全体の2割は「学校に行けなくなったきっかけが何かよくわからない」。
学校に行けない理由がわかっていれば、状況に応じて大人が対処を考えられます。
ですが文部科学省の調査によると、全体の2割ほどは、「きっかけが何かよくわからない」と答えています。
子どもに「わからない」と言われても、親は「何か隠してるの?」「なんでわからないの?」とモヤモヤしていくばかりですよね。
一方、子どもは何を考えているかというと、多くの場合、嘘をついているわけではありません。
「なんかよくわからないけど学校のことを考えるとお腹が痛い」「なぜか朝起きようとしても身体が重くて仕方ない」と原因不明の症状に苦しむ子は多いんです。
そんなとき、周囲の大人に求められるのは「言葉にならないモヤモヤした辛さを受け止める力」だと感じます。
「なんでなの?」「言ってくれないとわからない」と追いつめても、言葉にならない子がほとんど。
「なんかよくわからないけど、行きたくないんだね。」
「どうしてそうなったのか、休んで考える期間にしてみようか。」
「何か気づいたり、思い出したことがあったら教えてね。」
などの言葉がけが支えになるのではないでしょうか。
思い出したいのは「急がば回れ」の気持ち
欠席日数が重なっていくと、「このままずっと行かないつもり?」と焦ってくるかと思います。
一方子どもはそんな親の心配を感じながら、「学校に行こうとする自分」と「やっぱり行けない自分」の葛藤に苦しみます。
また、この時期、なんとか原因を探ろうと、様々な専門機関を回る方もいます。
不安な気持ちから、なにか答えやアドバイスをもらえるのではないかと考えるのはもっともです。
しかし、心療内科や相談センターに相談しても、「しばらく通い、検査や話をしていく中でゆっくり考えていきましょう。今は休息が必要な時期です」と言われることが多いかと思います。
実際、専門家であっても、数時間お会いして話しただけでは理由がわからないケースがほとんど。
お子さんにとって大切な問題だからこそ、時間をかけてゆっくり解きほぐし、やっと見えてくるものなんです。
そんなとき、「頼りにならない」「今すぐどうにかしないと困る」と焦ってしまうのは要注意。
耳障りのよい言葉や根拠のないアドバイスに傾倒してしまうと、子どもが本当に抱えている問題から目が離れてしまう危険性もあるからです。
また、様々な相談機関にアクセスして色んな意見をもらうと、何がよいのかわからなくなってしまいます。
”今後の子どもの人生に関わる大切な問題が隠れているのかも”、”今日明日では解決しない、腰を据えて取り組む課題なのかも”と、気持ちを切り替えていく必要があるのではないでしょうか。
どんな心持ちが役に立つ?
不登校になっても長期化しなかったり、根深い問題にならずに済む親御さんには特徴があると感じます。
それは、「行っても行かなくてもいいけど、楽しい時間を見つけてほしい」という考えが一貫している方です。
「普通(大多数と一緒)の生活を送ってほしい」「学校に行くのは当たり前」と考えるのはもっともだと思いますし、気持ちを切り替えるのは簡単ではありません。
ですが、「行っても行かなくても親は絶対的な味方」である気持ちにシフトできたら、子どもはぐっと楽になる印象があります。
もちろん、この考えは一例に過ぎません。
家族や先生、専門家と相談しながら、親子が「少しでも楽になれる受け入れ方」を見つけて行けるといいですよね。