熱帯夜は「暑さ指数(WBGT)」の上昇に要注意
夏の睡眠時には、エアコンをつけていないと熱中症の警戒が必要な環境になることがあります。
こうした熱中症のリスクをはかる指標としてには「暑さ指数(WBGT)」(※1)が用いられます。
エアコンを朝まで「つけっぱなし」にしておくと、一般的に熱中症の危険性が少ないといわれる程度のWBGTに抑えることができます。気温や湿度が高い日は、エアコンをタイマーで切るよりも朝まで「つけっぱなし」にした方が、快適な睡眠にもつながると考えられます。
※1:熱中症のリスクを増大する要因である気温、湿度、日射・輻射をもとに算出される(単位は℃)
熱帯夜に「睡眠の質」を意識して熱中症のリスクを下げる
帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長・帝京大学医学部救急医学講座教授の三宅 康史(みやけ・やすふみ) 先生は、「熱帯夜でも睡眠の質を意識して過ごすことで、翌日の熱中症のリスク低下につながる可能性がある」とお話されています。詳しく3つのポイントをみていきましょう。
1.寝るとき、起きたときに不調を感じたら、軽い熱中症?!
体調に違和感なく寝たにもかかわらず、朝起きたときにだるくなっているなどの体の不調を感じた場合は「軽い熱中症の可能性」も疑った方がよいでしょう。
寝室が暑かったり、寝る前に十分に水分補給ができていなかったりすると、体の脱水が夜中に進んでしまい、熱中症になってしまうリスクがあります。
特に熱帯夜は扇風機をつけたり、窓を開けたりするだけでは十分に涼しい環境を作り出せない可能性があります。
エアコンを使用する、寝る前にしっかりと水分補給を行うなどして環境や体を整えることが重要です。
2. 「睡眠の質」を意識して翌日の熱中症リスクを回避!
熱中症を予防するためには、睡眠をしっかりとって体を回復させることが重要です。
暑さで目が覚めてしまったり、寝付けなくなったりすると、「睡眠の質」が低下して体を十分に回復させられなくなってしまうことがあります。
翌日に疲れと熱中症リスクを持ち越さないためにも、過ごしやすい睡眠環境づくりを意識して、質の良い睡眠がとれるように心がけましょう。
3.室内の温度だけでなく「湿度」にも注意して
熱中症の対策には「湿度」も重要です。
室内の湿度が高いと、汗が蒸発しにくくなります。汗が蒸発しづらくなると体の熱をうまく逃がせなくなり、体の中に熱がこもりやすくなってしまいます。
蒸し暑い夜にはエアコンで冷房や除湿をするなど、温度や湿度管理にも注意をしてみてください。
熱帯夜にも役立つ上手なエアコンの使い方のヒント
1. 快適な空間づくりには温度だけでなく湿度も重要
快適な空間づくりには「温度」と「湿度」を調節することが大切です。湿度が20%変われば体感温度は約4℃変わるといわれています。
ダイキンが試験室で行ったサーモグラフィによる可視化検証試験(※2)では、温度28℃、湿度85%の環境から温度は変えずに湿度を60%にすると、被験者12名のうち10名の手や顔の皮膚温度が低下する様子がみられました。
室温が高く湿度も気になる場合には、エアコンを使ってコントロールすることが大切です。
2. 寝るときのエアコン使用は、朝まで「つけっぱなし運転」がおすすめ
ダイキンは、神奈川県横浜市にある一般の住宅において、朝までエアコンをつけっぱなしにする「つけっぱなし運転」と切タイマーを使って就寝3時間後にエアコンを切る「切タイマー運転」、それぞれで室内のWBGTの変化を計測しました。
「つけっぱなし運転」ではWBGTに大きな上昇は見られなかったのに対して、「切タイマー運転」の場合はエアコン停止後にWBGTが徐々に高まる結果となりました。
寝ている間にエアコンがオフになると、明け方にはWBGTが熱中症への警戒が必要とされる値になってしまう可能性があります。
気温や湿度の高い日は適度な温度設定で、朝まで「つけっぱなし」にした方が快適な睡眠につながるといえそうです。
※調査結果はあくまでもひとつの目安です。住環境や気温などによって結果は変わります。
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まだまだ暑い日が続きます。睡眠の質を向上させて熱中症対策につなげましょう。