【助産師に教わる性教育①】「性教育は恥ずかい」!?わが子に伝えたくなる命のはなし〜幼児期から思春期まで

家族・人間関係

2021.04.29 更新

広告

子どもが幸せになる「愛のストーリー」「命の誕生のストーリー」を聞かせて

『わが子に伝えたいお母さんのための性教育入門』P37 より

ーー具体的には、子どもに何を伝えればよいでしょうか?

直井先生:そうですね。では、たとえば「赤ちゃんってどうやってできるの?」と聞かれたとしましょう。年齢によっても異なりますが、たとえば5歳くらいの子どもで考えてみます。もしお子さんにそう聞かれたら、どう答えてあげたいですか?

ーーいやー、迷いますね。

直井先生:どう答えようかと躊躇してしまうのは、まるで「パパとママはセックスをしたの?」と聞かれている気がしてしまうからではないでしょうか。そう考えると戸惑うし、「まだ早い」とか、「パパに聞いて」とか、「そんなこと聞いたらだめ」と答えたくなってしまいます。でも、子どもはそんなことを聞こうとは思っていないんですよね。とくに小学校に入学する前くらいの子どもであれば、とっても素朴な疑問として聞いているだけなんです。

ーーと言いますと?

直井先生:ただ素朴に、ふしぎだなあ、あかちゃんはどこから来るのかなあという疑問なんです。

ではもし仮に、子どもから「お空はどうして青いの?」と聞かれたら、どう答えるでしょうか? 物理や化学を知らない子どもに向かって、「空には大気圏があって、紫外線があって…」なんて話はしませんよね。「どうして青いのかな、不思議だね」と答えるのではないでしょうか。これと同じだと考えると簡単ですよね。
5歳くらいの子から「赤ちゃんはどうやってできるの?」と質問されたら、「そうだね、不思議だね。赤ちゃんはどこから来てくれるんだろうね」と、まずはこれでいいと思います。そしてその先には、もっとワクワクする伝え方があるんです。

ーーなるほど。それは、どんな伝え方なんでしょうか?

直井先生:家族のストーリーとして話す伝え方です。ストーリーとは、夫婦が出会い、愛し合い、結婚して、妊娠したんだよ……のような。たとえば、「パパとママが結婚して、かわいい赤ちゃんが生まれるといいねと思っていたら、ママのおなかに来てくれたんだよ」という表現なら伝えやすいですよね。つまり、「赤ちゃんってどうやってできるの?」という質問に対して、性行為という「点」で答えるのではなく、長い「線」として答えるというイメージです。

そのような伝え方であれば、たくさんのエピソードが出てきますよね。「お腹にいたときに、体を冷やさないように気を付けたんだよ」とか、「元気な子が産まれますようにって神様にお願いしていたんだよ」のように。
「赤ちゃんってどうやってできるの?」という疑問を持ったときに、両親から大切に育まれた愛のストーリーとして話をしてもらえたらワクワクするのではないでしょうか。

ーー「愛のストーリー」ですか!

直井先生:はい。そのような「自身のルーツ」や「愛のストーリー」を話してもらった子どもは、「自分は愛されている」「大切にされてきた」と感じてくれると思うのです。
そして、その流れのうえで「性やいのち」についても親子で語る機会が増え、ポジティブなイメージが持てるようになれば、より理想だと思います。「愛のストーリー」の延長線上で生理や射精についても伝えていけば、格段に話しやすくなります。具体的には別の回でお話ししますね。

ーー「3歳からが理想」とおっしゃいましたが、子どもが小学生以上になっていても、遅くはありませんか?

直井先生:もちろんです。子どもが何歳だから遅い、ということは一切ありません。年齢に合わせて理解できる表現を見つけながら、ごまかさず、はぐらかさず、きちんと向き合うことが大切です。

先ほどのような「愛のストーリー」は子どもが幼い時期(小学校低学年くらいまで)が話しやすいかもしれませんが、子どもが思春期になってから話すことにも大きな意味があるんです。
全ての人には、認められたい、大事にされたい、愛されたいという欲求があります。「授かって嬉しかったよ」「成長がうれしいよ」という話を聞いてその欲求が満たされることで、自信がつき、自己肯定感が高まり、自分を大切にして他人を思いやれるようになるんです。
つまり、何歳になってからでも、その年齢に合わせた表現で伝えていくことを大切にしてほしいと思っています。

そんなふうに考えれば話しやすくなるし、子どもに伝えたい言葉が、たくさん浮かんできませんか?

 

※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。

広告
saitaとは
広告

人気記事ランキング

ランキングをもっと見る