「ちゃんと育てなきゃ」と感じたときに立ち止まりたい“親の不安の正体”

家族・人間関係

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2026.02.07

臨床心理士・公認心理師のyukoです。小学校高学年になると、親から離れて過ごす時間が増えるからこそ、「今伝えておかないと」と親が焦ってしまうときがあります。焦って親の価値観・正論を一方的に伝えると、子どもの心がシャットアウトしてしまうことも。価値観を押しつけずに子どもと対話する方法を考えます。

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正しいことを言ったのに、関係がこじれてしまう。

最近は「勉強めんどくさい」が口癖の小5の息子。うちは受験はしないものの、よくできる子の話を聞くたびに、うちはこのままでよいのだろうかとモヤモヤしていた。ある夜、「このままで中学大丈夫なの?」「今頑張らないと後悔するよ」「ママは心配してるの」と言葉が止まらなくなってしまった。息子は黙り込み、その後しばらく学校や勉強の話題を避け、部屋にこもりがちに。正しいことを言ったはずなのに。どう伝えればよかったのだろう。

心を閉ざした子ども出典:stock.adobe.com

「正しいことを言ったはずなのに、関係がこじれた」という相談は、臨床の現場でもよくお聞きします。
常に子どもに寄り添うことだけがよい教育ではありません。分かれ道になるのは、伝えたい動機が“不安や焦り”に飲み込まれているかどうかです。

どんなときに飲み込まれてしまうのか、押し付けないためには何ができるのかを考えてみましょう。

不安や焦りが強くなりやすい、親のあるあるな場面

不安や焦りは、突然大きな出来事が起きたときより、日常の小さなモヤモヤが積み重なる中で強まることが多いもの。

例えば、

  • テストの点が下がったとき:「このまま成績が落ち続けたらどうしよう」という将来への不安が一気に広がります。
  • 友だちトラブルを聞いたとき:仲間外れ、無視、ケンカなどを聞くと、親の中の“守らなきゃ”スイッチが入ります。不安が高まると、解決策や正論を急いで提示したくなるもの。
  • スマホやゲーム時間が増えたとき:ダラダラしている姿を見ると、「自己管理できない子になるのでは」という心配が広がります。

悩む母親出典:stock.adobe.com

これらはすべて、子どもへの心配と同時に、親自身の安心感が揺れる場面でもあります。
だからこそ、言葉を出す前に「今、不安が大きいかも」と気づくことが、押し付けを防ぐ最初のブレーキになります。

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言葉を押しつける前に立ち止まるための3つのステップ

まず「今の私は〇〇なんだ」と認める

子どもに言いたくなった瞬間は、実は親の感情が大きく動いたサイン。

  • この子の将来が心配。
  • 周囲に置いていかれる気がする。
  • このままでは私と似た失敗をするのでは?

感じているモヤモヤに「不安」「心配」「焦り」と名前をつけ、気持ちに気づくだけで、言葉の圧は下がります。
感情に気づかないまま話すと、“冷静な意見”ではなく“感情の押しつけ”になってしまうんですね。

「正しいか」ではなく「今必要か」を考える

伝えたいことが浮かんだら、「これは正しい話か?」ではなく「今この子に必要なタイミングか?」と問い直すのが効果的。

不安が強いと、頭の中で「このままだと困る未来」がどんどん具体化し、今ここで方向を変えなければ取り返しがつかないような焦りが生まれます。
一方、子どもは、話の正しさそのものよりも、「この話は安全な関係の中で交わされているか」を先に感じ取ります。
声のトーンが強い、間がない、結論を急ぐ。こうしたサインは「安全ではない」とみなされ、心のシャッターを降ろされてしまうことも。
”防御しないと!”と感じると、どんな言葉も届かなくなってしまうんですね。

心を閉ざす子ども出典:stock.adobe.com

自分の感情を主語にして短く伝える

どうしても伝えたい時は、「なんでやらないの?」ではなく、「ママは少し心配になってる」と、自分の感情を主語にして伝えるのがおすすめ。
“あなたが問題”ではなく“私はこう感じている”という形にするんです。

「私(親)はこう思ってるけど、あなた(子ども)はどう感じてるかな?」と対話の形を作ると、感情の押しつけにはなりません。
気持ちを投げつけられるのではなく、投げかけられるほうが、聞く姿勢になりやすく、また、子ども自身の気持ちを話しやすくなるんですね。

価値観はしっかり伝えるよりも、にじむくらいの方が伝わる

親の価値観は、隠すものではありません。
ただ、不安や焦りに飲み込まれたまま伝えると、子どもには“正しさ”ではなく“圧”として届きます。

子どもに届く言葉は完璧な助言より、「戸惑いながらも一緒に歩いてくれる親の姿」です。
価値観は、言葉でしっかり教えるよりも、日々の関わりの中でにじむくらいの方が、子どもには伝わります。そのにじみ方が、思春期以降の関係を支えていきます。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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