親の頑張りがプレッシャーになる!?子どもに“仕事の楽しさ”を伝える3つのヒント

家族・人間関係

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2025.09.17

臨床心理士・公認心理師のyukoです。仕事に家事、育児と日々忙しく過ごす親御さんが多い今の時代。子どもは親の姿をどう見ているのでしょうか。中には、「ママ(パパ)みたいに仕事も家のこともこなせるかな?」と不安に思う子も。家庭も仕事も大切にする姿勢をどのように見せていけるとよいのでしょうか。

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「働いていて楽しいの?」と聞かれて答えに迷ってしまう

「ママ働いていて楽しい? ママを見てると働くの大変そうって思うから私は働きたくないな」 小学校高学年の娘から何気なく言われた言葉。振り返ると、毎日仕事から帰って慌ただしく夕食の準備をして、「疲れた」とつい口にしてしまう毎日。 親としては「頑張って働く姿を見せたい」「子どもに安心して進路を選んでほしい」と思っているのに……。働くことについてどう伝えていけばいいのかな。

疲れている人出典:stock.adobe.com

共働き世帯が過半数を占める昨今、平日は余裕が少なく、慌ただしい毎日を送っている家族がほとんどではないでしょうか。

子どもは、親の言葉よりも日々の姿から多くを感じます。

  • 夜遅くまで仕事をして疲れきっている。
  • 休日も電話やメールに追われている。
  • 「今忙しいから後にして」と言われることが多い。

こうした光景は、「仕事=大変で、家庭やプライベートが二の次になるもの」として子どもに記憶されやすくなります。
親が「働くって大事だよ」と説明しても、その背中から伝わるのは「しんどそう」「楽しそうに見えない」という印象になってしまうんですね。

令和の子どもが抱える“未来への不安”

いまの小学生は、SNSやニュースを通じて大人の社会を早くから知るもの。
過労やブラック企業といったセンセーショナルな言葉も耳に入りやすく、「働くこと=リスク」と感じてしまう子も少なくありません。
さらに学校では「キャリア教育」が進み、「将来どんな仕事をしたい?」と聞かれる機会も多い時代。
夢を自由に語りたい年頃に、「親の疲れた姿」と「社会の厳しさ」が重なると、「大人になるのが不安」 という気持ちが自然に出てきてしまうんですね。

考えこむ子ども出典:stock.adobe.com

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親の“頑張りすぎ”が逆効果になることも

相談の場でよく聞くのは、「親の頑張りが子どもにプレッシャーになっている」というケース。
「あなたのために頑張ってるんだよ」という言葉は、子どもにとって「自分のせいで親が大変」と映ることがあります。
また、「これだけ大変でも頑張れるんだから、あなたも頑張りなさい」というメッセージは、励ましのつもりでも「働く=つらいこと」という印象に繋がりやすくなるんです。

子どもに“働く楽しさ”を伝えるヒント

では、どうすれば子どもに「働く=希望」と感じてもらえるでしょうか。

しんどさだけでなく、楽しさも話す。

「今のプロジェクトは大変だけど、同僚と協力できて嬉しかった」 「お客さんに“ありがとう”って言われると嬉しいよ」
そんな小さなエピソードが、子どもには“働く喜び”として伝わります。

 家での切り替えを意識する。

帰宅後に5分だけでも落ち着いて子どもと話す時間を作れると、「親は大変でも家庭を大切にしてくれている」と伝わります。そして「働きながらでも家族を大切にできる」という安心感にもつながります。

子どもと話す出典:stock.adobe.com

 自分の時間を楽しむ姿を見せる。

趣味やリラックスの時間を持つ親の姿は、「働いても自分らしさを大切にできる」というモデルに。“バランス感覚”を示せると、未来への希望が見えやすくなるでしょう。

子どもが「働くのが怖い」と言ったり、不安に思うのは「よく周りを見ている証拠」。
子どもにとって必要なのは「働くことには大変さもあるけど、それ以上に大事な意味や楽しさがある」と本音で言ってくれる大人がいることです。ときには家事や育児の手を抜き、余裕があるときに「大人になるのも悪くないよ」と伝えられるといいですね。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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