ポイントを押さえて、ふわっふわでジューシーな卵焼きを作ろう!
材料はこれだけ!
卵…3個
塩…1.5g
砂糖…2g
だしの素…0.5g
水…30g
ポイント1:ホイッパーで泡だてないよう混ぜ、卵黄と卵白を完全に一体化させる!
卵3個をボウルに割り入れたら、ホイッパーを使って混ぜます。最初に黄身を潰し、ホイッパーをボウルの底につけながら、卵黄と卵白が完全に一体化するまで、泡だてないように混ぜていきます。この時、空気を卵液に入れるように混ぜると、スフレのような食感になってしまうので、注意しましょう。
★一口メモ
卵黄と卵白が一体化していないと、焼いた時に、色がまだらになって、見た目が悪くなってしまいます。さらに、食感に影響する重要ポイントもあるんです。
卵黄と卵白は成分が違います。農林水産省によると、卵黄の成分は、約50パーセントが水分、約30パーセントが脂肪、約15パーセントがタンパク質です。これに対し、卵白は約87パーセントが水分、残りの12.5パーセントがタンパク質です。また、卵黄に含まれるタンパク質と、卵白に含まれるタンパク質は、種類が違います。
卵白のタンパク質は、アルブミン、グロブリンという成分が入っていますが、これらは空気を抱え込みやすい性質があります。
一方、卵黄には脂肪が含まれています。脂肪は、タンパク質が作り出す気泡を潰す性質があります。
卵をよく一体化させておかないと、卵黄と卵白の成分の違いから、固まり方にムラができ、食感が悪くなってしまうんです。
また、卵は泡立てて焼くと、卵白の成分によって卵が膨張し、形がでこぼこになって、食感もゴワゴワして悪くなってしまうので、泡立てないよう注意します。
ポイント2:少量の水を加えることで、ジューシーな卵焼きに! 調味料は水と混ぜてから投入
卵を混ぜる途中で、水に塩、砂糖、だしの素を加えたものを入れます。
卵がよく混ざったら、濾し器などで濾します。
★一口メモ
卵に水を加えることで、水分量が多くジューシーで、ふわふわの卵焼きになります。また、調味料は直接卵に加えるより、あらかじめ水に溶かしておいた方が、溶けやすくなります。
ちなみに、上白糖に含まれている転化糖は、加熱すると、卵に含まれているアミノ酸と反応し、卵焼きが焦げやすくなります。
同じ砂糖でも、グラニュー糖は、転化糖があまり含まれていないのでメイラード反応が起こりにくく、焦げ色がつきにくいので、デザート作りによく使われます。世界で「砂糖」といえば、グラニュー糖を指し、上白糖は、ほぼ日本でしか使われません。
ポイント3:中火で一気に焼いていく!
巻き鍋にキッチンペーパーで油適量を引いて中火にかけ、鍋をしっかり温めてから、卵を流し入れます。
★一口メモ
なぜ鍋をしっかり温める必要があるかというと、鍋と卵の温度差で卵が鍋にくっつきにくくなるということと、最短の時間で巻くことで、水分の蒸発を最小限にするためです。
弱火にしすぎると、加熱時間が長くなる分、水分が蒸発してパサついてしまうので、中火くらいで一気に焼きましょう。
また、ある程度火加減を強くすることで、卵が熱膨張してふっくらします。
ポイント4:卵が半熟の状態で巻いていく
余熱で卵に火が入っていくので、卵が半熟の状態で巻いていきます。巻く時にしっかり焼きすぎると、水分が飛んでパサついてしまうので、注意しましょう。
ポイント5:左手で鍋を持ち、遠心力を使って卵を返す
卵焼きは、右手の菜箸はそえるだけで、左手で鍋を上下させて巻いていきます。左手の遠心力で返していくイメージです。
ポイント6:卵液を鍋に入れる回数をあまり分散しない。卵3個の場合は、2〜3回で入れる!
卵液を鍋に入れる回数は、あまり分散しないようにします。卵3個であれば、2〜3回に分けて入れるように調整しましょう。これで、空洞ができにくくなり、水分の蒸発も防いで、水分量の多い卵焼きを作ることができます。
途中で卵が膨らんできたら、膨らみを箸で潰します。そのまま焼いてしまうと、やぶれて空洞ができ、食感や形が悪くなります。まき鍋からはみ出すくらい、ふわふわに仕上がりました。
ポイント7:熱いうちに巻き簾で巻き、アルミホイルで包んで形成
卵焼きは熱いうちに形を整えることで、見栄えがよくなります。アルミホイル、巻き簾、キッチンペーパーを順に敷き、卵焼きをキッチンペーパーの上にのせ、キッチンペーパーごと巻き簾で巻きます。熱いうちは形が変わりやすいので、キッチンパーパーで巻くことにより、表面がなめらかになります。
さらに、熱が逃げないよう、巻き簾の外側にアルミホイルも巻きます。この状態で30秒やすませてから切ります。やすませずに、巻き終わってすぐに切ると、旨みや水分が流れ出やすくなります。
時間がきたら、卵焼きを取り出して、切ります。
ふつうの卵焼きと比較すると、ここまで違う!
左が上の方法で作った卵焼き、右がふつうの卵焼きです。両方とも、使った卵は3個なのに、全くの別物です。
右のふつうの卵焼きも、卵3個を使い、味付けは塩、砂糖、だしの素です。
右の卵焼きは、菜箸で卵白を切るように混ぜ、卵黄と卵白が、完全には混ざりきらない程度にしました。焼く時は、鍋を弱火にかけ、卵を薄く引き伸ばして、しっかり固まったら巻く、という作業を繰り返し、卵液を4回に分けて巻きました。最後に、卵焼きが熱いうちに巻き簾で形を整え、すぐに切り分けました。
右のふつうの卵焼きは、色がまだらになっていますし、クレープのように、薄くしっかり焼きながら巻いて行ったので、中にたくさんの空洞ができています。
食べてみると、右のふつうの卵焼きは、水分が蒸発しているため、パサパサを超えてざらつきがあります。
左の卵焼きは、みずみずしいです。食感、ジューシーさ、だしの旨み、香り、すべてがいいです。全く別の料理です。
教えてくれたのは:岩野上幸生さん
YouTubeチャンネル登録者数23万人/料理人歴18年目/飲食店経営者
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