【助産師に教わる性教育②】今どきの子どもたちのすごい性事情!性の知識教育は学校任せでOK?家庭でできることは

家族・人間関係

2021.05.18 更新

わが子の年齢が思春期に近づくにつれて、ますます気になる「性教育」。「学校ではどこまで習ってくるんだろう」「大事なことだけど、恥ずかしくて自分ではとても教えられない…」なんてモヤモヤしている方も多いのでは? 『わが子に伝えたい お母さんのための性教育入門』の著者、助産師の直井亜紀さんに「家庭でできる性教育」について伺いました。

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小・中学校や高校で「性」や「命」の授業をしている助産師の直井亜紀さんに、編集部がインタビュー。意外にも「自分にもできそう!」「簡単そう!」と思った「性」の伝え方を、3回にわたってお届けします。2回目の今回は、今どきの子どもたちの性事情や学校の性教育、そして、それを家庭でフォローする方法について教えていただきます。

今どきの子どもたちの性事情って? 衝撃の現実も!?

中高生の性行動経験率

ーー日本の子どもは、何歳くらいからセックスをしはじめるのでしょうか?

直井先生:日本性教育協会の調査(2017年調べ)によると、高校生の5人に1人がセックスを始めているようです。「今どきの子ども」とひとくくりに考えるのは乱暴ですが、はっきりしているのは、私たち保護者世代よりも、セックスをする年齢が早くなっていること。そして、セックスをすれば妊娠する可能性があるわけですが、10代の女の子が妊娠した場合、なんと半数以上の約60パーセントが中絶を選択している事実もあります。正しい知識を身につける前に性行動を始めていることは心配です。

ーー性感染症についてはどうですか?

直井先生:じつは、クラミジア感染症が10代の女の子にとても多いんです。多くの性感染症の中でも、10代の男女では圧倒的多数を占めているのがクラミジア感染です。欧米では10代の感染者がほとんどいませんが、日本ではとくに女の子に多いのが特徴です(2019年厚生労働省・性感染症報告数より)。

ーー10代のクラミジア感染が欧米より多いとは意外! 欧米人より、日本人の方が性行為に対して消極的なイメージがあったので…

直井先生:さらに衝撃的な事実をお伝えしますね。クラミジアとは粘膜と粘膜がこすりあうことでうつる性感染症なのですが、性器だけではなく、口の中やのども粘膜です。そして、クラミジアに感染している10代の女の子がどこにクラミジア菌を持っているかというと、なんと口の中なんです!なぜ口の中なのか…その先はご想像ください。

この衝撃的な事実の背景として、わたしは「禁止と脅し」の性教育も関係しているように思っています。つまり「セックスをしたらダメ、妊娠したら困るよ」というメッセージです。思春期になり性的な行為に興味をもち始めたときに「妊娠しない方法ならいいか」と考えてるとしたらゾッとしませんか?さらに女の子は症状がほとんど出ませんが、治療しなければ将来の不妊症や子宮外妊娠につながることもあるんですよ。

ーー性行為や避妊、性感染症についてきちんと具体的に学ぶ必要性を痛感します。では、子どもたちはどこでセックスの情報を仕入れるのでしょうか?

直井先生:セックスの情報を得る手段として「アダルト動画」が最も多く、「友人や先輩」「学校の性教育」「親」と続きます。とくに近年では「インターネットやアプリ、SNSなど」の割合が増えています(青少年の性行動全国調査報告より)。わたしたち大人世代が中学生の頃とは変わってきていますよね。もし20年前にアダルト動画を見ようとしたら、レンタルビデオショップに行き、「18禁」ののれんをくぐって…、とハードルが高くて勇気がいりましたよね。でも、今はどうでしょうか。スマホで簡単にアクセスできてしまいます。

しかし現実として、アダルト動画などは性商業でありフィクションです。いかに刺激的に、衝撃的にと作り上げた非現実的な内容であり、暴力行為や痴漢などの犯罪行為を演出したものもあります。このようなアダルト動画を小・中学生が見て、「これがふつうなんだ」と思ってしまったら心配ですよね。まだ「ノーマル」なのか「アブノーマル」なのかをジャッジする視点を身につけていない時期ですから。

ーースマホにフィルターをかければよいのではないでしょうか?

直井先生:もちろん物理的なフィルターをかけることも大事です。しかし第1回でお話ししたように、子どもの知的好奇心は物理的なフィルターを超えていくかもしれません。そこでわたしは、物理的ではなく心にフィルターをかけることを大切にしたいと考えているんです。

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