教えてくれたのは……管理栄養士 若山あみさん
愛知県にある「あさひの森 内科消化器クリニック」の管理栄養士。クリニックでは保険診療で野菜の栄養と体へのメリットについて栄養指導を行っている。
キャベツの栄養と体へのメリット
1年中おいしく食べられて、比較的安く買いやすいキャベツ。実は、体がよろこぶ栄養がたっぷり入っているのです。主要な栄養素5つと、その栄養が体にあたえてくれるメリットをご紹介します。これからキャベツをより食べたくなってしまいますよ!
1.ビタミンC
人間の体に存在するたんぱく質の約3分の1を占めるコラーゲン。ビタミンCはそのコラーゲンの合成に関わる栄養素です。
コラーゲンは細胞同士をつなぐ役割があり、ビタミンCを摂取してしっかりコラーゲンを合成することで、血管はしなやかで丈夫になり、関節はスムーズに動き、肌にはハリを生み出します。
また、免疫細胞の活性化を促進することで、感染症や風邪を予防もしてくれます。
さらに抗酸化作用を持ち、体内の活性酸素を除去することで老化防止にもなります。また貧血予防にも効果的。
2.食物繊維
食物繊維には「水溶性」と「不溶性」の2種類があります。キャベツに多く含まれるのは「不溶性食物繊維」で、便のかさを増やして腸を刺激し、便秘を解消する効果があります。
また糖の吸収を緩やかにして、血糖値の急激な上昇を抑制します。血糖値の安定化は、糖尿病の予防に役立つのです。さらに食物繊維はコレステロールを吸収し、排出するのを助けるため、動脈硬化のリスクが低減します。
3.葉酸
水溶性ビタミンの一種で、血液を作る上で重要な役割を担う栄養素であり、ビタミンB12と共に赤血球の生産を助けます。
葉酸は新しい細胞が合成されるとき、細胞の遺伝子情報が詰まっているDNAを合成するための補酵素として働きます。葉酸が関わり、細胞が正確に分裂することで、正常な細胞が新たに生まれ、新陳代謝や成長をサポートしてくれるのです
葉酸は細胞分裂の増殖に深く関わっているため、胎児の正常な発達においても重要な栄養素として妊婦さんにうれしい栄養素といえます。
4.ビタミンK
血液の凝固作用において重要な役割を担う脂溶性ビタミン。
血液を凝固させる働きを持つ「プロトロンビン」が肝臓で生成されるときに、ビタミンKが手助けをして、正常な血液凝固が行なわれるようにしているのです。
またカルシウムを骨に吸着させ、骨を形成させるはたらきも。血管壁の強化にも関わり、動脈硬化を防ぐ役割があります。
5.ビタミンU(キャベジン)
ビタミンUは厳密にはビタミンではなく、ビタミンに似たはたらきをするビタミン様物質。胃の粘膜を保護して、胃腸の粘膜の新陳代謝を促進してくれます。また、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の予防に繋がります。
体にうれしい栄養たっぷり!
キャベツは体にうれしい栄養がたっぷり。5月初旬にスーパーで売られているのは、葉がふわふわでやわらかい春キャベツで生でも食べやすいので、栄養を意識してぜひ料理に取り入れてみてくださいね。