毒にも薬にもなる言葉「あなたのため」と子どもに言うのを敏感になった方がいいワケ

家族・人間関係

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 毒にも薬にもなる言葉「あなたのため」と子どもに言うのを敏感になった方がいいワケ

2023.07.04

「子どものため」って考えて、がんばらせることって、子育てしていたらよくあると思います。 でも、「子どものため」という考えに盲目的になると、子育てや子どもとの関係性において大切なものを見失ってしまうような気がするのです。 そこで、今回はそうならないために気をつけている3つの「〜のため」をご紹介します。

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「あなたのため」に敏感になろう

子どもにどのくらい「あなたのため」と言っているでしょうか?
もはや口癖のように発してしまう人もいれば、意識的に使わないようにしている人もいるかもしれません。

ぼくはこの言葉。とても強く、そして怖い言葉だと思っています。
使い方によって、毒にも薬にもなる。

それだけに、無意識に多用しているのだとしたら、まったく効き目のない「ムカつかれるだけワード」になってしまっているかもしれません。

落ち込む子ども出典:stock.adobe.com

それはもったいない。
本当に「ここぞ!!」というときのために、しっかり温存しておいたほうがいいと思うのです。

では、なぜそんなに敏感になるのでしょうか。

「あなたのためだから」というのは、とても強い言葉です。
大人同士でもそうですが、とくに大人から子どもに発せられたとき、子どもはそれに対して言い返すことができません。
それでも、もし言い返すとしたら「自分はできなくてもいい!」という自己否定になってしまいます。

つまり「YES」と受け入れるか「自己否定」をするか。
この2択を迫るのが「あなたのため」という言葉の持つ怖さです。

「そうか! これは自分のためなんだ!」とまっすぐに受け入れてくれるなら、言ったかいもあります。
でも、そんなケースってほとんどなくないですか?

自分が親にそう言われたとき、どう感じましたか?

僕は性格がひねくれていたせいか、残念ながら「うるせー」「自分のためだったらべつにいいや」としか思いませんでした。

「あなたのため」と言われる度に、自己否定を積み重ね、どうでもよくなっていった気がします。

落ち込む子ども出典:stock.adobe.com

「あなたのため」が通じるのは、緊急度と重要度の両方が高いとき。

たとえば、娘が病気をしたとき。それでも薬を飲むのが嫌だったことがあります。そのときは「君の病気を治すためだよ」と言いました。
病気は辛いから「治さなくてもいいや」とは思わないんです。
しぶしぶでしたが、少しずつ飲んでくれました。

「将来のため」に今を犠牲にさせていないか?

「将来のために、いまがんばる」って素敵なことですよね。そうやってがんばらなくちゃいけないこと、たくさんあります。
一方で、かけがえのない「いま」を犠牲にしてしまっていないか。よく見てあげなくちゃなと思います。

いまの小学生って本当に忙しい。
学校が終わって、塾や習い事に行って、帰ってくるのは8時過ぎ。それからご飯を食べて、宿題をやって…。
それがほぼ毎日だとしたら、なかなか子どもってシンドい。

疲れる子ども出典:stock.adobe.com

子どものうちって、なかなか自分の予定を自分で作ることができません。
学校に行く時間は決まっているし、習い事の日時も決まっている。それを自分の裁量で「この日は塾行って、この日は遊ぼう」とはできません。

子どもが毎日を「楽しそう」に過ごしているのを見ると、ホッとします。
疲れ切った大人のように、疲弊しているのだとしたら、将来のために今を犠牲にしすぎているのかもしれません。

「この子のため」を一度疑ってみよう

自分が「この子のため」と思うとき。それは、本当に子どものためなのでしょうか。
僕は自分がそう思ったとき、一歩立ち止まって疑ってみるようにしています。

そうすると、意外と「この子のため」だけじゃないことに気がついたりします。
「この子のため」という免罪符を使って、世間の目や自分が承認されたい気持ちを満たそうとしていたりします。
そう考えてしまうのって、特殊なことでしょうか?
みんな、純度100%で「この子のため」って考えているのでしょうか?

考える女性出典:stock.adobe.com

僕の母は、僕の成績が振るわないとき、僕以上にガッカリしていました。
半分は、僕の将来のため。でも、もう半分は「母が祖父に叱られたくないから」です。
祖父(母の義父)は非常に厳しく、昔ながらの考えを強く持っている人でした。
跡取り息子である僕の成績が悪いなんて、許しがたい。だから母に向かって「ちゃんと勉強させないからだ」と言い続けていました。

子どもながらに、そういうのって感じるものです。

「この子のため」は、本当にそれだけでしょうか。
もしも、それだけじゃないのだとしたら。

そうじゃない部分も自分で認識した上で、子どもとちゃんと話をしたいと思っています。

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著者

三木智有

三木智有

NPO法人tadaima!代表 日本唯一の家事シェア研究家/子育て家庭のためのモヨウ替えコンサルタント 家事シェア研究家のnote:https://note.com/tomoari_miki

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