中学受験が迫る「魔の12月」。受験を控えた子どもが傷ついてしまう5つのNGワードとは

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 中学受験が迫る「魔の12月」。受験を控えた子どもが傷ついてしまう5つのNGワードとは

2022.12.11

臨床心理士・公認心理師のyukoです。都心部では特に年々熱を帯びている中学受験戦争。年が明けたらもうすぐに試験が始まっていくのではないでしょうか。そんな今の時期、思うように勉強がはかどっていない我が子を見るとつい感情的に叱ったり、強い言葉を投げかけたりしてしまうもの。ですが、親から言われた一言は子どもの心に深く残り、傷つけてしまうこともあるんです。感情的になっても言ってはいけない言葉とその理由について、考えていきます。

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親子ともどもストレスが溜まる「魔の12月」

勉強する子ども出典:stock.adobe.com

小6の秋以降、様々な模試で判定が出され、現実的な受験校を絞り、願書を取り寄せ始める11~12月。受験生にとっては、まさに追い込みの冬ですよね。
そんな中、成績が思うように上がらなかったり、勉強に身が入りきらなかったり、休んでいるわが子を見ると、いらいらしてくる親御さんも多くなると思います。

「他人と比べちゃいけない」、「本人を否定してはいけない」など、わかっているつもりでも、つい言ってしまいがちなNGワードを考えていきます。

受験を控えた子に言ってはいけないワード5つ

「みんなはもっとやっているよ」

家での勉強時間が少ないとき、他の子の様子を聞いて焦ったときに言ってしまいがちな言葉。

塾に通っていれば、他の子がたくさん勉強しているのは嫌でもわかっているものです。
やる気がなさそうに見えても、その子自身としては精一杯やっているのではないでしょうか。

悲しむ女の子出典:stock.adobe.com

無理に焦らせる言葉をかけるよりも、”勉強に身が入らないのはなぜなのか”を考えるのも必要かもしれません。

「いくらかかったと思ってるの?」

毎月の塾費用に加え、夏期や冬期の講習代、受験費用も加わると「無駄にしてほしくない」気持ちもあるかと思います。

ですが、小学生の子どもにはどうすることもできないお金の話を絡めてプレッシャーをかけるのは、おすすめできません。
お金の話は大人同士の間に留め、子どもなりの精一杯を認めてあげるのが重要です。

「そんなんじゃ〇〇中学校に行けないよ」

冷静に「今の成績のままだと、〇〇中学は厳しいかな。この教科の克服をしなきゃいけないね」などと話すのは必要かと思います。

ですが、勉強時間が短いときや成績が振るわないとき、親の意向に沿えなかったとき、何度も「そんなんじゃ〇〇中学に行けない」と言われると、やる気がなくなっていくものです。

今のままでいいと思ってるの?

「今のままでいいと思ってるの?」は、一見問いかけているように見えて、「よくないです」と言わせるための、問い詰めている言葉といえます。
「公立になってもいいの?」など、子どもに決まった言葉を言わせるためのフレーズも同様です。

悲しむ女の子出典:stock.adobe.com

表情や態度に表れにくい子であっても、模試の成績やテストの点数をみれば現状はわかっていると思います。
やる気を持たせるためには、問い詰めるのではなく、「ここは今回頑張れたところだね、次はここが課題だね」と寄り添った言葉がけが大切です。

後悔するのは自分だよ

子どもが悲しむ姿をみたくないと案じて、言ってしまいがちな言葉かもしれませんね。

ですが、うまくいかなかったときの責任を全て子どもにもっていくのは、負担が大きいかなと思います。
追いつめられているときは難しいかもしれませんが、「合格したらとても嬉しいけど、そうじゃなくても大丈夫」といえるくらいの心の余裕が必要なのではないでしょうか。

また、上手くいかなかったときは”親の責任の範疇で勧めたもの”と捉え、成功したら”子どもの努力の成果”と捉えるくらいの謙虚な姿勢も大切だと感じます。

焦っているときこそ、長い目で考える

受験までの日数が迫り、焦ってきたときこそ、感情が揺さぶられやすいものです。
「親として何か言わなければ子どもは動かないのではないか」「親がコントロールしなければ上手くいかないのではないか」と感じ、強く言いたくなるときもあるかもしれません。

ですが、感情的になっているときこそ、「その場を離れる」、「受験の目的を思い出す」、「子どもの気持ちと親の気持ちに線引きをする」のが大切です。

ライフイベントに直面しているとき、辛いときに言われた言葉は特に、子どもの心に深く刻まれやすいもの。
一時の感情で言った言葉が、子どもの心の傷として残るケースも多々あります。

悲しむ女の子出典:stock.adobe.com

私個人としては、長い目でみると「中学受験の結果」以上に「中学受験を終えた先の親子関係」の方が、その子の人生に大きな影を落としていくと感じます。
中学受験が終わっても続いていく子どもの人生が、笑顔多いものになるよう、サポートしていけるといいですよね。

 

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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