【帯状疱疹でよくある事例10選】虫刺されだと思っていたら「帯状疱疹」だった#医師に聞く

心と体

stock.adobe.com
 【帯状疱疹でよくある事例10選】虫刺されだと思っていたら「帯状疱疹」だった#医師に聞く

2023.10.31

帯状疱疹というと、“強い痛みがある”、“帯状に皮疹が広がっている”、といったイメージをもつ方が多いかもしれません。しかし、「はじめは虫刺されだと思って受診をしたら、じつは帯状疱疹だったというケースも多く見られます」と、きくち総合診療クリニックの理事長である菊池大和先生はおっしゃいます。そこで今回は「帯状疱疹の初期症状の事例10選と予防策」について教えていただきました。

広告

教えてくれたのは……菊池 大和先生

菊池大和先生

医療法人ONE きくち総合診療クリニック理事長 菊池 大和先生
日本救急学会救急科専門医、日本外科学会外科専門医、日本慢性期医療協会総合診療認定医。

平成29年4月11日に「きくち総合診療クリニック」を開院し、令和元年に医療法人ONEを設立。「病気を診て、人を診て、一人でも多くの命をやさしく包み込む医療を提供する」ことを診療基本理念としている。

帯状疱疹のよくある初期症状とは?〈事例10選〉

前回の記事では「帯状疱疹の好発部位と起こりうる合併症」について、ご紹介しました。

実際に帯状疱疹になった方は、どのような症状で気づき、どのような治療をして完治・改善していったのでしょうか? よくある事例を教えていただきました。

帯状疱疹よくある事例10選出典:www.photo-ac.com

<case1>

虫刺されだと思っていたが、3日経って背中に発疹が広がる。ピリピリと痛くなってきたので受診。視診上、水疱を伴う皮疹が集まっており、帯状疱疹と診断。抗ウイルス薬を1週間分と炎症を抑える軟膏、鎮痛剤を処方し、1週間後にかさぶたになって終了した。

<case2>

1週間前から、頭の右だけピリピリと痛かった。そこから6日ほど経ち、耳の中に発疹ができたので受診。帯状疱疹と診断し、投薬治療して軽快した。

<case3> 

3日前に胸が痛かった。家族に見てもらったら、背中に皮疹があった。3日経って胸にも皮疹が出てきたので受診。肋間神経に沿った痛みと皮疹で、帯状疱疹と診断。抗ウイルス薬と鎮痛剤で軽快した。

<case4> 

1日前から胸に皮疹が出てきた。翌日になって一気に広がってきたので受診。しかし、広がりがひどかったため、その後も半年痛みが続き、鎮痛剤を内服している。

<case5>

仕事のストレスで不眠が続いていた。右胸に痛みがあったが、そこまで強くないので放置していた。1週間経っても治らなかったので受診。背中を見ると発疹があり、帯状疱疹と診断。1週間投薬して軽快した。

<case6> 

右足に痛みを感じたので受診。認知症もあり診断が難しかったが、翌日に再度受診してもらい、発疹を確認。投薬して軽快した。

<case7> 

耳の中に痛みを感じたので受診。耳の中に発疹を認め、投薬した。1か月経っても、まだ痛みが続いている。

<case8> 

右顔面が突然動かなくなり、その翌日に目の周りに発疹が出てきたので受診。帯状疱疹による顔面神経麻痺と診断し、投薬。現在は顔面神経麻痺のリハビリに通っている。

<case9>

背中に虫刺されがあるとのことで受診。痛みはなし。帯状疱疹が疑わしいが経過観察し、3日後に受診してもらったところ、発疹が帯状にでているために投薬開始。1週間後に軽快した。

<case10>

お腹の痛みがあったので受診。まだ発疹はなし。その翌日に受診したところ、ピリピリと痛みがあり、発疹が出ているため投薬。1週間後に軽快したが、痛みは3か月続いている。

10つの事例を見ると、帯状疱疹が発症する部位はさまざまであるうえに、突然その部位に痛みや違和感を感じるケースが多いことがわかります。
単なる“虫刺され”だと軽い気持ちで受診したら帯状疱疹だった……ということも多いようなので、注意が必要です。

帯状疱疹後神経痛を防ぐため現在できる「4つのこと」

上記の事例にもあったとおり、帯状疱疹は重症化してしまうと神経痛が残ることも。つらい痛みが続いてしまう神経痛を防ぐために、できることはあるのでしょうか?

菊池先生「まずは、帯状疱疹にならないことが一番です。

普段から健康に気をつけることが第一出典:www.photo-ac.com

  • 疲れやストレスをためない……十分な睡眠をとり、ストレス発散を上手に行う。
  • バランスのとれた食事を摂る……たんぱく質を多く、糖質・脂質を控えめにすることを意識する。糖尿病を持っている方は、血糖のコントロールがより必要です。

など、普段から健康に気をつけることが大切と言えます。

ワクチン接種をはじめ、早期受診・早期治療も重要出典:www.photo-ac.com

つぎに、重症化しないためのワクチン接種を受けることです。ワクチンは接種すると20年有効と言われています。帯状疱疹の発症は50歳以上の方に多いので、該当する方は検討するとよいでしょう。

そして、早期発見・早期治療も重要です。痛みだけで受診する方は少ないですが、皮疹が出てすぐ受診すれば、抗ウイルス薬を1週間内服すると軽快します。皮疹が出てから3日以内に受診していただくのがベストです。」

現在では、ワクチン接種費用の一部を助成する自治体も増えています。身体に異変を感じたときに早めに適切な治療を受けられるように、まずは帯状疱疹について「知る」ことが大切ですね。
※助成の有無は、自治体によって異なります。お住まいの自治体のホームページなどで確認してください。

広告

著者

shukana

shukana

小学生、幼稚園児の男の子のママ。出産前まで紳士服業界に携わり、TES(繊維製品品質管理士)の資格を取得。 暮らしをより楽しく、よりラクに過ごすための方法を日々模索中です。

気になるタグをチェック!

saitaとは
広告