「いい子だね」の落とし穴…。長所を伸ばす「子どもの褒め方」のコツ

家族・人間関係

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2025.07.14

臨床心理士・公認心理師のyukoです。褒めて伸ばす子育てといっても、褒め方には工夫やコツがいります。せっかく意識的に褒めても効果がなかったり、また、褒められるよい子でなければいけないと子どもが感じてしまったり。子どもを褒めるときのコツについて考えていきます。

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「優しい子だね」のレッテルに辛くなる。

気遣い上手のAちゃん。家では妹に好きなおかずやおもちゃを譲ってあげたり、クラスで誰かが困っているとすぐに手を差し伸べられる存在。しかし、小学校高学年にあがった今、友達に宿題を見せてと言われても断れず、むしろ「みんなに見せてあげられるようなノートを書かないと」とプレッシャーになってしまっているよう。優しい性格は長所だけど、これから自分も相手も大事にできるようになってもらうにはどうすればいい?

悩む女子学生出典:stock.adobe.com

親自身、幼いころに褒められた経験が少ないと、子どもを褒めることそのものが一苦労ですよね。それでも子どものよいところを見つけて、「優しくできたね」「いい子だね」「偉いね」とちゃんと褒めている方はすごくお子さん想い。

ただ、「優しくできたね」「いい子だね」という褒め方には落とし穴があるので要注意。褒め方のバリエーションをもつことで、子どもがよりのびのびと長所を伸ばしていけるので、考えていきましょう。

「いい子だね」から一歩踏み込んだ褒めを身に着ける

偉いね、いい子だね、とばかり声をかけられ続けると、「いい子でいなければいけない、価値がない」と思い込んでしまう子もいます。社会的によいとされる行為をされたときのみ、「優しい子だね、いい子だね」と人格を褒められると、自分の気持ちより“どう見られるか”を優先しやすくなるもの。そして、なぜ自分が思いやりをもった行動をするのかを考えず、相手の表情をうかがい、怒らせないような、機嫌をとるような行動を選ぶようになってきます。

褒めるときに重要なのは、「人格」と「行為」を分けて考え、「行為」に注目して褒めるのがおすすめ。
では、どのような声かけが「行為」に注目した褒めとなるのでしょうか。

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「子どもが何をしていたかを見て、記憶する」のがポイント

習い事や友達と遊んだ帰り道、お子さんにはどんな声をかけていますか? 1日あったことを楽しく振り返りながらのんびり帰宅、ができたらよいですが、実際は夕方のあわただしい時間には難しいですよね。そして家に帰ったら、なんとなく子どもがしていたことを思い出し、「今日〇〇ちゃんに優しくできてたね」とフィードバックする親御さんも多いのでは。

もちろん悪くないのですが、もう一歩踏み込んだ褒め方をするためにスマホのメモなどを活用するのがおすすめ。子どもを見ていて、「おっ、うちの子やるじゃん」と思ったときには、そのときにしていた行為をメモしてみてください。

例えば、

  • 横入りしようとする子がいたとき、きちんと制して順番を守っている子が遊べるようにサポートしていた。
  • わが子も大好きなお菓子を友達に譲ってあげていた。
  • 弟がこぼしたスープを拭いてあげていた。
  • 授業参観で、当番じゃないけど日直の仕事を手伝ってあげていた。

黒板に書く女の子出典:stock.adobe.com

そして、気持ちにも時間にも余裕があるとき、「今日〇〇(子どもの名前)がやっていたこと、素敵だったよ」「今日〇〇が~してあげてたから、お友達嬉しそうだったね」など、行為+褒め言葉をセットにしてフィードバックするのがおすすめです。

行為をしっかり褒めてあげられると、子ども自身がなんとなくとった思いやり行動に意味が付与され、「次もやってみよう」と動機づけが高まります。また、「私はよい子だからこうしないといけない」と感じるのではなく、「こうしてあげたら相手が喜ぶかも? あ、喜んでくれた、嬉しい。」と自分に自信をつけていくことができるんです。

ちょっと我慢したかな?と思うときは、ご褒美タイムも◎。

「よく我慢できたね、頑張ったね」だけだと、「我慢するっていいことなんだ」「もっと頑張って褒めてもらわないと」と感じてしまう子も。何かを譲ってあげたり、我慢して優しくできたときは、言葉がけ+ご褒美タイムで我慢の気持ちを消化させてあげるのもおすすめ。

  • 10~15分だけ夜更かし、ゲーム延長OKにする。
  • 翌日や週末に好きなメニューのご飯を作ってあげる。
  • 兄弟なしのおしゃべりタイム、スイーツタイムを作る。

ハグする母娘出典:stock.adobe.com

褒め言葉とともに、子どもにとってのちょっとしたご褒美タイムを過ごせると、親子ともに笑顔の時間を増やすことができます。学年が上がると素直ではなくなる面も増えますが、気持ちを見てくれた、ちゃんとわかってくれたと感じられると嬉しい年頃。素敵な面をたくさん見つけて、しっかり見つめて、子どもの心をぽかぽか温かめてあげられるといいですよね。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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