自己肯定感を育てたはずなのに…。失敗を恐れる子になる意外な理由|臨床心理士解説

家族・人間関係

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2026.06.20

臨床心理士・公認心理師のyukoです。最近の子育てでは“自己肯定感”がキーワードになっています。しかし最近は、「自己肯定感を下げないように」が強くなりすぎ、失敗できない空気が生まれることも。自己肯定感とは“常に自信があること”ではありません。今回は、自己肯定感の誤解について、考えていきます。

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「自己肯定感を育てるための声かけ」をしてきたつもりだったのに……

娘が幼いころから、できたことはたくさん褒める、失敗しても否定しないなど、自己肯定感が育つような関わり方を心がけてきた。しかし娘が小6になった今、クラスの係決めで「選ばれなかったら嫌だから人気ないのにする」、スピーチを控えていると「うまくできないかも」と言うなど、いくら励ましても、「どうせ私は」と自信をもてない自分に落ち込むこともある。

一人佇む子ども出典:stock.adobe.com

自己肯定感を育てようとしてきたはずなのに、なぜか自信が育っていない気がする。
そんな戸惑いを感じる親御さんは、少なくありません。
背景には、「自己肯定感」という言葉の捉え違いや、子どもにとって必要な力の見落としがあるかもしれません。

「自己肯定感」と「自信」は少し違う

「自己肯定感=自信をもつ」と捉えている方が多いのですが、「自己肯定感」と「自信」は少し違います。

自信は、「私はできる」という感覚。
一方で自己肯定感は、「できる日もあれば、できない日もあるけど、それでも自分は自分」という感覚に近いもの。
「自己肯定感を育てる」を「自信をなくさせないこと」と捉え違えてしまうと、子どもとの関わりにズレが生じてきてしまいます。
親が「あなたはできる子」「自信をもって!」と言いすぎると、子どもは逆に「失敗しそうなことを避ける」など、自信を失わないための行動をとりやすくなることがあるんです。

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本当に育てたいのは、「高い自己肯定感」ではなく「自己回復力」

失敗から立ち直るプロセスに注目する

  • 友達とケンカした
  • 発表で失敗した
  • テストで思うような点数が取れなかった

失敗を経験したときに、「大丈夫だよ」「自信なくさないで!」と励ますだけだと、‟失敗はよくないもの”、‟自信を持ち続けなくてはいけない”と感じてしまいます。

小学校低学年~中学年くらいまでは、「悲しかったね」「次はどうしたらいいかな?」と寄り添って一緒に考えていくのが支えとなります。
高学年以降は、自分で気持ちを立て直す力を育てていけるとよいでしょう。
「辛かったね、そのあとどうした?」「どうやったら気持ちを立て直せそう?」と子ども自身に考えさせる問いかけがあると、自分で内省して回復する力が育ちます。

ソファで会話する親子出典:stock.adobe.com

「自信があるからやる」以外の選択肢をもつ

「自信をもって」「きっとできるから大丈夫」などの言葉は一見前向きな励ましに聞こえますが、‟成功”に重きを置いた言葉です。
つまり、‟自信があればできる→自信がもてない→できないかもしれないならやめる”になってしまうことがあるんですね。

たとえば、

  • 「仕事で突然リーダーを任されて不安だったけど、やってみれば意外となんとかなるもんだね」
  • 「学生のころは何も考えないで、とりあえずやってみたかったスポーツに挑戦してたよ」

など、"自信は関係ないけどやってみるという選択肢”をもてるような話を伝えられるとよいでしょう。

会話する親子出典:stock.adobe.com

先日活動を終了したあるアイドルグループのメンバーも「できるか、できないかではなく、やるか、やらないか」と話していました。
一歩踏み出したいときは、「とりあえずやってみる、やってから考える」力も必要なんですね。

子どもの自己評価を、すぐに否定しない

子どもに自信をもってほしい気持ちから、失敗を否定してしまうことがあります。

たとえば、

  • 「今日の発表、うまくいってなかったよね」→「そんなことないよ! 十分できてた!」
  • 「部活で私だけついていけてないんだ」→「十分頑張ってる! あなたはできてるよ」

自己評価を上げようと前向きに励ますばかりだと、子ども自身の評価とズレが生じてしまいます。

そのため、「ママはそう思わなかったけど、どんなところがそう感じた?」「そっか、悔しい感じ? もう嫌だ、辞めたいって気持ち? それ以外?」など、本人の気持ちは否定せずに受け止める関わりがあると支えになります。

会話する親子出典:stock.adobe.com

自己肯定感とは、常に前向きでいることや自信満々でいることではありません。
落ち込んでも、失敗しても、恥ずかしくても「まあ大丈夫か」と立ち直り、また前を向いていける感覚に近いものだと考えます。
「まあいっか」「とりあえずやってみるか」「次がある」
そんな風に回復する力を育てていけるといいですよね。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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