子どもが乗り気でない記念受験、どうすべき?
夏が終わり、いよいよ中学受験本番モード。
秋に受けた模試の結果を踏まえて、受験校を決めていく親子は多いと思います。
都心では特に、複数の中学を受験し、より望ましい進学先を選ぶ傾向にあるよう。
そんな中、「親の出身校にもチャレンジしてほしい」「記念受験になっても、この中学にチャレンジしてほしい」と感じる親御さんも多いと聞きます。
一方で、子どもは記念受験に乗り気でない。
そんなとき、親子どちらの気持ちを優先するべきでしょうか。
記念受験の必要性や記念受験の思わぬ落とし穴について、考えていきます。
子どもが親の勧めを断れない理由
「パパの志望校も受けてみない?同じ塾のお友達も何人か受けるみたいだし。」
夏休み終わりの模試で出た偏差値とは20も離れているX中学を親から勧められたAちゃん。
「私はY中学に行きたいから受ける必要ないよ」と断るものの、「もしかしたらっていうこともあるんだし受けてみようよ。それにパパもきっと喜ぶよ。」と押し切られてしまう。
親の思いで子どもにプレッシャーをかけるケースよりも、親が誰かからプレッシャーをかけられ、それを伝達しているケースの方が強く進めやすいよう。
親以外の誰かの意見だと、責任を分散しやすいからです。
高学歴な親族に囲まれている、祖父母が受験の援助をしてくれている、パートナーに学歴コンプレックスがあるなど、背景には大人の事情が絡んでいるもの。
親が周囲から受けるプレッシャーを抱えきれないと、子どもに押し付けてしまいやすくなるんですね。
小6にもなると、親や周囲の大人が何を考えているのか、自分は何を求められているのかわかっている子がほとんど。
なので、「わかったよ」と受け入れる子が多いようです。
親がさせる記念受験の弊害とは
結局AちゃんはしぶしぶX中学を受けることに。Xの偏差値は実力と大きく離れていたので結果は当然不合格。Aちゃんは「やっぱりな。でもY中学受かったから全然いいや。」と感じていた。
しかし父親は、「わかってはいたけど、やっぱりXは難しかったか。」と浮かない顔。予備校に挨拶に行くと「Y中もいいところだから、よかったね」となぜか気を遣われる。X中に決まった友達からは「一緒に行けるかもって言われてたのに残念~」と声をかけられる。
せっかく志望校に受かったものの、「Xなんて最初から受けなければよかった」とAちゃんはもやもやし始める。
たとえ志望校に受かっていたとしても、「記念受験がなければ穏やかな気持ちで終えられたのに…」と、不合格が心に引っかかる子も多いです。
また、親は子どもの本音や気持ちを理解していても、周囲の何気ない言葉で傷つくときも。
そして、中学に入ったあとも消極的な気持ちがぬぐえない子もいます。
- 自分が通っている中学は、親が望んでいる学校とは違うと思うと、価値を感じられなくなる。
- 親のせいで試験もテストも怖くなった。どうせ自分はよい結果を出せないと自信を失くす。
- 大学受験こそは成功させないといけないと、今から気分が憂鬱に。
親としては「1日で終わる運試し」であっても、子どもにとっては「長く続くトラウマ」にもなりえてしまうんですね。
もちろん、すべての記念受験がネガティブなものではありません。
子どもが希望したり、子どもと十分に話し合って決めた「チャレンジ」であれば、思い出したとき「自分を褒められる経験」にもなりえます。
子どもが「やってよかった」と思える受験体験にしていけるといいですよね。