教えてくれたのは……浅野まみこ先生
総合病院、女性クリニック、企業カウンセリングにて糖尿病の行動変容理論をベースに1万8千人以上の栄養相談を実施。その経験を生かし健康経営サポート、レシピ開発、食のコンサルティングをはじめ講演、イベントなど多方面で活躍中。具体的な食品を使った実践型栄養アドバイスをモットーに活動している。
食品は4つの軸で選ぶ
- 健康コスパ……栄養素、得られる健康価値やメリット
- コスパ……費用対効果
- タイパ……手に入れやすさ、アレンジのしやすさ
- 食品特性……歯ごたえや香りなど、その食品ならではの特徴
この4つの軸で自身に適した食品選びをしましょう!
ヨーグルト|乳酸菌入りVSビフィズス菌入り
健康コスパ
比較ポイントは、「ビフィズス菌」が入っているかどうか。
乳酸菌、ビフィズス菌どちらも整腸作用が期待できますが、働きがそれぞれ異なります。
乳酸菌は「乳酸」を作り出し主に小腸で働きますが、ビフィズス菌は主に大腸で働き、「乳酸」だけではなく、悪玉菌の活動を抑えたり、短鎖脂肪酸(大腸のぜん動運動を活発にさせる)の1つである「酢酸」を作り出したりします。これにより、脂肪がつきにくくなったり、肥満や糖尿病の予防、免疫機能に関与します。
乳酸菌のみのヨーグルトよりビフィズス菌が入っている方が健康コスパが高いといえます。
ビフィズス菌は全てのヨーグルトに入っているわけではないので、購入時はパッケージを確認してビフィズス菌入りかどうかを確認しましょう。
コスパ(費用対効果)
どちらもほぼ同じ価格帯で販売されていますが、「乳酸菌のみのヨーグルト」の方が若干高い場合があります。
タイパ(手に入れやすさ・アレンジのしやすさ)
「乳酸菌のみのヨーグルト」は、コンビニやドラッグストアなどほぼすべての店舗に置かれいます。一方、「乳酸菌+ビフィズス菌入りのヨーグルト」は、コンビニなどでは置かれていないこともあります。
食品特性(酸味)
ヨーグルトの味の特徴である「酸味」を比較的強く感じるのは「乳酸菌のみのヨーグルト」。ビフィズス菌は酸に弱いため、結果的に「乳酸菌+ビフィズス菌入りのヨーグルト」の方が、酸味が抑えられており、まろやかさを感じるものが多いのが特徴。
魚の缶詰|ツナ缶VSサバ缶
健康コスパ
比較ポイントは、「オメガ3脂肪酸」の含有量。
オメガ3脂肪酸とは、血液凝固低下作用や認知症の予防効果が期待される成分です。あっさりして脂質が少ないツナ缶に比べて、サバ缶の方が全体的に栄養価は高く、オメガ3脂肪酸も断然多く含まれています。
その他、カルシウムや鉄に加え、免疫調整をするビタミンD、ホルモン合成の分泌や調整をする亜鉛、抗酸化作用の強いビタミンEなどもサバ缶の方が豊富に含まれています。
コスパ(費用対効果)
マグロの価格が高いこともあり、グラム当たり(2023年3月時点)でみると、現状としてはサバ缶の方が安価になっている。
タイパ(手に入れやすさ・アレンジのしやすさ)
どちらも手軽に入手できますが、ツナ缶の方がより入手しやすいでしょう。どちらも加工せずにそのまま食べられ、炊き込みご飯や茹でた野菜と和えたりなどアレンジにも便利。長期保存できるのも魚の缶詰のメリット。
食品特性(脂のり)
サバ缶の方がこってりとして脂のりがよく、ツナ缶の方があっさりとしています。
豆腐|木綿VS絹ごし
健康コスパ
比較ポイントは、製造工程。
水分を抜いて凝縮して作る木綿豆腐は、たんぱく質やカルシウムなどの大豆本来の栄養素が多く含まれており、絹ごし豆腐に比べて、全体的に少しずつ栄養価が高くなっています。反対に水分量が多い絹ごし豆腐は、栄養価は少し下がるが、カロリーが低く、カリウムが多いのが特徴。
コスパ(費用対効果)
どちらも年間を通して手頃な価格で販売されており、価格差もほとんどありません。
タイパ(手に入れやすさ・アレンジのしやすさ)
絹ごし豆腐は、コンビニ等でも売られていることが多く、サラダや白和えなどの惣菜メニューも多数あり、より身近で購入しやすいといえます。木綿豆腐は焼く、煮るなどの調理には適していますが、コンビニ等では扱っていない店舗もあるため絹ごし豆腐よりは手に入りにくいでしょう。
食品特性(軟らかさ)
軟らかさという商品特徴で比較すると、絹ごし豆腐の方が軟らかく、つるりとした喉ごしが特徴です。木綿豆腐は、しっかりした歯応えが特徴で、食後の満足感が得られます。
海藻|もずくVSめかぶ
健康コスパ
比較ポイントは、「食物繊維」の含有量。
めかぶはわかめの根元部分が使われており、食物繊維が100g当たり3.4gあります。これに対してもずくは1.4gとなっており、2倍以上と大きな差があります。また、造血ビタミンと呼ばれる葉酸やむくみ改善効果や高血圧予防のカリウムなど多くの栄養素でめかぶが上回るため、健康コスパはよいといえます。
コスパ(費用対効果)
1パック当たりの内容量はもずくの方が比較的多く、グラム当たりでみると、もずくの方がコスパがよいといえます。
タイパ(手に入れやすさ・アレンジのしやすさ)
どちらもコンビニ等で味付きのものが販売されています。また、スーパーでもプライベートブランドの商品が充実しており、どちらも同じくらい手に入りやすい商品です。
食品特性(歯ごたえ)
パックで売られているものを比較すると、コリコリとした歯ごたえを楽しむならめかぶ、シャキっとした食感とつるりとした喉ごしを楽しむならもずくがおすすめ。
食用油|ごま油VSオリーブオイル
健康コスパ
比較ポイントは、「酸化のしにくさ」に注目!
オリーブの実をしぼって作るエクストラバージンオリーブオイルには、ポリフェノール類やビタミンEなどの抗酸化ビタミンが多いのが特徴。一価不飽和脂肪酸のオレイン酸を多く含み、コレステロールバランス改善の効果が期待できます。消化もよく、胃腸が弱い方にもおすすめです。
ごま油は、多価不飽和脂肪酸のリノール酸を多く含んでおり、コレステロール増加を抑える効果が期待できます。また、ゴマリグナンやビタミンEなどの抗酸化成分が豊富に含まれており、脂肪酸の代謝促進などに効果的です。
それぞれに健康効果はありますが、“酸化のしにくさ”という点で、エクストラバージンオリーブオイルの方が健康コスパは高いといえます。
コスパ(費用対効果)
エクストラバージンオリーブオイルは、価格差が大きく、こだわればこだわるほど価格が高額に。一方ごま油は価格差がそこまで大きくなく売られています。
タイパ(手に入れやすさ・アレンジのしやすさ)
エクストラバージンオリーブオイルは、産地などのこだわりがあると売り場が限られてしまい、入手しにくい場合もあります。
食品特性(香りの強さ)
エクストラバージンオリーブオイルとごま油、どちらもしっかりとした香りと味わいが楽しめるオイルです。
栄養と節約、いいとこどりの選び方「4つの軸」をぜひ日々の中に取り入れてみてください!