「悪口が癖になっている子ども」に親ができる対策

家族・人間関係

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 「悪口が癖になっている子ども」に親ができる対策

2023.10.10

臨床心理士・公認心理師のyukoです。友達や部活の先輩、先生の悪口を家庭内でよく口にする子がいます。家庭内でのみ吐き出しているならよいものの、外で同じように言っていないか心配になる親御さんは多いよう。子どもの悪口が癖になっているのか、癖になっていたらどう対処していけばよいのか。子どもと悪口の付き合い方を考えていきます。

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つい口に出してしまう悪口

仕事の休憩時間やママ友とのランチ、ふとしたときに盛り上がってしまうのが誰かの悪口。
どんなシーンにおいても、よくない噂や陰口は美味しいネタになってしまうときがありますよね。

子どもであってもそれは一緒。
特に小学校高学年くらいになると、相手の様々な欠点や人と異なるところが見つかり、それを友達に面白おかしく伝えたい気持ちがでてきます。

しかし、

  • LINEでこっそり送ったつもりが、スクショや誤送信によって本人に伝わってしまった。
  • 内緒話として言ったつもりなのに、「あんな悪口を言っていたよ」と言いふらされてしまった。
  • 面白いと思って相手をいじったつもりだったのに、周囲からひかれてしまった。

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など、悪口から始まる問題は非常に多いです。
悪口がついつい癖になっている子、トラブルを起こしてしまいやすい子にはどんな対応をしていけばよいのでしょうか。

悪口が癖になっている子への対処について

家庭内での会話を見直す

子どもが言葉を覚え始めたとき、怒ったときの親にそっくりな言葉を使っていてヒヤッとするときってありますよね。

年齢が上がってくると、他の子の欠点を突いたり、「できない」「だめなやつ」と評価したり、「おかしい」「変」と揶揄したりする子が増えてきます。

親から見ると、最近の学校ではどんな話をしているんだろう、YouTubeなどの悪い影響かなと捉えやすいもの。
一方で見落としがちなのが、夫婦や兄弟間での会話です。

  • 父親が母親に対して「そんなこともわかんないのか?」と蔑む。
  • 仕事の部下が「つかえない」。上司は何もわかっていない「できないやつ」と愚痴を言う。
  • あのママさんいつも場違いなことを言ってみんなを困らせるんだよね。なんか「変」なのよね、と話す。

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消極的な気持ちを身近な相手に吐いてすっきりするのはたしかに大切です。
しかし子どもがいる前では話題や言葉を選び、真似されてもよいような振る舞いをするのも必要。

世の中には乱暴な言葉を使ったり、倫理観がグレーゾーンの振る舞いを撮った動画があふれていたりするのも事実。
気にかかったときは「どこでそんな言葉知ったの?」と尋ね、マナーについて話し合っていく場もあるとよいでしょう。

本人の「知ってほしい気持ち」と「ばれたくない気持ち」を理解する

思春期の子が言いがちな悪口には「自分が言ったとは気づかれたくないけど、相手を少し傷つけたい」場合があります。

例えば、

  • 「体育のときのあの態度、めっちゃイラついた。先生に媚び売るなよw」と名前を伏せた悪口をSNSに書く。
  • その子のあだ名を、その子に知られない形でこっそりつけて周りの子と共有する。
  • 「よくそんなことできるよね」「自分だったら無理」など、遠回しに嫌味を言う。

身近にありがちなものですし、社会人になってもこのような人は少なからずいるかもしれません。
このような言動を一人で行っていれば周りから自然と人が離れていくと思われますが、集団でやってしまうといじめになります。

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心が未熟な段階では、自分の負の感情を相手にぶつけたい、遠回しにわかってほしいと感じる気持ちが生じやすいもの。
ただ、「消極的な気持ちばかり表に出すと周りもよい気持ちにならないこと」、「集団で行えばいじめになること」は親子の間で伝えていきたい事柄です。

消極的な気持ちの解消法を増やしていく

大人であっても誰かにイライラさせられるときはありますよね。
苦手な上司や避けたいママ友、どうしても嫉妬してしまう友人などいるのは仕方ないものです。

そんなとき、周囲に愚痴を言う解消法もひとつですが、その方法を工夫する必要があります。

例えば、

  • 職場の愚痴は地元の気が知れた友人に、ママ友の愚痴は実家の母や姉に言うなど、全く関係のないコミュニティだけで言うようにする。
  • 自分がどんな出来事でイライラしているのか、自分の責任・他人の責任・誰のせいでもない(仕方がなかった)状況に分けて考える。
  • 不平不満に固執せず、気持ちを切り替えられる方法(運動、食事、趣味など)を身に着ける。

周囲の家族がモデルを見せていけると、子どもの悪口や愚痴を言う癖は軽減されやすくなります。
まずは家庭内の空気が心地よいものになっていけるといいですよね。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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