彼女の元には、30~40代の女性が多く訪れます。夫婦関係の悩みはその中でもトップクラスに多い悩み。そこで、実際に鎌田さんが「鏡学」を使いカウンセリングを行った、1組のご夫婦のお話を教えてもらいました。夫婦関係の悩みの中には、様々な「自分の課題」が見えてくるそうですよ
生活費を渡さない夫、それを言えない妻
相談者は、妻側の女性からのご相談でした。
「その方の悩みは『夫が生活費をくれないから、自分のパート代だけで生活をしている』ということでした。ここだけ見ると経済的DV、かなりシビアな問題です。パートナーシップがうまくいっていないため、『生活費をください』という言葉が、相手に伝えられていない状態でした。こういう方は、自分を自分でイジメてきてた方が多いんです」(鎌田さん)
相談者の方は元々キャリアウーマン。実際、出産後、専業主婦となったことで、自分の価値がなくなったと信じ込んでいたそうです。
「自分には価値がない」と思っていた相談者の方のお話をよく聞いてみると、「子育てだけに注力してしまい、今後自分はどうなるんだろう?」という、ミッドライフ・クライシス。
「自分は、夫から生活費をもらう価値もない。という思いが『鏡』となって、現実になってしまったと考えられます」(鎌田さん)
カウンセリングを通して、ご自身の中で起こっていた問題を認識できたことで、初めてちゃんと旦那さんに「生活費をください」と言えたそうです。その返事として、旦那さまからは驚くべき答えが返ってきます……
*ミッドライフ・クライシスとは……中年期特有の危機。心理や環境、体調の変化などで起こる不安定な心理状態のこと。
「えっ、もっと早く言ってよ」
相談者の方は、今まで何度かこの状況について、旦那さんに伝えてみたことがある、とおっしゃっていましたが、現実はそうではなかったようです。
「こんなに苦しい」「お金がない」とは伝えていたものの「生活費をください」と相手にどうしてほしいのかを伝えられていなかったんですね。
「今まではパートナーシップが成り立っていなかったんでしょう。自分の価値、経済状況、パートナーシップ、この3つはものすごく関係しています。おもしろいことに、悩みの根本的な原因がわかり、それと向き合うことで問題は解決されていくんです。人間は誰しも、原因がわからない時が一番不安で、怖くなりますから」(鎌田さん)
相談者のお悩みは、これで解決したわけではありません。この後に、かなり驚くべき展開が起こりました。
夫はうつ病を発症していた
経済的な不安が解消され、相談者の方は元気を取り戻します。家族が機能しだした実感もあるため、自己肯定感も上がったそうです。しかし、その一方で思わぬことが起こったのです。今度は旦那さまがうつ病を発症し、会社を退社する事態に……。
「本当のパートナーシップは、鏡そのもので『自分がつらい時は、相手もつらい』んです。相談に来たのは奥様でしたが、旦那さまも同じように悩んでいました。うつ病になる程つらかったから、生活費のことすら頭が回らなく、毎日が必死だったそうです」(鎌田さん)
その後、改善されたパートナーシップの中で、ご夫婦はお互いの本音で話し合い、奥さまが仕事に復帰。旦那さまはしばらく療養することになったのだそう。どちらか一方が「ツライ」と感じていたら、もしかしたらもう一人のほうも「ツライ」状況かもしれない。
夫婦は合わせ鏡のようだと鎌田さんは教えてくれました。
カウンセリングをもっと広げたい
「まだ日本では、カウンセリングを受けているというと、すごく悩んでいるとか、精神を病んでいるんじゃないか、という間違った印象になりがちです。でも、カウンセリングはご自身のメンタルコントロールをする手法のひとつなんです」(鎌田さん)
日本ではカウンセリングの代わりに「占い」に頼る人が多いんだとか。
「占いももちろんいいですが、カウンセリングも根本的な解決に近づく有効な手段です」(鎌田さん)
もっと気軽にカウンセリングに行くことが特別なことじゃないようになれば、もっと人生を前向きに楽しく生きられる人が増えるかもしれませんね。
もしあなたが「身近な人との人間関係でつらい」のなら、そこには「自分の悩み」が鏡のように映っているかもしれません。
教えてくれたのは:鎌田聖菜さん
鏡学カウンセラー。1984年生まれ。大学で臨床心理学を専攻。女優を経験後、美容業界へ転身。外見の美だけでなく内面の輝きと幸せの関係性に気がつき「鏡学」を確立。現在は、個人セッションだけでなく、美白コンサルタント、コラムニストとしても活躍。著書に「運命を変える鏡の本。」(サンマーク出版)