帯状疱疹ワクチンは打つべき?悩む前に知っておきたい「免疫力を維持する4つのポイント」

心と体

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2023.07.23

痛みをともなう発疹があらわれる帯状疱疹。特効薬があり、治療できる病気ですが、かからずに済むならそうしたいですよね。予防するには、どんなことに気をつけたらいいのでしょうか。オックスフォード大学にて免疫学を学んだ医学博士・新見正則先生に、「免疫力維持のポイント」について教えていただきます。

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教えてくれたのは……新見正則先生

新見先生出典:niimimasanori.com

オックスフォード大学医学博士(免疫学)。新見正則医院院長
外科医×免疫学者×漢方医。2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。世界初の抗がんエビデンスを獲得した生薬フアイアの啓蒙者。最新刊『しあわせの見つけ方 予測不能な時代を生きる愛しき娘に贈る書簡32通』。

帯状疱疹の予防には、免疫力の維持が大切

帯状疱疹は早めに受診して特効薬を服用することで、治療できる病気です。とはいえ、突然の発疹に驚いたり、痛みに苦しんだりしないよう、帯状疱疹の予防ポイントは知っておきたいものですよね。日常生活で、どのようなことに気をつけたらいいのでしょうか?

帯状疱疹出典:stock.adobe.com

新見先生 「帯状疱疹を必要以上に怖がる必要はありません。発症するまでは、原因となる水疱瘡のウイルスとは共存していたわけです。免疫力を維持していれば、ウイルスが悪さをすることはありません。
からだの調子が悪かったり、免疫力が低下したりすると、帯状疱疹がむくむくっとあらわれる。帯状疱疹を防ぐには、免疫力をキープすることがとても大切なんです。」

免疫力がキープできている状態とは?

「免疫」という言葉はなじみがあるようで、実態がつかみにくいものですよね。「免疫力をキープする」というのは、どのような状態なのでしょうか?

新見先生 「イメージとしては、『免疫=警察官』だと考えてみてください。
軽犯罪がちらほら起こっていると、警察官は気を張って巡回を続け、街には緊張感が漂います。
一方、ほんの小さな事件さえ起こらなくなると、警察官が巡回する回数や人数が減って、これまでの緊張感がキープできなくなります。そうした状況でちょっとした犯罪が起こると、対応できずに大変なことになってしまうわけです。」

免疫力出典:stock.adobe.com

新見先生 「感染症予防で大切なのは、ウイルスに感染しているけれども発症しないということを繰り返すことです。これを『ブースター効果』といいます。これを繰り返していれば、免疫力を維持できます。
しかし、皮肉なものですが、水疱瘡のワクチンを打つ人が増え、世の中から水疱瘡という病気が減っていくと、人々の水疱瘡に対する免疫が落ちて、ブースター効果が効かなくなる。これが、帯状疱疹が増加している根底的な原因です。

つまり感染症への対応は、2つしかない。ひたすら逃げるか、どこかでかかるか。この二択なんです。」

免疫学者が教える、免疫力を維持する4つのポイント

帯状疱疹などの感染症から逃げ続けていたら、社会生活が成り立たなくなってしまう恐れがありますが、発疹や痛みが続くのはつらいものですよね。もしかかるなら、軽い症状であってほしいと思ってしまいますが……。

新見先生 「それでいいんですよ。かかって軽く済む、またはウイルスに曝露したけど発症しないのが一番いいんです。」

そのためには、「免疫力を維持しておくことが大切」と新見先生。新見先生が患者さんにいつも話しているという免疫力を維持する4つのポイントを紹介します。

日光を浴びる

太陽出典:stock.adobe.com

新見先生 「日光を浴びると、皮膚でビタミンDがつくられます。できるだけ毎日10〜15分程度外出して太陽の光を浴びましょう。気になるなら日焼け止めを塗ってもいいですよ。
ビタミンDが必要ならサプリを飲んだらいいんじゃないかと思うかもしれませんが、日光を浴びて自然にビタミンDをつくることが大切です。」

適度な運動をする

歩く出典:stock.adobe.com

新見先生 「激しい運動でなくてもOK。散歩など、自分がやりやすい運動を始めましょう。外を10〜15分ほど散歩すれば、日光浴にもなって一石二鳥です。」

なるべくストレスを減らす

ストレスを減らす出典:stock.adobe.com

新見先生 「ストレスへの対峙方法は、感染症予防の考え方と基本的には同じです。適度なストレスを感じていると、レジリエンスがつきます。ただし、命に関わるストレスからは、一目散に逃げましょう。」

バランスよく食べる

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新見先生 「特定の食べ物ばかり食べたり、極端に避けるのはお勧めしません。さまざまな食材をバランスよく食べましょう。」

帯状疱疹ワクチンは打つ?打たない?

帯状疱疹には、予防のためのワクチンがあります。生ワクチン「ビケン」と不活化ワクチン「シングリックス」という2種類があり、どちらも保険適用はない任意接種で、接種費用は自己負担です。
自治体によっては、主に50歳以上を対象に、接種費用を助成する動きが広がっているようですが、接種するか否かについて、どのように考えたらいいのでしょうか?

新見先生 「加齢や免疫力の低下を感じる人は、帯状疱疹のワクチンを打っていいと思いますよ。免疫力といわれて判断しにくいなら、『健康力』と置き換えて考えてみてください。自分の健康力が落ちてきたと思ったら、ワクチンを打つという選択肢もアリです。」

ワクチン出典:stock.adobe.com

新見先生 「ちなみに、僕はいま64歳ですが、帯状疱疹ワクチンは打ってないです。水泳やトライアスロンもしているし、自分は元気だと思っていますから。
僕は免疫学を学んできた人間だから、ワクチンは大好きなんですよ。ワクチンで病気が無くなればいいと本気で思っている。ただ、ワクチン推進派でもなければ、反ワクチン派でもなく、あくまで中立。命に関わるものからは逃げて、命に関わらないものには立ち向かうというのが基本姿勢です。帯状疱疹ワクチンを打つかどうかは、本人の自由でいいと思っていますよ。そして、僕が啓発している免疫力アップの明らかなエビデンスを有する生薬フアイアを内服する方法もあります。僕も家内もフアイアを内服していますよ。」

免疫力を維持することが、帯状疱疹の予防にもつながるのですね。新見先生が教えてくれた4つのポイントを意識して、日々を健やかに過ごしましょう!

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