うちは、親ガチャ当たり?はずれ?
小6の娘が「〇〇ちゃんの家は親ガチャ大当たりでいいなあ」とスマホをいじりながら一言。冗談っぽく軽く言っていたので聞き流したが、なんだかモヤモヤ。子どもたちのためにできることはしてきたつもりだけど、うちは親ガチャはずれだと思ってるのかな? 子どもは親ガチャ当たり/はずれってどういう意味で言ってるんだろう。
最近、「親ガチャ」という言葉を子どもや若者のあいだで耳にするようになりました。この言葉を初めて聞いたとき、驚いた親御さんは多いのではないでしょうか。
「親ガチャ」とは、簡単に言えば「親を選べないこと」への不満や不安を表す言葉です。ガチャガチャを回すように、親が“当たり”か“はずれ”かによって人生が決まってしまう、という感覚から来ているよう。
SNSやYouTubeを通して、さまざまな家庭環境に触れる機会が増えている現代の子どもたち。どうしても自分の家庭と他の家庭を比べ、「もっと〇〇だったらよかったのに」と感じることも少なくありません。特に小学校高学年くらいになると、自分の気持ちを言葉で表現する力が育ってくる時期です。「親ガチャ」という言葉は、そうした子どもたちが、自分の不満や不安を表に出す一つの手段となっているんですね。
親ガチャなんて言われて、ショック……
子どもが親ガチャ当たり/はずれなどと言ってきたら、ショックを受けるのは当然です。一生懸命育ててきたつもりなのに、否定されたような気持ちになることもあるでしょう。でも、そう感じるのは自然なことですし、自分の感情を否定する必要はありません。
大切なのは、子どもがその言葉を使った背景にある気持ちをできるだけ冷静に理解しようとする姿勢。子どもが「親ガチャ」と言うとき、必ずしも親そのものを否定しているわけではなく、「今の環境に不服がある」といった心のSOSであることが多いのです。
たとえば、
- 勉強や部活動で思うような成績があげられない。
- 友達関係がうまくいっていない。
- 身近にいる友達のことが羨ましい。
自分の環境を誰かのせいにしたくなるとき、思わずそうした言葉が出てしまうのかもしれません。そのときに「なんでそんなこと言うの?」と感情的に反応するのではなく、「最近つらいことがあったの?」と、やわらかく声をかけてみる。それだけでも、子どもの心が少し軽くなることがあります。
子どもと本音でつながるためにできること
「親ガチャ」という言葉の奥には、子どもたちの本音が隠れていることも。本音を理解するには、まず親の側が“聴く姿勢”を整えることが大切です。
たとえば、「学校どう?」→「ふつう」というやり取りを変えるために、「最近、ちょっといやだなって思うことある?」と、少し視点を変えて問いかけてみると、意外と話しやすくなることがあります。
そして、子どもに対して教えてあげよう、導いてあげようと思うのではなく、気持ちに寄り添う言葉をかけるのがおすすめです。「そうだったんだ」「それはいやな気持ちになったね」など、そっと支えになる言葉がけがあると、子どもは「ここでなら本音を話してもいいんだ」と感じられるようになります。
「親ガチャ」という言葉は、令和の時代を生きる子どもたちが抱える不安や比較の中から生まれたもの。親がモヤモヤしたときは、子どもと向き合える機会が訪れていると捉え、親子のコミュニケーションを見直していけるといいですよね。