臭発生
菌類が増殖するとヌメリ(=バイオフィルム)が発生します。このバイオフィルムは、菌が産生する物質により塊ができ、この中で菌が増殖してしまいます。
また、菌はバイオフィルムによって守られているため薬剤が効きにくい状態となっています。このような菌の産生物による悪臭発生が悪影響の一つとして考えられます。
悪影響2: 不必要な菌の摂取
スポンジ内では、特定の菌種ではなくあらゆる菌が増殖する可能性があります。細菌(大腸菌等)、酵母(カンジダ等)、カビ(黒コウジカビ等)など。
バイオフィルムが発生したスポンジを使用することで、何らかの菌を知らず知らずのうちに人が口にしてしまう可能性もあります。不必要な菌を摂取することは避けた方がいいかもしれませんね。
菌の増殖を防ぐ!2つの方法
菌は湿度(水)、温度、栄養分が適量あることで、増殖します。逆を言えばこれらが無い状態を維持できれば菌の増殖を防げるのです。
しかし菌が増殖しにくい極端な低温(5度以下)や高温(50度以上)にキッチンの温度を調整するのは、現実的ではありません。
そこで温度以外の菌が好む、湿度(水)と栄養分(食べかす)の環境を改善していくことが大切です。
対策1: 水気を取り除く
使用後のスポンジはできるだけ乾燥させるのが理想です。余分な水気は拭き取り、出来るだけ水分を絞り出して、置くときはシンク等との接触面を少なくしましょう。水切れが良いように縦にしておいて下さい。
対策2: 栄養分を取り除く
食べ物のかすが付いた状態で放置すると菌が増殖してしまいます。使用後はしっかり清掃してください。
シンクの排水溝も悪臭の発生源となる可能性があります。定期的に清掃をしてバイオフィルムが発生しないようにしましょう。
抗菌博士の梶浦さんがイチオシ!キッチン菌対策アイテム
清掃をきっちり行い清潔な状態を維持すれば菌の対策となりますが、これに加えて抗菌加工した製品を使用することで、菌の増殖をより抑制することが可能になると考えられます。
まな板・スポンジは抗菌加工製品を!
まな板・スポンジは常時濡れており(水分)、食品(栄養分)との接触もあるため、菌が増殖する可能性が非常に高いアイテムです。少なくともこの2つのアイテムは抗菌加工製品を使用した方が良いと考えられます。