『気がかりゼロ』著者・山田智恵(やまだ ともえ)さん

『気がかりゼロ』は、「人生を変えよう」と背中をぐいっと押す、いわゆる啓発本ではない。
自己肯定感や“理想の自分”といった言葉に、少し疲れてしまった人でも、力を抜いて読める一冊だ。
山田さんが教えてくれるのは、「気がかり」をやさしく整理し、少しずつアタマとココロの中から解放していくメソッド。
なぜ「気がかり」は発生するのか?
「なぜ気がかりが発生するのか」を山田さんはこう説明してくれる。
「ヒトってどんな小さな事でも、やるって『決める』こと自体にエネルギーがとっても必要なんですよ。だから、つい忙しかったり元気のない時には後回しにしちゃう。でもアタマやココロの中にはびっちり貼りついたまま残っていて、それが『気がかり』になっちゃうんです」
歯医者の予約やサブスクの解約、片付け……どれもすぐにできることばかりなのに、つい放置してしまう。
なるほど、後回しにしてしまうのは「エネルギー不足」というわけか。
まずは書き出してアウトプット
「まずは“気になっている”ということに気づくのが大切です」
アタマの中から外に出すアウトプットを山田さんは推奨する。
「自分でできる」「他者も関わる」、「すぐ終わる」「時間がかかる」を、それぞれ縦横に軸を取り、4つのゾーンに仕分けていく。
このワークシートは、事柄の大小にかかわらず、気になっていることを全て可視化するためのものだ。
実際に見せてもらったシートには、「コットンを買う」と「起業について考える」が同じ紙の上に並んでいた。

スケールは違うが、アタマの中ではどちらも同じ「気がかり」の1つ。しかも、実は小さなことほど長い期間「気がかり」となってしまうらしい。
山田さんの場合は?

「私は、すぐ解決できることに、なかなか手が出ないタイプなんです。だってスーツケースのタイヤを8年も壊れたままにしていたんですもん!」
そんな告白を聞いて一気にハードルが下がった。
「壊れたサンダルを捨てる」「鍋の取っ手のネジを締める」、そんなカッコ悪いことでも、書き出していい。
タスクではなく、あくまでも「気がかり」だから、「後回しにしていること」でいいのだ。
「気がかり」の正体を仕分けする
ワークシートで仕分けてみると、解決する方法が見えてくる。
歯医者なら電話1本、5分で予約が完了だ。
一方、家族や実家の問題は、自分ひとりでは進められないし、今日明日中に答えがでる問題でもない。
「進まない=自分がダメ」ではなく、「時間がかかる問題」だったり「ひとりじゃ解決できない事柄」とわかるだけでも、少し気持ちがラクになる。
1つでもできたら後は…
「0.1歩でもいいから、とにかく動くこと。すると、自分が自分をちゃんとコントロールしてるっていう感覚が持てるんです。1つでもできたら、もう後はカンタン。あれもこれも……って、どんどん片付いていきますよ」
朗らかに話す山田さんのスーツケースは無事に8年越しに修理に出され、快適な使い心地になったそうだ。
「ああ、なんで放置してたんだろう」
そう思った直後から、遠方へ出向くことが増えたという。
軽井沢での同窓会、名古屋での講演会、そしてついにはパリにまで!
「気がかり」をひとつ片付けて、山田さんの人生は文字通り転がり出したというわけ。
スーツケースのタイヤといっしょに……。
■「気がかりゼロ」
単行本(ソフトカバー) – 2025/12/19
山田智恵(著)
https://d21.co.jp/book/detail/978-4-7993-3267-2






