お尻の痛みや排尿困難で気づくケースも?「帯状疱疹」の意外な初期症状

心と体

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2024.06.15

「帯状疱疹」は、80歳までに約3人に1人が発症するといわれており、一生のうちにかかる可能性の高い病気です。また、身近な病気ではあるものの、即日入院が必要なほど重篤な症状を併発してしまうケースもあるのだそう。今回は、皮膚科専門医の鶴町宗大先生に、”実際に帯状疱疹の診断を受けた患者の【2つの事例】”について教えていただきました。

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教えてくれたのは……鶴町宗大(つるまちむねひろ)先生

鶴町先生

医学博士、皮膚科専門医。医療法人 鶴町会 理事。獨協医科大学医学部卒業後、順天堂大学浦安病院 皮膚科教室にて研鑽を積み皮膚科専門医を取得。現在、つくば・土浦鶴町皮膚科クリニックの副院長として、皮膚科・美容皮膚科を通じて、健康で美しい肌の実現を目指して、肌の悩みをトータルにサポートできるよう診療を行っている。

意外な初期症状から「帯状疱疹」の診断に至った2つの事例

【case1】46歳 女性の場合

【帯状疱疹ができた部位と、気づいたきっかけ】
数日前から左腰にチクチクする痛みを認めていたところ、赤みを伴う水膨れ(水疱)が出現したため皮膚科診療所を受診し帯状疱疹の診断となりました。

帯状疱疹画像出典:www.photo-ac.com

【治療法】
診断後より抗ヘルペスウイルス剤の内服及び鎮痛剤内服を行いました。皮疹は1週間程度でカサブタとなり2週間ほどで改善しました。

【痛みの状況】
治療開始後より改善傾向を示し、2週間後には極軽度の痛みが残る程度までになりました。現在は鎮痛剤の使用をせずとも、痛みなく生活ができています。

【case2】45歳 男性の場合

【帯状疱疹ができた部位と、気づいたきっかけ】
3日前から排尿困難を認めており、徐々に悪化し受診当日にはほぼ尿が出なくなり腹部の張りを認めた。
また、受診前日より右殿部に痛みを認め、受診当日には赤みを伴う水膨れ(水疱)を認めたので、総合病院を受診しました。皮膚科にて右殿部の帯状疱疹の診断となり、泌尿器科にて帯状疱疹に伴う膀胱障害「尿閉※」の診断になりました。

※尿閉:尿意があるにもかかわらず排尿できない状態。

帯状疱疹画像出典:www.photo-ac.com

【治療法】
即日入院となり、抗ヘルペスウイルス剤の点滴を開始しました。
また、膀胱障害に対しては、症状改善を図る内服薬に加えて尿道カテーテルを留置し尿閉を解除しました。抗ヘルペスウイルス剤の点滴に伴い皮疹は1週間半程度でカサブタとなり3週間ほどで改善しました。
膀胱障害は3週間ほど続きましたが、退院時には自分で尿ができる状態になり、その後は日常生活にも支障がありません。

【痛みの状況】
痛みは入院中に鎮痛剤の投与を行ない改善傾向を示すも、軽度残存しました。そのため退院後も定期的に外来通院にて鎮痛剤内服の調節を行った結果5ヶ月程度で改善しました。
現在、鎮痛剤の使用をせずとも、痛みはなく生活ができています。

放置は禁物!異変を感じたら早期受診を

「帯状疱疹」は皮ふの症状に留まらず、膀胱障害まで引き起こす可能性のある怖い病気なんですね。患部の痛みや発疹に気づいて受診する人がほとんどだと思いますが、一見関係がないと思われる体の異変が、じつは「帯状疱疹」の初期症状かもしれません。
重症化を防ぐためにも、気になる症状が現れたらすみやかに受診しましょう。

次回も、意外なサインで気づく「帯状疱疹」の初期症状についてご紹介します。

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著者

鈴木杏

鈴木杏

研究機関の秘書を経て、現在は子育てしながらライターをしています。夫の影響でアウトドア好きになり、今ではキャンプ歴も20年に!キャンプに関する情報や生活に役立つ情報をお届けしていきます。

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