ポイント1:筋切りをていねいに
1.赤身と脂肪の間にナイフを入れ、筋切りします。
両面とも赤身と脂肪の境目にある透明の筋の部分に切り込みを入れます。包丁に引っかかる感覚や硬さを感じるはずなので、そういった部分を1回1回確かめながら、刃先で刺すようにして細かく筋切りしてあげるのがポイント。食べた時の歯切れがよくなります。筋以外の部分を切り過ぎると肉から旨味や水分が出てきて、衣が柔らかくなってしまうので注意しましょう。肉の周囲に骨などがある場合も取り除いておきましょう。
ポイント2:重量の0.7%の塩をすり込む
2.総重量の0.7%の塩を豚肉にすり込み、キッチンペーパーにくるんで冷蔵庫で1時間ねかせます。
人間の塩分濃度がだいたい0.8%程度と言われており、同じぐらいの塩分濃度にすると人は美味しく感じやすいと言われています。また、事前に塩をすり込んでおくことで、塩の浸透圧で余分な水分や臭みが抜くことができ、たんぱく質のねじれや縮みを抑え、肉の保水性を高める効果があります。衣もシナシナにならず、肉もしっとりジューシーに仕上がります。
ポイント3:肉をマッサージする
3.1時間後、冷蔵庫から取り出し、耐熱のジッパーの中に入れたら、肉をマッサージします。
赤身の部分は火が入ると水分が蒸発して繊維が固くなりがち。お肉の両面ともを指圧のように、優しくもみほぐすことで、ほどよく肉が柔らかくなります。脂身付近も同様にもみほぐしていきますが、強く押しすぎるとちぎれてしまうので軽くほぐしてください。マッサージが終わったら、平らに広がった肉をもとの形に戻しておきましょう。
ポイント4:低温調理
4.鍋に水を入れ、低温調理機を使って耐熱ジッパーに入った肉に火を通します。
肉の中心部が63℃に到達したら、そこから30分。
すぐに油で揚げてしまうと分厚い肉ほど中心に火が入るまでに時間がかかるため、全体の水分が蒸発しすぎてしまいます。ジューシーで旨味が凝集したとんかつを作るためには、低温調理でじっくり優しく火を通して、余分な水分の蒸発を防ぐ必要があります。
鍋のお湯の温度が64℃に到達したら袋ごと豚肉をお湯の中に入れていきます。袋に入った空気によって、浮いてくるのを防ぐため、水が入らないよう袋を開けたままお湯につけ、水圧で袋内の空気を抜いてからジッパーを閉めてください。真空に近い状態になったらお湯に沈めて、温めていきます。
袋を取り出し、豚肉の中心温度が63℃に到達したことを確認しましょう。低温調理機を63℃に設定して、さらに30分間、お湯に入れて低温調理していきます。