教えてくれたのは……マインドトレーナー 田中よしこさん
株式会社コレット代表取締役。心理学・脳科学、コーチングの知見を取り入れ、「自分を本当に知る」ことをメソッド化。個人セッションやセミナーなどを中心に、潜在意識を整え、本心と「未来の理想の思考」を引き出す方法を伝えている。著書に『自分の気持ちがわからない沼から抜け出したい』(KADOKAWA)がある。
他人の目を「気にする人」と「気にしない人」の心理的特徴
他人の目を気にして、自分の行動や意見を抑え込むことはありませんか?
例えば、新しいファッションに挑戦しようと思っても、「周りからどう思われるだろう」と気にしてしまって結局無難な選択をしたり、伝えたいことを我慢したりすることはないでしょうか。
一方で、人目を気にせず、自分のスタイルを貫ける人もいます。
他人の目を「気にする人」と「気にしない人」には、どのような違いがあるのでしょうか。心理的な特徴の3つの違いをお届けします。
1.「自己肯定感」の違い
他人の目を気にする人は、自己評価が低い傾向があります。
心理学者コリー・キーガンの研究によると、自己評価が低い人は他人からの評価に依存しがちで、人目を過度に気にすることが分かっています。これは、他人になるべく悪い印象を与えないように、気に障らないようにと配慮からくるものです。
一方で、気にしない人には、自己肯定感があります。そのため、人目に左右されず、自分が良いと認めたものを信じられるのです。自分の感情や決めたことを大切にして尊重し、気持ちよく過ごすことができています。
2.自分の中の「枠」の捉え方の違い
他人の目を気にする人は、波風が立つことや変化が苦手だという特徴があります。
無意識のうちに「普通が一番」「目立たないようにしなければ」と自分に言い聞かせ、他人と同じ“一般的な普通”と同じであることを良しとしています。そのため、周囲にアンテナをはり、自分にとって安全だと思う枠の中で過ごす傾向があります。その枠からはみ出ると、「わがままだ」「空気が読めない」といったマイナスイメージを持ってしまうのです。
他人の目を気にしない人は「自分も良いし、相手も良い」と捉えています。それぞれ違いがあるのは自然なことだと受け入れられているため、人目を気にせず、のびのびと過ごしています。
他人の目が気になる場合は、自分が持っている枠を見直すことから始めてみましょう。
3.「過去の経験の捉え方」の違い
過去の経験は、人目を気にするかどうかに影響を及ぼすことがあります。
他人の目を気にする人は、過去に否定的な評価を受けていたり、恥ずかしい思いをしたりしたことが、長い間心に残るトラウマになっている傾向があります。
心理学者アルバート・バンデューラの『社会的学習理論』にも、人は過去の経験や観察から学ぶことが記されています。人目を気にしない人は、過去の成功体験や自己肯定感を高める経験を多く持っており、それが自信や他人との関わり方につながっているのです。
他人の目が気になって生きづらいと感じている人は、自分の過去の経験で何があったのかを振り返ってみましょう。
他人の目が気になるのは自然なこと。心地よく過ごすために見直しを
みなさんに知っておいていただきたいのは、脳の習性として「他人の目が完全に気にならなくなることはない」ということ。多かれ少なかれ、気にするのは自然なのです。
誰もが故意に嫌われることを望むわけではありません。しかし、他人の言動をコントロールすることはできないのも事実です。
私たちの生きる時間は限られています。
他人の目を完全に気にしないことは難しいかもしれませんが、自分自身も相手も心地よく過ごせるよう、どのように行動するとよいのかを改めて考えてみてくださいね。