教えてくれたのは……草ヶ谷英樹(くさがやひでき)先生
医学博士、日本内科学会 内科認定医/総合内科専門医、日本呼吸器学会 呼吸器専門医・指導医。呼吸器・アレルギー科専門医として大学病院勤務中に、精巣腫瘍や原因不明の顎関節症などで長期入院を経験。自分が患者という立場になり、医療はもっと患者に寄りそうべきだ、自分らしい医療に取り組みたいという思いが生じ、2021年に祖父・父から続く「草ヶ谷医院」を継承し独立。
「帯状疱疹」ってどんな症状︖
「帯状疱疹」と聞いて、”強い痛み”を連想する方も少なくないと思います。
病気を正しく恐れるために、初期症状や症状の経過、重症化によって引き起こされる後遺症について教えていただきます。
「帯状疱疹」の始まりと症状の経過について
多くの場合、皮膚の違和感や痛みから始まります。
かゆみ、しびれとして感じる程度から、ピリピリ、チクチク、ズキズキ痛む場合もあります。
針で刺されたような感じとお話される方もいます。
皮膚そのものはきれいなので最初は診断がつけづらいですが、その後時間があいて、赤い発疹(ほっしん)が帯状に現れます。
徐々に痛みが強くなり、眠れないほど痛むこともあります。
症状は神経の流れに沿って現れるため、体の左右のどちらかに帯状にみられることが多いです。
主に腕や胸、背中など上半身にみられます。
なかには顔や首など外見上気になるところに現れることもあります。
その後、赤い発疹に水ぶくれができ、水ぶくれが破れてただれた状態になり、最終的にかさぶたになって症状がおさまります。
この間2~3週間かかります。
「帯状疱疹」の重症化により起こりうる後遺症について
帯状疱疹の発疹や水ぶくれは治療をしなくても治る場合がありますが、治療が遅れたり治療しないまま放置すると、頭痛や39℃以上の発熱などの全身症状が現れることもあります。
特に首から上の帯状疱疹では、重症化すると失明や顔面神経麻痺、難聴を引き起こすことがあるため注意が必要です。
できる限り早く医療機関を受診し治療を始めることが重要です。
成人後に発症した「帯状疱疹」の再発はある?
「帯状疱疹」は、子どもの頃に感染した水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスが体内の神経節に潜伏し、免疫力の低下により再活性化したものです。
では大人になってから帯状疱疹を発症したことのある人が、再び発症する可能性はあるのでしょうか。
また、どのような状態のときに再発の可能性が高まってしまうのでしょうか?
「帯状疱疹」の再発とその原因について
帯状疱疹は1回なったらもう安心というわけでなく、2回、3回とかかる場合もあります。
再発の際は、初めて発症した部位と大半が異なるといわれています1)。
2回目の帯状疱疹は、50歳以上、さらに女性に多いと報告されています。
体の神経節に隠れている帯状疱疹ウイルスが、体が何かの要因で弱ったときに暴れ出し、症状を出すことが帯状疱疹の発症の原因です。
一度暴れ出した帯状疱疹ウイルスを薬で抑えても、その後もやはり神経節に隠れ続けているため、再び体が弱ったとき、免疫力が落ちたときに繰り返しウイルスが暴れてしまうと、また症状が出るわけです。
それでも1年以内に再発するのは極めて少ないと報告されています2)。
1) 外山 望:皮膚科の臨床63(6):980-983, 2021
2)Shiraki, et al. Open Forum Infectious Diseases. 2017; 4(1): ofx007
次回は、「帯状疱疹になりやすい人の特徴と、予防のために注意すべき点」についてご紹介します。