10年後、どんな力が求められる?
AlexaやSiriが話し相手になり、ChatGPTが文章や絵を描いてくれる時代。
計算や翻訳までも、人の知識がなくてもできる時代になりました。そんな今、AIには備わらない“非認知能力”が注目を集めています。非認知能力とは、テストで測れない「心の力」や「人との関わり方」に関するスキルのこと。自制心や共感力、やり抜く力なども含まれます。
AIは、計算やデータ分析など「決まったこと」を得意にしていますが、人間らしい柔軟さや感情に関してはまだまだ及びません。つまり、10年後、20年後に求められるのは、人だからこそ生きてくる力となってきます。例えば、チームメンバーとして協調する力、感情を理解して共感する力、何かを達成しようと粘り強く頑張る力。これらの力が、将来社会で活躍するために重要だと考えられています。
今回は、夏休みだからこそ考えたい、親子で“非認知能力”を育む方法を考えていきます。
“非認知能力”を育てながら過ごす夏休みのススメ
時間をデザインする力を育てる
「この週は夏期講習、ここは旅行を入れているから前日までに宿題を済ませてね。この週は習い事があるから……」と、親御さんがスケジュールを管理されている家庭は多いと思います。
ですが、「子ども自身が時間をデザインする力」に目を向けるのも大切。「時間をデザインする力=自分で計画を立てて実行する力」は、自分で決めたことを実行する力や先を見通して計画する力と繋がっています。
たとえば、おすすめなのは1週間のテーマを決めて過ごす方法。
- 発見の週:毎日新しいことを発見する。(昆虫の観察、図書館で調べる、知らない道を散歩する)
- 創造の週:絵・日記・工作など、描いたり作ったりする。
- 知識の週:本・YouTube・AIなどから興味のある知識を収集する。
テーマを決めておくと、ふと生じた隙間時間を有効に楽しく過ごすことができます。“どんな夏休みになるかな”ではなく、“こんな夏休みにしていこう!”と主体的に考えていけるといいですよね。
自分を発見・研究する力を育てる
人として、より豊かな資質を培っていくには自分を知ることがとても重要。
自由な時間が多くある夏休みは、「好き!」や「なんで?」とじっくり向き合う機会ともなります。自分で選び、自分で進める体験を通じて、自分を発見・研究する力を育てられるとよいでしょう。
例えば、
- 自分研究ノートを作る:「私の好きなことランキング」「今気になっていること3つ」「今日の発見・疑問」など形式を定めず可視化してみる。
- ぼんやり過ごす時間を作る:キーワードはデジタルデトックス。家の中のお気に入りの場所でも、散歩でもよいので、何も持たずぼんやり過ごす時間を作る。
- 自分だけのプロジェクトをやってみる:図鑑で見かけた花や虫を探す、散歩をVlog風に動画としてまとめてみる、近所のお気に入りスポットを地図にまとめるなど。
アイデアがでてきそうな子は、親がサポート的な声掛けをすることで、予想外の方向に自分で進んでいけます。思いつかない、どう動いてよいかわからない子はAIの力を借りてもよいかもしれません。
「自分研究ノートを作ってみたいんだけど、どんな内容がいいかな?」「自分だけのプロジェクトをしてみたい。よい案ない?」などとChatGPTに尋ねてみてからスタートするのもおすすめです。
AIに頼る、AIを鵜呑みにするのではなく、AIを活用する力も身に着けていけるといいですよね。
「付き合ってあげる」のではなく「一緒にやってみる」
現代は、AIやスマホなどが身近にあり、親がすべてを教えられる時代ではなくなりました。ですが、だからこそ「一緒に学んでみよう」と子どもに寄り添う姿勢が、親子の豊かな時間となるでしょう。
何かを“やらせてあげる”ではなく、“一緒に楽しむ”姿勢が、子どもの自己肯定感や探求心を育てていきます。知らない世界を一緒にのぞいてみる。そんな関わり方が、今の子育てにぴったりのかたちかもしれません。