狂犬病とは
狂犬病は、人獣共通感染症のなかで最も恐ろしいと言われ、感染症法の4類感染症にも指定されています。
犬、猫、人、家畜などのあらゆる温血動物に感染する強力なウイルス性の病気で、発病した犬の唾液中のウイルスが咬まれたり舐められたりした際に傷口などから体内に侵入することによって感染します。
まれに空中飛沫を通じて感染することもあります。
狂犬病に感染した犬は、睡眠障害や陰鬱状態の症状から始まり、鼻先に触れる全てのものに咬み付く狂気の状態へと移行します。
そして徐々に呼吸困難などの症状が現れ、水を飲むこともできずに眼が血走ったりよだれを垂らしたりと、目を覆いたくなるほど悲惨な状態が2〜3日続きます。
最後には、歩行不能や斜視の症状も見え始め、脱水症状を呈して痩せ衰えて死に至ります。
医学が発達した現在でも治療法はなく、人間も犬や猫なども狂犬病を発症した場合の致死率はほぼ100%です。
日本の狂犬病予防
日本では狂犬病を撲滅させるために“狂犬病予防法”が制定されています。
飼い犬に対して、年に1度のワクチン接種、放し飼いの禁止、野犬の捕獲などを行い防疫体制をとっています。
この効果もあり、長年国内での発生はありません。
「昔に流行った、今はもう関係ない病気」と思っている方も多いのですが、国内での発生がしばらく起きていないだけで他の国ではまだ多数の症例があり、2006年には海外で犬に咬まれ感染した数名が日本国内で発症し死亡した例は認められており、決して今の日本にも無関係な病気ではありません。
先ほども書いたように、飼い犬に対して年に1度の予防接種は法律で定められています。
これに違反すると20万円以下の罰金が科せられるのですが、近年は飼い主の意識低下や「義務付けられていることを知らなかった」というケースも増えていて、必ず受けなくてはいけないにも関わらず、今の日本での狂犬病ワクチンの接種率は50%以下ではないかと推定されています。
参考:東京都感染症情報センター「狂犬病とは」
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