英語が小学校で必須科目になった今。あらためて「正しい日本語を学ぶ意味」を考える

家族・人間関係

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2022.08.18

臨床心理士・公認心理師のyukoです。社会がグローバル化するに伴い、海外進出する日本企業が年々増えています。2020年度から小学校で英語が必須科目にもなりました。英語に重きを置いた教育はますます広がっていくのではないでしょうか。一方、子どもたちの読解力低下が指摘され、国語力を問われているのも現状もあります。グローバル化社会に備えて身に着けておきたい知識について、考えていきます。

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もくじ

グローバル化社会に国語は不要?
今こそ国語力をつけるべき3つの理由
論理的な意見を述べる必要性がある
求められるのは、自国の文化を発信する力
言葉の在り方は人間関係の在り方
話す力、読む力、聞く力を育てる
話す力
読む力
聞く力
今だからこそ身につけておきたい日本語力

グローバル化社会に国語は不要?

日本語は世界の中でも特に難しく複雑な言語といわれています。
ひらがな、カタカナ、漢字の3種類を使い分け、省略された主語を探す、多くの語彙を身に着ける。
日本で育っていても、正しい日本語を理解し、使用するための学習は欠かせません。

勉強する子ども出典:stock.adobe.com

国際化が進み、英語習得の重要性が盛んに言われるようになり、幼少期から英語に親しむ子も増えてきました。
中には、「国語の授業に文学や古典は必要ない」「感性を説いても受験に役立たない」などの声もあるようです。

今は日本語よりも英語を学ぶべき時代といえるのでしょうか。

今こそ国語力をつけるべき3つの理由

論理的な意見を述べる必要性がある

相手がどんな国の人であっても、自分の意見を筋道立てて伝える必要があります。
生まれながらのバイリンガルは別として、多くの日本人は第二言語として英語を学びますよね。
相手に意見を伝えたいとき、まずは母国語で文を組み立て、筋道の通った主張をするのが重要。

議論する様々な国の人出典:stock.adobe.com

言語の壁を越えたコミュニケーションでは、論理的な言語力が肝となってくるのです。

求められるのは、自国の文化を発信する力

他国の文化や伝統を大切にするためには、まず自国の特色を十分に認識しておく必要があります。
グローバル化社会とは、アメリカや欧州諸国の文化に染まった社会ではなく、「それぞれの文化を調和させていく社会」。

相手の文化に合わせるのではなく、自国のアイデンティティについて発信できる人材こそが必要とされていきます。

言葉の在り方は人間関係の在り方

どんな社会でも、相手や場面に合わせた適切な言葉遣いが求められます。
何を言い、何を言わないのか。
文脈や行間に秘められているものを想像する力はどの文化においても役立ちます。

様々な国の人出典:stock.adobe.com

母国語を美しく使いこなせる能力こそ、言語や文化が異なる相手と関わる上での重要なスキルになるんです。

話す力、読む力、聞く力を育てる

国語学習の基盤となるのは、話す・読む・聞く力。
3つの力を育てるためには、どのような関わりが必要となるのでしょうか。

話す力

よい話し手を育てるにはよい聞き手が欠かせません。
子どもの興味に寄り添い、「どんなところが好き?」「どうやって調べたの?」など話を広げるのが大切。
”好きなものをわかってもらえる嬉しさ”は”共有したい気持ち”となり、話す喜びに繋がります。
嬉しい・楽しいなど肯定的な感情が伴うと、自然と力は身についていくんです。

読む力

日本語を読み取る力は、意識的に取り組まなければ育ちにくいもの。
日常会話やSNSでの会話においても、”前後の文脈から想像して読み取る力”がなければ齟齬が生じやすくなります。

また、読む力は書く力・伝える力にも大きく関わってきます。
漫画は、主人公の感情を想像しやすく、前後の文脈から内容を理解する力を育てられるのでおすすめです。

家族 本読む出典:www.photo-ac.com

短編小説やアニメが原作の小説など、本人の馴染みやすいものから読んでいくと力がつきやすいです。

聞く力

成長していく中では、”聞く”だけでなく、”聴く”力も求められます。

対話のキャッチボールには、「聴く」「理解する」「反応を返す」段階があります。
相槌や返事など受け取っているサインを示す、話を広げるための問いかけや質問をする。
そして要点を捉えて理解を伝え返すのが肝心。

どの段階が得意、もしくは苦手なのか。
子どもの特徴を捉えて関わるのが大切です。

今だからこそ身につけておきたい日本語力

国際交流を行う上では、自国のアイデンティティを身に着けつつ、相手の文化を受け入れる姿勢が大事です。
グローバル化が進んでいる今だからこそ、美しい日本語を使うスキル向上をおすすめします。
 

参考資料:外務省HP 「海外在留邦人数調査統計」平成30年度要約
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000368753.pdf

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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