「働いていて楽しいの?」と聞かれて答えに迷ってしまう
「ママ働いていて楽しい? ママを見てると働くの大変そうって思うから私は働きたくないな」 小学校高学年の娘から何気なく言われた言葉。振り返ると、毎日仕事から帰って慌ただしく夕食の準備をして、「疲れた」とつい口にしてしまう毎日。 親としては「頑張って働く姿を見せたい」「子どもに安心して進路を選んでほしい」と思っているのに……。働くことについてどう伝えていけばいいのかな。
共働き世帯が過半数を占める昨今、平日は余裕が少なく、慌ただしい毎日を送っている家族がほとんどではないでしょうか。
子どもは、親の言葉よりも日々の姿から多くを感じます。
- 夜遅くまで仕事をして疲れきっている。
- 休日も電話やメールに追われている。
- 「今忙しいから後にして」と言われることが多い。
こうした光景は、「仕事=大変で、家庭やプライベートが二の次になるもの」として子どもに記憶されやすくなります。
親が「働くって大事だよ」と説明しても、その背中から伝わるのは「しんどそう」「楽しそうに見えない」という印象になってしまうんですね。
令和の子どもが抱える“未来への不安”
いまの小学生は、SNSやニュースを通じて大人の社会を早くから知るもの。
過労やブラック企業といったセンセーショナルな言葉も耳に入りやすく、「働くこと=リスク」と感じてしまう子も少なくありません。
さらに学校では「キャリア教育」が進み、「将来どんな仕事をしたい?」と聞かれる機会も多い時代。
夢を自由に語りたい年頃に、「親の疲れた姿」と「社会の厳しさ」が重なると、「大人になるのが不安」 という気持ちが自然に出てきてしまうんですね。
親の“頑張りすぎ”が逆効果になることも
相談の場でよく聞くのは、「親の頑張りが子どもにプレッシャーになっている」というケース。
「あなたのために頑張ってるんだよ」という言葉は、子どもにとって「自分のせいで親が大変」と映ることがあります。
また、「これだけ大変でも頑張れるんだから、あなたも頑張りなさい」というメッセージは、励ましのつもりでも「働く=つらいこと」という印象に繋がりやすくなるんです。
子どもに“働く楽しさ”を伝えるヒント
では、どうすれば子どもに「働く=希望」と感じてもらえるでしょうか。
しんどさだけでなく、楽しさも話す。
「今のプロジェクトは大変だけど、同僚と協力できて嬉しかった」 「お客さんに“ありがとう”って言われると嬉しいよ」
そんな小さなエピソードが、子どもには“働く喜び”として伝わります。
家での切り替えを意識する。
帰宅後に5分だけでも落ち着いて子どもと話す時間を作れると、「親は大変でも家庭を大切にしてくれている」と伝わります。そして「働きながらでも家族を大切にできる」という安心感にもつながります。
自分の時間を楽しむ姿を見せる。
趣味やリラックスの時間を持つ親の姿は、「働いても自分らしさを大切にできる」というモデルに。“バランス感覚”を示せると、未来への希望が見えやすくなるでしょう。
子どもが「働くのが怖い」と言ったり、不安に思うのは「よく周りを見ている証拠」。
子どもにとって必要なのは「働くことには大変さもあるけど、それ以上に大事な意味や楽しさがある」と本音で言ってくれる大人がいることです。ときには家事や育児の手を抜き、余裕があるときに「大人になるのも悪くないよ」と伝えられるといいですね。