薬剤師に聞く「雨の日(低気圧)頭痛」の予防法
ーー雨の日やその前日に起こる頭痛について調べたところ、多くの人が悩んでいるのに対し、その予防や対処に関する情報がとても少なく感じました。ネットや図書館で調べると「雨の日には気圧が下がることから体調不良を起こすことが多い」ということが分かりました。普段の生活の中で「気圧」を感じることは殆どありませんが、エレベーターや飛行機で耳が痛くなる経験から「耳を攻略すれば何とかなるのでは?」と考えたのですが、どうでしょう?
齋藤友香理先生 以下、齋藤先生:内耳には気圧を感じるセンサーのようなものがあり、平衡感覚も担っています。耳に着目するのは正しいと言えるでしょう。耳には全身を調整するツボが集中していますが、直接見ることができないのでツボ押しが難しい場合もあります。手軽にできる方法として、耳マッサージをおすすめします。頭痛の他にも、疲れやストレスケアにも有効です。マッサージが面倒な場合は、適当にさすったりひっぱったりするだけでも大丈夫です。
『万能耳マッサージでトラブルケア』
手のひら全体で耳を覆い、上下や円を描くように軽くこするようなイメージで
親指と人差し指で耳をつまみ、外側に引っ張ると血液のめぐりが感じられてスッキリ!
ーーなるほど、耳のツボが多くあるせいか、触るだけでも気持ちがいいですし、引っ張ってみるとこめかみや頭、まぶたのあたりまでスッキリしますね。目覚めにも良いかもしれません。
齋藤先生:耳以外にも、雨の日に起こりやすいめまいや、頭痛などにも有効なツボに風池(ふうち)があります。首の後ろ、後頭部中央のへこんでいるところと、耳のうしろにある骨がでっぱっているところを結んだ中間にあります。ここに親指をあてて、小さく円を描くようにゆっくりと押しもみます。
※ 風池の詳しい解説は「緊張性頭痛」編に詳細を掲載。
第2の心臓!ふくらはぎ&足裏マッサージ
ーー「明日は雨予報」と知った夜、寝る前にふくらはぎを反対の膝に押し付けると血行が良くなり、頭痛が治まる、という友人がいるのですが、これには頭痛が緩和される根拠はありますか?
齋藤先生:ふくらはぎは第二の心臓といわれ、筋肉が収縮することで血液を上へと押し上げています。ふくらはぎの筋肉が凝り固まっていると、うまく収縮できず巡りが滞りがちになります。頭痛は血行不良が原因でも起こりうるので、ふくらはぎをもみほぐしたり、温めたりして血行を促すことは、頭痛ケアにつながります。
ーーもう少しツボのお話を伺いたいのですが、ふくらはぎと同じように足の裏も「第2の心臓」と言われていますね。こちらにも頭痛に有効なツボはありますか?
齋藤先生:既出の記事(「低気圧・雨天時でつらいとき。対処のポイントは水分代謝!)でも触れていますが、足裏マッサージももちろん有効です。足の指をギュッと縮めたときにできるくぼみ部分にある湧泉(ゆうせん)というツボを押すと、効果的です。いわゆる「むくみ」は頭痛の原因になりやすいので、水の巡りをよくするツボの刺激しましょう。水分は通常、身体の下の方に溜まりがちです。足裏やふくらはぎを揉んで水巡りを良くすることで、むくみだけでなく頭痛も改善することがあるんです。
ふくらはぎと太もものストレッチ
ーー同じく先生の既出の記事で、雨の日(低気圧)頭痛の予防として「運動をする」とあります。私は朝、少し頭痛がしてもランニングをすれば頭痛が無くなることが多いので実践していますが、例えば家の中でできるものなら、どのような運動が効果的でしょうか。
齋藤先生:片足を大きく前に出し、ゆっくりと前足に重心を傾けます。頭からかかとまでを一直線にするような気持ちで前傾姿勢をとり、かかとが床からなるべく離れないように注意して、両足行います。また、ふくらはぎに加えて太もももストレッチで伸ばすとさらに効果がアップします。まっすぐに立ち、ひざを曲げて後ろで足首をつかみ、ゆっくり引き上げます。数十秒キープしたら、反対側の足も同様におこないます。倒れないように反対の手で何かにつかまりながらやるといいですね。1日一回夕方に行うのがおすすめです。
ーー夕方でしたら、夕飯の支度をするときにテレビやスマホで天気予報をチェックして「雨予報」ならやってみる……と、習慣づけしてもいいですね。ちょっとやってみたんですが、どちらも足だけでなくく全身に血が巡るからか、とてもすっきりと気持ちが良かったです。
雨の日(低気圧)頭痛予防のまとめ
雨の日(低気圧)頭痛は、気圧が原因。まずは気圧を敏感に感じ取る「耳」マッサージをしたあとは、ふくらはぎや足裏のツボを刺激してみましょう。また、ふくらはぎと太もものストレッチは、夕方の家事の合間にルーティーンとして取り入れてもいいですね。情報が少ない「雨の日(低気圧)頭痛」予防ですが、セルフケアで元気に乗り越えましょう!
次回も齋藤先生に、雨の日(低気圧)頭痛への「身体の内側からの予防」について伺います。
お話を伺ったのは……薬日本堂・薬剤師 齋藤 友香理先生
東京理科大学薬学部卒業後、薬日本堂入社。10年以上臨床を経験し、平成20年4月までニホンドウ漢方ブティック青山で店長を務め、多くの女性と悩みを共有した実績を持つ。講師となった現在、薬日本堂漢方スクールで教壇に立つかたわら外部セミナーも担当し、漢方を学ぶ楽しさを広めている。また社員教育にも携わり、「養生を指導できる人材」の育成に励んでいる。