口に出さなかった嫌な気持ちはどこへ行く?
幼いころから空気を読んだり、人の表情をよく見ている小6の長女。最近、仲良しの友達と遊んで帰ってきたのに表情が曇っていたので、「何かあった?」と尋ねると、「別に」と。そしてしばらくしてから、「ちょっと嫌だなって思うことがあったけど、悪気があって言ったわけじゃないと思うし、もう大丈夫」と明るく話す。悪口を言わないのは長所だと思うけど、我慢してないかな?
今の教育は、昔以上に“ちゃんとした反応・ちゃんとした気持ち”に重きが置かれています。
- 相手を傷つけない。
- 悪口を言わない。
- 気持ちを想像する。
このようなスキル教育はもちろん大切です。
しかし、人一倍気を遣いやすい子にとっては、その傾向をさらに強めてしまう側面もあるのです。
本音が見えづらくなっている子に対して、どのような関わりをしていけばよいのでしょうか。
「本音」より、‟適切な感情”を選ぶ子どもたち
本音が見えにくくなりやすい子は、批判されたくない、周囲から浮きたくないという気持ちから、
- 嫌だったけど「気にしてない」と言う
- 嫉妬しているけど「応援しなきゃ」と思う
- 腹が立ったけど「こんなことで怒る自分がダメ」と抑える
など、“不適切に見える感情”を内側で処理することが多いです。
このような子は、正しい感情を育てるのではなく、“自分の感情を添削せずにいられる時間や場所の確保”が必要。
家庭ではどのような関わりができるでしょうか。
「ちゃんとした感情」に寄せすぎないために、家庭でできること
言葉だけでなく、‟反応の遅れ”を見る
「大丈夫」「別に平気」と言われると、それ以上どう声をかけたらよいかわからないと悩む親御さんは多いです。
しかし、「何も話してくれない=お手上げ」ではありません。
本音がでにくい子は、時間差をつけて感情を表していることがあります。
たとえば、
- 学校では楽しく過ごしているようだが、帰宅後は無口になる日が多い。
- 「楽しかった」と言っていたのに、夜になると急にイライラする。
- 部活の練習がきつくなると、朝お腹が痛くなりやすくなる。
時間差で表れる違和感に気づいてあげられると、子ども自身も気づいていない「無理」が見えてきます。
「その考え方、えらいね」で終わらせない
自分の本音より周囲の空気や相手を優先する癖が身についている子は、大人顔負けの諦めスキルを身につけています。
しかしそれが、‟本当に納得した感情”なのか、‟そう考えるべきだと思っている”のか、本人もわからなくなっているかもしれません。
そこで親が、「そう考えられるなんて大人だね」「優しいね」と終わらせると、子どもはさらに“ちゃんとした感情”へ寄せていきます。
そのため、
- 「頭ではそう思ってる感じ?」
- 「ママだったらちょっとイラっとしちゃうけどな」
- 「ちゃんと理解しようとしてるけど、気持ちは追いついてる?」
と、‟理解”と‟感情”を分けて聞いてみてください。
人は‟正しく理解したこと”と、‟感情的に納得していること”が一致しないことがあるからです。
「いい子っぽい感情」に安心しすぎない
周囲からよい子に見られやすい子ほど、感情を飲み込みやすい子である場合も多いです。
- 本当は嫌でも笑う。
- 納得してなくても合わせる。
- 傷ついても「大丈夫」と言う。
このような癖が気にかかったときは、大人が気持ちを汲み取ってあげるのも大切です。
「誰かに合わせすぎて疲れてない?」「本当は断りたいのにちょっと我慢してない?」など、“無理してうまくやってる部分”に目を向けるのが大切です。
「ちゃんとした感情」ではなく、「本音に気づく力」を育てていく
「〇〇ちゃんは、空気清浄機みたい」「〇〇くんがいると場が和む」
周囲から求められ、褒められる“適応的なよい子”は一定数います。
しかしその適応力は持って生まれた素質ではなく、自分の中の何かを押し殺したり、飲み込んだりして身につけた力かもしれません。
その子自身の感情フィルターは見つめられているかな? 汚れやくすみに気づけているかな? と気にかけてあげることが何よりの支えとなっていくでしょう。



