教えてくれたのは……マインドトレーナー 田中よしこさん

株式会社コレット代表取締役。心理学、脳科学、コーチングの知見を取り入れ、「自分を本当に知る」ことをメソッド化。個人セッションやセミナーなどを中心に、潜在意識を整え、本心と「未来の理想の思考」を引き出す方法を伝えている。『モヤモヤしない考え方』(ワニブックス)/最新刊『私は私を幸せにできる』(KADOKAWA)がある。
しなやかにリーダーシップを取る女性が実践する「メンタル術5選」
「女性総理誕生」というニュースが象徴するように、今まさに“女性がリーダーシップを発揮する時代”が始まっています。責任や期待が重くのしかかる立場で、自分らしさを失わずに進み続けることは、決して簡単ではありません。それでも、しなやかに、芯を持って歩んでいる女性たちがいます。
今回は、社会的に大きな責任を担う女性たちが実践する“メンタル術”を5つのポイントでご紹介します。
1.「調和」を目指す
リーダーに求められるのは、「すべて自分で完璧にこなす力」や「強さ」ではなく、「チーム全体の“調和”を整える力」です。脳科学の観点からも、女性は共感力や全体を見渡す調整力に優れていると言われています。
物事がうまくいかない場面で、私たちの脳はつい「誰が悪いか」に意識を向けてしまいがちです。しかし、そんなときこそ、「どうしたら一緒に進めるか」「目的を最高の形でクリアするには?」といった視点に切り替えることで、周囲との信頼関係が深まります。
2.「感情マネジメント」で信頼を築く
リーダーの感情は、無意識のうちにチーム全体に伝わっていきます。怒りや焦りを感じたときは、「私は今、何に反応している?」「どこに困難を感じている?」と自分に問いかけてみましょう。この問いかけが、脳の興奮を鎮める前頭前野を働かせ、冷静さを取り戻すきっかけになります。
感情に飲み込まれず、落ち着いて対処する姿は、周囲に安心感を与える最大の信頼資産です。
3.「弱さを見せる」ことで強さが増す
「強くなければリーダーではない」という時代は、もう過去のものです。「実は悩んだこともある」「失敗したけれど、こう立て直した」「今こんな気持ちでいる」——そんな人間味のある等身大の言葉こそが、女性リーダーの魅力を際立たせます。
脳は、共感や「私も同じ」だと感じる仲間意識を持つと、愛情ホルモンであるオキシトシンを分泌します。これにより、チーム内の協力関係を自然と深めてくれるのです。
4.「フォーカスマインド」で未来を描く
プレッシャーがかかるほど、人の脳は“問題”にフォーカスしがちです。そんなときこそ、「どんな未来を創りたいのか」を自分自身で言語化し、それをチームと共有することが大切です。
「できない理由」ではなく、「どうすればできるか」「さらに良い状態にするには?」といった前向きな問いに思考を切り替える習慣が身につくと、リーダーとしての存在感と信頼がぐっと引き上げられます。
5.「自分を整える時間」を最優先にする
しなやかさを兼ね備えたリーダーは、まず“自分を満たすこと”の大切さを知っています。朝の10分瞑想、夜の感情ジャーナル、週末の自然散歩、空き時間の呼吸など、どのような方法でも構いません。
脳をリラックスさせて心が整うと、判断力、発想力、人間関係の質までもが自然に高まっていきます。
「完璧」よりも「しなやかさ」を味方に
女性リーダーの時代とは、競争ではなく“調和と共創”の時代です。しなやかにリーダーシップを発揮する女性たちは、自分の感情と上手に付き合いながら、人の心にそっと光を灯していく存在です。
私たちも、見習えるところを取り入れながら、「完璧」よりも「しなやかさ」を意識して、毎日を過ごしていきましょう。





