3 デマに踊らされない
誰でも手軽に情報発信できることから、中には間違った情報、いわゆるデマが横行しているのもネットの世界です。数年前には「ライオンが逃げた」という情報を多くの人が信じたことにより注意喚起のために拡散し、あとでデマと判明したことがありました。このような確信犯的なデマは以前より少なくなったようですが、最近では「お湯を飲めばコロナウイルス予防になる」といった情報が話題になりました。もともと発信している本人は、それを信じ、親切心から発信していて、その投稿を見た多くの人が「誰かに教えなきゃ」と正義感でさらに拡散させるケースが多いようです。
鈴木さんは「そういった情報というのはSNS上で一気に広がり話題になりますが、少し待っていれば誰かが検証してくれたりして、正しい情報が回ってくることがほとんど」と言います。反射的にリツイート(拡散)するのではなく、まずは注意深く真実を見極め、冷静に対処しましょう。
4 個人情報を晒さない
スマホの向こう側にいるのは、仲のいい友人だけではありません。不特定多数の人が、自分の発信した投稿、プロフィール、画像や動画を見ていることを忘れないようにしましょう。顔写真を見て目をつけられて、さかのぼって投稿を詳しく調べられたら、学校や最寄り駅が簡単にわかったことをきっかけに、待ち伏せ被害や最悪なケースだと性犯罪に及んでしまうケースも少なくありません。
投稿した文章だけでなく、画像にはさまざまな情報をたくさん散りばめられています。着ている制服で学校がわかってしまいますし、電信柱の住所、お店の看板、風景だけでもgoogle mapのストリートビューで簡単に特定されてしまいます。今はカメラの性能が高まり、瞳に映る風景やピースサインから指紋が判別されることもあるとか。直接、個人情報を書かなくても、過去の投稿や友人の投稿を組み合わせて考えれば、特定されてしまうこともあるので気をつけましょう。そして、意外と見落としがちなのが動画です。動いているため、わかりにくいですが、静止することで読みとれる情報もたくさん潜んでいます。必ず画像・動画を細かくチェックをしてからアップしましょう。
友人らのプライバシーにも配慮
さらに、友人や知り合いの子どもなどと撮った写真をSNSに挙げるのも要注意! 本人の了承を得るか、顔がわからないようにスタンプ処理をするなど、プライバシーの配慮を忘れずに。
そして、「うっかり個人情報を漏らしてしまいがちなのがコメント欄」と鈴木さんは指摘します。投稿に対するコメントで「●●ちゃん大きくなったね。もうすぐ入学かな」なんて書きこんでしまえば、その人の子どもの名前とおおよその年齢がわかってしまいます。投稿と違って投稿者と自分の会話だと錯覚してしまって、気が緩みがちですが、多くの人がその会話をみていることを忘れてはいけません。
5 誹謗中傷をしない
誰かを陥れるような書き込みをすることは、違反行為。たいていのSNSは規約の中で誹謗中傷を禁止しています。「ネットなら誰が書いたかわからない」と勘違いしている人もいますが、警察が動くような事件だけでなく、過去のさまざまな情報から書き込んだ本人が特定できてしまうことも数多くあります。実社会でもネットでも、やってはいけない行為は変わりません。自分にとって都合が悪い人や情報を排除するのではなく、上手にやり過ごしましょう
また、誰かが投稿した誹謗中傷などをリツイートすることもやめてください。リツイートした人もその誹謗中傷に加担していることになると、実際の裁判で判決が下されたケースがあります。話題になっているからといって、安易な気持ちでリツイートや引用ツイートはしないでください。
>>併せて読みたい:「SNSが原因で学校前に待ち伏せ被害!?」子どもに忍び寄るスマホの危険性3つ
今回教えてくれたのは…鈴木朋子さん
鈴木 朋子 さん
ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザー
メーカー系SIerのシステムエンジニアを経て、フリーライターに転身。SNSなどスマートフォンを主軸にしたIT関連記事を多く手がける。デジタルカルチャーを追い続け、スマホネイティブと呼ばれる10代のIT文化に詳しい。子どもの安全なIT活用をサポートする「スマホ安全アドバイザー」としても活動中。著作は『親が知らない子どものスマホ』(日経BP)、『親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本』(技術評論社)など、著書は監修を含め、20冊を超える。
「ホンマでっか!?TV」(フジテレビ)、「スッキリ!」(日本テレビ)、「ゴゴスマ」(CBCテレビ)、「ビーバップ!ハイヒール」(ABCテレビ)、「マサカメTV」(NHK総合)、などテレビ、ラジオ、新聞、雑誌などのメディアにも出演。
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「親が知らない子どものスマホ」
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SNSは人と人とをつなぐ便利なツールですが、一方で使い方を間違えてしまえば、簡単に人間関係を壊すことになりかねません。今回、鈴木さんにご紹介いただいたSNSの作法を実践し、顔の見えない文章でのやりとりという点、そして自分たちが知らない第三者がその投稿を目にしているかもしれないという点をしっかり理解した上で活用しましょう。