頭痛やお腹の張りも要注意!?意外なサインで気づく「帯状疱疹」の初期症状

心と体

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2024.06.19

ワクチンの話題や患者の増加により認知度の高まっている「帯状疱疹」ですが、意外な初期症状から始まるケースがあることをご存じですか? 突然始まった頭痛や腹痛の原因が、じつは「帯状疱疹」だったという【2つの事例】について、皮膚科専門医の鶴町宗大先生に詳しく教えていただきました。

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教えてくれたのは……鶴町宗大(つるまちむねひろ)先生

鶴町先生画像

医学博士、皮膚科専門医。医療法人 鶴町会 理事。獨協医科大学医学部卒業後、順天堂大学浦安病院 皮膚科教室にて研鑽を積み皮膚科専門医を取得。現在、つくば・土浦鶴町皮膚科クリニックの副院長として、皮膚科・美容皮膚科を通じて、健康で美しい肌の実現を目指して、肌の悩みをトータルにサポートできるよう診療を行っている。

意外な初期症状から「帯状疱疹」の診断に至った2つの事例

前回の記事に続き、意外なサインから始まった「帯状疱疹」のさらに2つの事例について、詳しく教えていただきます。

【case1】58歳 女性の場合

【帯状疱疹ができた部位と、気づいたきっかけ】
数日前から急に頭痛があり、心配になり総合病院の内科を受診し各種検査を行うも、原因が分からずに鎮痛剤のみ処方されていました。
その後、額の左側に赤みを伴う水膨れ(水疱)が出現し、左目が腫れてきたので、直ぐに皮膚科の診療所を受診し顔の帯状疱疹の診断となりました。
同日に眼科の診療所も受診したところ、目には問題はありませんでした。

帯状疱疹画像出典:www.photo-ac.com

【治療法】
診断後より抗ヘルペスウイルス剤の内服及び鎮痛剤内服を行いました。皮疹は1週間程度でカサブタとなり2週間ほどで改善し、目の腫れも引いてきました。

【痛みの状況】
治療開始後より徐々に痛みは軽減するも、残存していました。そのため定期的に外来通院にて鎮痛剤内服の調節を行った結果4ヶ月程度で改善しました。現在、鎮痛剤の使用をせずとも、痛みはなく生活ができています。

【case2】59歳 男性の場合

【帯状疱疹ができた部位と、気づいたきっかけ】
2日前から腹部の張り(腹部膨満感)と左側腹部に軽度の痛みを認めました。その後、左側腹部に赤みを伴う水膨れ(水疱)を多数認めると同時期に、食欲が減退し排便も認められなくなったので、総合病院を受診しました。
皮膚科にて左側腹部の帯状疱疹の診断となり、同日に受診した内科では画像検査にて腸管拡張を認めたので麻痺性イレウス(腸閉塞)*の診断となりました。

*麻痺性イレウスとは、腸管が麻痺して腸の蠕動運動が障害された状態。

帯状疱疹画像出典:www.photo-ac.com

【治療法】
即日入院となり、抗ヘルペスウイルス剤点滴を開始しました。
また、飲食を制限して、輸液療法も開始されました。その後、皮疹は1週間程度でカサブタとなり2週間ほどで改善しました。また、お腹の張りなどの腹部症状は抗ヘルペスウイルス剤点滴を開始してから数日で改善し、排便も認められるようになりました。
そのため、麻痺性イレウスが解除されたと判断し、抗ヘルペスウイルス剤点滴終了後に退院となりました。退院後は腹部症状の再発なく経過しています。

【痛みの状況】
痛みは元々軽度でしたので、入院中は痛みに応じて適宜鎮痛剤の投与を行ない改善しました。退院後も、痛みはなく生活ができています。

意外な症状が「帯状疱疹」の兆候だったケースも……

帯状疱疹画像出典:www.photo-ac.com

頭痛や腹痛は日常的に起こりやすい体の不調なので、その原因が「帯状疱疹」であることに早期に気づくのは難しいかもしれません。
しかし実際の事例のように、帯状疱疹の原因であるヘルペスウイルスが別の疾患を引き起こす可能性もあります。いつもとは違う異変を感じたら、帯状疱疹の可能性も視野に入れてできるだけ早めに受診しましょう。

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著者

鈴木杏

鈴木杏

研究機関の秘書を経て、現在は子育てしながらライターをしています。夫の影響でアウトドア好きになり、今ではキャンプ歴も20年に!キャンプに関する情報や生活に役立つ情報をお届けしていきます。

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