「みんな」「絶対」が口グセ。物事を白黒で極端に判断する子どもの裏にある理由

家族・人間関係

2024.02.03

臨床心理士・公認心理師のyukoです。思春期前後の子をもつ親御さんからよく「うちの子は考え方が極端で、『間』がないんです」と相談されることがしばしばあります。なぜ、思春期の子の考え方は特に極端になりやすいのか。理由と付き合い方について考えていきます。

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「みんな」「絶対」「~に決まってる」が口癖のわが子

模試の成績が下がったら「うまくいかないに決まってる。人生終わった。」などと言い、友人関係でも一度もめたら「もうあの子とは遊ばない。顔も見たくない。」とぷつんと縁を切ってしまう。思えば昔から、美容院で切ってもらった髪が気に入らないと「みんなに笑われるに違いない」と言っていた。「白か黒か」の考えで、「グレー」がない。そんなわが子が心配。

子ども出典:stock.adobe.com

わが子が極端な考え方をしやすいと心配になりますよね。
特に思春期・反抗期になると、より極端な考えが前面にでやすくなるんです。

物事を極端にとらえやすい子の理由と付き合い方を考えていきます。

思春期特有の葛藤がある

  • 親から離れて自立したい気持ちと、自立しきれない現実。
  • わかってもらいたい思いと、放っておいてほしい思い。
  • 何にでもなれる気がする万能感と、何者にもなれない無力感。

思春期は、相反する理想と現実に葛藤する時期です。

そしてその矛盾に耐えられなくなると極端な考えに走りやすくなります。
「こうしたいのにできない」「なんで上手くいかないの」と感じ、矛盾に耐えきれなくなるからなんですね。

「AとBの気持ちがあるんだね」「Cを大事にしたいけど、現実的に考えるとDかなって思うんだね」など、両方の思いを大切にした声をかけてあげると支えになります。

まずは周囲が葛藤に気づいてあげられるといいですよね。

気持ちに余裕がない

大人になってからも経験がある方は多いでしょう。
気持ちに余裕がなく焦っていたり、不安なときは、「きっとこうなるに違いない」と極端な考えになりがちですよね。

10代の時期は特に、友達・家族・進路など、自分の力だけではどうにもできないことに悩みやすく、余裕がなくなりがち。
大人からすれば、「どうにかなるよ」「そういう時期もあったな」くらいライトに見える悩みでも、子どもにとっては人生を左右するくらいの問題なんです。

子ども出典:stock.adobe.com

そんな余裕がない時期に、自分の意見に口を出されたり、意にそぐわないことを言われると、「じゃあこうする!」と極端になりやすいんです。
感情的になっているときの決断は避け、落ち着いたときに整理していけるといいですよね。

家族の考え方が極端、衝動的になりやすい

家族の影響ももちろん大きいです。
特に、機嫌に左右されて物事を決めやすい、感情的に怒ったり泣いたりする時間が多い家族がいると、極端な考え方になりやすいもの。

衝動的になったり、投げやりに物事を決める姿を見ていると、「そういうもの」と思い込んで似てしまうんですね。
また、親が強い価値観を持っていると子どももその価値観の中で極端に考えやすくなります。

例えば

  • 親が「〇〇以下の大学なら行く意味がない」と考えており、勉強に厳しい。→子どもが「学歴が低い人には価値がない」「成績が下がった。生きてる意味あるのかな。」と考えるようになる。
  • 親が「女の子なのに~できないのは残念ね」「〇歳になっても~なんてかわいそう」など、固定観念で人を判断する。→子どもも「あいつはダメな人間だ」「あの人は完璧で抜け目がないから好き」など、人に対して極端な判断をする。

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「そりゃそうでしょ」と思う方も多いかもしれませんが、自分自身の価値観には意外と気づきにくいもの。
友人や親戚などとコミュニケーションを取りながら、「我が家の価値観」について考えてみるのもおすすめです。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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