中学受験のために小1から塾に通う子も。低学年から塾に通わせる「メリット・デメリット」

家族・人間関係

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2023.12.24

臨床心理士・公認心理師のyukoです。中学受験を見据えて低学年から塾に入る子が急増中。やりすぎと思う人もいる一方、幼稚園から英才教育を始める子を考えると遅いくらいという意見も。低学年から塾に通わせるメリットやデメリット、親として気をつけたいことを考えていきます。

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人気の塾は低学年から席争い?

都心部では特に、年々受験熱が加速しています。

最近は早めから対策しておかないと乗り遅れてしまうと、低学年から塾に通い始める子も増えているよう。なかには、低学年から通わないと枠が埋まってしまうほどの人気塾もあるといいます。

一方、「低学年から塾に通わせるのはどうなんだろう」と迷う親御さんの声も。

今回は、低学年から塾に通うメリットとデメリットを考えてみます。

低学年から通塾するメリット

メリットは、やはり低学年のときから机に向かい勉強する癖を身に着けられる点といえます。
特に勉強や読書が好きで、新しい知識を取り入れていきたい子は向いているのではないでしょうか。

受験塾と聞くと、机にまっすぐ向かい、1時間みっちり授業を受ける光景を想像しますが、学習に親しみやすくなるような工夫を凝らしている塾も多いよう。

例えば、

  • 迷路やパズルなどを用いて柔軟な思考力を養う授業。
  • ゲームや実験をしながら、日常と勉強の繋がりを学ぶ。
  • 少人数のグループで話し合いながらワークをする。

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近年の中学受験は、詰め込み学習で対応できるものは少なくなり、思考力や発想力を試される問題が増えてきているよう。
子どもが「勉強楽しい!」と、思えるような場所になるなら低学年からの通塾もメリットが多いといえるでしょう。

低学年から通塾するデメリット

生活の主軸が勉強に置かれてしまうと、どうしても運動・音楽・創作などの分野に手が回らなくなってしまうもの。

週1~2日塾に通うだけなら、他の時間を有効に使えるのでは?と感じる方は多いと思いますが、肝になるのはやはり金銭面。
小6まで年々増えていく塾の費用や私立中学への入学を視野に入れると、多くの家庭では他をセーブしないといけなくなります。

また、大人同然の会話ができても、先の将来を見通して考えたり、判断するのはまだ難しい年齢。
低学年の子に、自分の意志で受験を決めさせるのは難しく、また「頑張るって言ったよね」と親が無理強いするのは酷といえます。

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夢中になれるものができたら減らしたり辞めたりするのもひとつと伝え、親自身も向いていなかったら考え直すくらいの気持ちでいるのがよいでしょう。

中学受験至上主義の怖さ

子どもが塾に通い始める年齢はもちろん大切ですが、親の価値観や考え方が子どもを大きく左右します。

中でも特に、中学受験以外の選択肢を持っておらず、「受験をさせてあげないなんてかわいそう」など受験が正解の道だと信じきっている方は子どもに負担をかけすぎる傾向にあります。

「受験が絶対」と思い込んでいたり、中学受験を当たり前とするコミュニティにいると、私立中学に通うルート以外を考えられなくなってしまいます。

例えばSNSで、受験専用アカウントを作り、同年代・同地域の親のみフォローし、受験に必要な情報収集と発信をすると、受験を前提とした投稿のみが目に入り、その世界が当然のものとなっていくもの。

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中には、名門中学に合格した親が神格化されアドバイスや勉強法を発信し、子どもの受験を控えた親御さんが信者のようになっているコミュニティもあります。

もちろん、SNSは受験する子の親特有の愚痴や悩みを呟けたり、有用な情報を得られる大切な場だと思います。

しかし、あまたあるコミュニティのひとつという認識を忘れず、また、子どもの成長や進路に正解はないと肝に銘じておく必要があるのではないでしょうか。

子どもの将来を明るくするための受験が、子どもの選択肢を狭めてしまわないよう、まずは親が視野や可能性を広くもっておけたらいいですよね。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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