教えてくれたのは……マインドトレーナー 田中よしこさん

株式会社コレット代表取締役。心理学、脳科学、コーチングの知見を取り入れ、「自分を本当に知る」ことをメソッド化。個人セッションやセミナーなどを中心に、潜在意識を整え、本心と「未来の理想の思考」を引き出す方法を伝えている。『モヤモヤしない考え方』(ワニブックス)/最新刊『私は私を幸せにできる』(KADOKAWA)がある。
幸福度が高い人が実践している「思考のリフレーミング術」4つのコツ
梅雨の季節、朝起きてどんよりとした空を見ただけで、心がずしんと重くなる。そんな“なんとなくの憂うつ”を感じることは、決して珍しいことではありません。しかし、お天気に気分まで飲み込まれてしまうのは、もったいないですよね。
今回は、幸福度が高い人が実践している「日常の景色をガラリと変える、捉え直し方のコツ」を4つご紹介します。
1.「やる気が出ない」を「ゆっくりしたい」と翻訳する
「何事にも身が入らない」「体が重い」と感じるとき、多くの人は頑張れない自分をつい責めてしまいます。しかし、これは脳や体からの「お休みが必要だ」という大切なサインです。幸福度が高い人は、この状態を“怠け”ではなく、次のステージへ向かうための“強制充電”と捉え直します。
「今は無理に動かず、パワーを溜めておく時期なんだな」「自分が自分に何か大切なことを伝えようとしているんだな」。そんなふうにメッセージを受け取り、ここ数日に持ったマイナスな感情を確認してみましょう。「これを我慢していたんだな」「あのことをまだ怒っていたんだな」と自分の感情に気づくことで自己否定のループが止まり、心に余裕が生まれていきます。
2.ネガティブな感情を「観察者」として眺める
憂うつな気分になったときは、その渦中にどっぷり浸かるのではなく、少し離れた場所から自分を眺めてみましょう。「私は今、憂うつだ」ではなく、「私の頭の中に、今『憂うつ』という感情が滞在している」と実況中継をするイメージです。
感情を自分自身(アイデンティティ)と切り離すことで、感情は天気のように「いつかは過ぎ去るもの」「自分を占領しているのではなく、今の一部の出来事だ」と確認できます。「あぁ、今は雨雲が通り過ぎるのを待つ時間なんだな」と客観視できると、心は驚くほど安定します。
3.「雨」という出来事に「意味」を後付けしない
私たちは無意識のうちに、「雨=悪いこと」「低血圧=よくない」と、出来事にネガティブなラベルを貼ってしまいがちです。視点を変えて心を軽くするのが上手なリフレーミングの達人は、事象と解釈を切り離して考えます。
雨はただの“事象”であり、そこに“憂うつ”という色をつけているのは自分の心。今年春の水不足でダムの貯水率が0%になった地域では、雨がありがたく素晴らしい存在だとして再確認した方も多かったはずです。このように受け取り方ひとつで感じ方はまったく違ってきます。
「雨だから最悪だ」ではなく、「今日は雨が降っている。以上」と、まずは事実だけを受け止めてみましょう。雨も晴れも、どちらも日々の出来事のひとつです。そこに余計な意味を足さないだけで、心はぐっと軽くなります。
4.「不便さ」を「丁寧な暮らし」へのスパイスに変える
湿気で髪が決まらない、洗濯物が乾かない、傘をさすのが面倒——。そんな小さなストレスも、視点を変えれば“丁寧さ”を取り戻すきっかけになります。「髪がまとまらないから、今日はヘアオイルを丁寧になじませてみよう」「外に行けないから、家でじっくり煮込み料理を作ってみよう」というように、不便さを“手間を楽しむ理由”に置き換えてみるのです。
効率化を求める日常から少し離れ、あえて時間のかかることを慈しんだり、傘置き場を整えたり。こうした心のゆとりが、大人の幸福度をそっと底上げしてくれます。
心の声に耳を澄ませるやさしい時間に
憂うつな気分は、決して“敵”ではありません。それは、あなたがこれまで一生懸命に走り続けてきた証であり、少しペースを落として自分をいたわるための、優しいお誘いです。
「この雨が上がったとき、どんな自分でいたい?」。そう自分に問いかけながら、温かい飲み物でも淹れてみてください。捉え方ひとつで、梅雨の景色が「静寂と安らぎの時間」へと、美しく塗り替わっていくはずです。




