冷蔵庫は「魔法の箱」ではありません!
コロナ禍で外食がなかなかできず、テイクアウトやデリバリーの需要が増えていることが注目されています。「お店の味」が気軽に自宅で味わえるので、多くの人が活用しているのではないでしょうか。しかし、テイクアウトで自宅に持ち帰った食品はすぐに食べるのが鉄則です。
お店側としても清潔な環境で調理し、正しい温度管理をするなど最善の対策をとっているはずなので、購入した消費者としても、悪い環境に置きっぱなしにしたりせず、なるべく早く食べましょう。それが食中毒予防につながります。冷蔵庫ができるのは菌の増殖抑制のみ!
家庭における食品の安全を守る防波堤は冷蔵庫です。ですが、残念ながら食中毒菌やウイルスは冷蔵温度では死滅しません。菌の増殖が抑制されるだけです。実際に冷蔵庫の中でも増殖可能な菌(リステリア)による食中毒も起きていて、冷蔵庫はゼロリスクをもたらす魔法の箱ではないのです。
冷蔵庫保存をしておけば、消費期限や賞味期限を少しぐらい超過していても問題ないと考える人もいるかもしれませんが、食品や加工法、包装環境はさまざまで一概には判断できないものです。保存方法や注意点を確認したうえで保存し、開封後はなるべく早く食べるようにしましょう。残って冷蔵保存していたものも、なるべく早く、できれば再加熱して食べるようにしましょう。
買い物から帰ったらまず、冷蔵や冷凍の必要な食品は冷蔵庫へ「先入れ」し、万が一、入れ忘れて常温で放置してしまったものは、もったいなくても、直ちに破棄しましょう。
また、冷蔵庫へ食品を詰めすぎるのもよくありません。詰めすぎないことで「清潔な冷気の循環」が保たれるので、計画的な食材のストックを考えましょう。
お話を伺ったのはこの方
一色 賢司 先生
北海道大学名誉教授、放送大学客員教授
(一財)日本食品分析センター学術顧問
(一社)栄養改善普及会会長
食中毒を甘く見てはいけません。腹痛や嘔吐を引き起こし、場合によっては重症となり死亡する例も見られます。冷蔵庫や冷凍庫を活用していれば安全ではなく、食品を正しく清潔に扱い、保存方法や温度管理をいま一度、よく確認しなくてはなりません。ご注意ください!
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