孤立させないための理解と配慮を。発達障害のお子さんの親との関わり方を考える。

家族・人間関係

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 孤立させないための理解と配慮を。発達障害のお子さんの親との関わり方を考える。

2022.12.21

臨床心理士・公認心理師のyukoです。少しずつ認知度が高まっている「発達障害」。お子さんのクラスにも数人いらっしゃるのではないでしょうか。発達障害児の親御さんの相談を受ける中では、学校の保護者との関わり方に迷う話をよくお聞きします。発達障害児をもつ親御さんにとって、どのような接し方がよいのでしょうか。親同士の交流に焦点を当てて考えていきます。

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発達障害の子を育てる親の難しさ

友達とのトラブルが多くてママ友とは距離がある、成長がゆっくりだから周りと同じペースで子どもの話ができない、子どもを見守るので精一杯になってしまう。

発達障害を抱える子をもつ親御さんは、育児の悩みを共有できなかったり、子どもの特性への理解が得られず、親子ともに孤立してしまうときも。

輪に入れないママさん出典:stock.adobe.com

わりきって友達を作らない方や、似た特徴をもつコミュニティでの関係を深める方もいますが、周りとの関係によって子育てが一層負担に感じる方もいます。

うちの子を一緒に遊ばせて大丈夫?

相手の子についてよく知らないと、自分の子どもを一緒に遊ばせることに不安を抱く親御さんもいるかもしれません。

発達障害の特徴をもつ子と仲良くする上では、子ども同士の特徴や相性が大きく関わってきます。
相手の言動で傷つきやすい繊細な子、主張ができず我慢しすぎてしまう子、相手の言動に噛みついて強く出るような子は、一緒にいるとお互いストレスになると思います。

一方で、相手の言動を個性のひとつと捉えられ、深く仲良くなれるケースも。大人以上に上手にルールを共有できたり、思いやりをもって関わる子もいるんです。

遊ぶ子どもたち出典:stock.adobe.com

子ども同士であっても相性の善し悪しを自分たちで判断してくっついたり、離れたりするもの。
親の考えで子ども同士を無理に引き離したり、逆に、「遊んであげなさい」など無理にくっつけることはしなくてよいと思います。

発達障害をもつ子の親との関わり方

「特別な子の親」として関わらなくてよい

「障害」と聞くと、すごく大変な子育てをしている「特別な親子」と見てしまうかもしれません。

ですが、発達障害の子を育てる親御さんは、「うちの子だって、他の家の子と変わらない、ちょっと手のかかる可愛い子なのに。周りからはすごく気を遣って話しかけられるので辛い」とよく口にします。

周囲の人が「普通の子-特別な子」と線引きしてしまうと、余計に孤立させてしまい、学校生活を難しくしてしまいます。

「うちの子も好き嫌い結構多いんだけど、家ではどうしてる?」「休日はどんなことしてるの?」など、他の保護者と同じように接し、共通点を見つけたり、子どもと上手く関わるコツをシェアできるとよいのではないでしょうか。

もちろん、興味本位でずけずけ聞いたり、自分の子と比べるような言い方をするのは、他の保護者と話すとき同様にNGです。
変な気を遣わず、ラフに話せるといいですよね。

子どもの特性は「親の育て方のせい」と捉えない

発達障害の特徴には、衝動的に行動してしまいルールを守るのが難しいなど、自分勝手な行動を取っているように見えてしまうものもあります。
また、その場の空気を察せなかったり、相手の気持ちを汲み取りにくい子もいます。

そんな子に対し、周囲から「親の育て方の問題では?」と思われるのはとても辛いもの。

発達障害の原因は、決して親の育て方ではありません。
むしろ、育児をする上で様々な努力と工夫をしていたり、専門家に相談しながら熱心に関わっている親御さんはとても多いです。

発達障害の女の子出典:stock.adobe.com

まずは大人の間で知識をもって理解しあい、子どものお手本となる関係が作れるといいですよね。

お互いに傷つけてしまいそうなら距離を取る

苦手な人とは距離を取る必要があるのも、他の対人関係と一緒です。同情から仲良くしようとしても、余計なお世話と捉えられてしまうことだってあります。
また、本心から仲良くしていないと、何かあったときに「~してあげたのに」など、不用意に相手を傷つけてしまうかもしれません。

子ども同士が仲良くしていたとしても、たまに軽く情報共有する程度に留め、大人の距離感を保つのもひとつです。

孤立させないための理解と配慮を

仲良く走る子どもたち出典:stock.adobe.com

先日行われた文部科学省の調査では、全国の公立小中学校通常学級に通う子の8.8%が発達障害の特徴(「学習面」や「不注意」「多動・衝動性」「対人関係やこだわり等」)を有していると示されました。

様々な特徴をもつ子と関わる機会が、今後さらに増えていくのではないでしょうか。
どんな親子も孤立しない、温かい関係性を作っていけるといいですよね。

 

【参考資料】
通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果(令和4年)についてhttps://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/2022/1421569_00005.htm

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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