教えてくれたのは……マインドトレーナー 田中よしこさん
株式会社コレット代表取締役。心理学・脳科学、コーチングの知見を取り入れ、「自分を本当に知る」ことをメソッド化。個人セッションやセミナーなどを中心に、潜在意識を整え、本心と「未来の理想の思考」を引き出す方法を伝えている。著書に『自分の気持ちがわからない沼から抜け出したい』(KADOKAWA)がある。
年をとることが楽しくなる生き方「3つのコツ」
「年齢を重ねる」といった自然な過程を、ネガティブに捉えている人も多いかもしれません。ですが、年齢が上がるにつれて心身ともにさまざまな機能が低下するにも関わらず、幸福感や満足度が増すパラドックス(逆説)が存在するのをご存知でしょうか?
年をとることにワクワクできている人は、これからお伝えする3つのコツを押さえられている人といえます。具体的に何をするとよいのかと、パラドックスについて解説します。
1.新しい学びや経験に挑戦する
心理学の研究では、新しい技術や知識を学ぶことが認知機能の低下を遅らせると同時に、人生の満足度を高めることが分かっています。
私たちの脳は、新しい経験に対してワクワクし、好奇心を満たす素敵な機能をもっています。新発売の商品や初めて訪れる店には、トキメクものがありますよね。こういった感情も、脳の機能のおかげです。
新しい学びや、次にチャレンジしたいことを自分から意識的に見つけることで、常にワクワク感を持続させることができます。チャレンジの内容に、大小は関係ありません。
「初めてダンスを踊ってみる」「初めて、今まで敬遠していたタイプの人に話しかけてみる」「初めて隣町のパン屋まで行ってみる」など、チャレンジしてみることは何でも楽しいものです。さまざまなやりたいことを見つけていきましょう。
2.今の自分を認め、感謝を習慣化する
「若い人に負けないように」「若い頃の自分のように」といった気負いがあると、ついつい負荷をかけがちな思考や行動を自分に押し付けてしまいます。
今の自分を認めて現実に適応させていくことで、心地の良い人間関係や環境を選択できるようになります。そうすることで、自分が置かれている今の状況に感謝し、感謝できることを増やしていけるのです。ありがたいと感じることを見つけ、その気持ちを日常的に口に出す習慣を身につけましょう。
例えば、「いつも洗濯をしてくれてありがとう」「今日のご飯も美味しいよ、ありがとう」「一緒に買い物に行ってくれてありがとう」などを伝えられるようになると、些細なことでも「ありがたいことだ」と気づけます。
我が家では、家族が気持ちよく「おはよう」と言ってくれたときに「元気に挨拶したね!ありがとう」と、挨拶にも感謝の言葉を伝えるようにしています。家族はとても嬉しそうにしてくれるので、お互いに心地よい時間が過ごせています。
3.あえて人生の終わりを意識する
意外かもしれませんが、年をとればとるほど幸福感が向上する現象は世界各国の心理学の調査で明らかになっており、これは「加齢のパラドックス」や「幸福感のパラドックス」とも呼ばれています。
その理由のひとつは、人生の残り時間が限られていることを意識することで、現在の瞬間をより価値のあるものと見なし、喜びを見つけやすくなるためです。
「人生の最後に、自分は何を感じていたいのだろう」と、人生の終わりを敢えて意識することで、本当に大切なことや今の自分にふさわしい目標を立てられ、選択の基準をクリアにできます。
年齢に関係なく、人生に納得感と好奇心をもって自分らしさを楽しんでいる人は、若々しく活発に過ごしています。
ワクワクできるコツをつかんで幸福感を高める
私たちは年をとった分だけ、必ず経験値が増えています。若い頃の自分と比べると、正しい選択をする判断力、出会った人たちの数、仕事のスキルなど、数えきれない学びを得ているはずです。
それによって幸福感が高まり、「コツをつかめば、いくらでもワクワクできるんだ」という気持ちで毎日を慈しみながら過ごしてくださいね!