子どもが私立高校、私立大学に入学したけど、所得制限に該当して学費が高い!
今回のご相談者は40代主婦の方。お子さんが私立高校、私立大学に進学し、学費の負担が大きいにもかかわらず、所得制限に該当しているのこと。ご相談内容を見てみましょう。
教育費がかかり過ぎて困っています。二人の子どもが同時に私立大学と私立高校に入学したので、学費の負担がとても大きいです。もし公立高校に行っていても、塾代の負担が大きかったと考えると、公立高校にすればよかったとも考えられません。
所得制限に引っかかっているので、私立高校の無償化の対象にも奨学金の対象にもなりません。所得が高い分税金も高いのに、支援がなく、収入が高くても学費が高すぎて納得がいきません。
2人の子どもがそれぞれ私立高校、私立大学に通うと学費はいくら?
まず、2人の子どもがそれぞれ私立高校、私立大学に通うと学費はいくらになるのか確認してみましょう。
【2人の子どもが私立高校、私立大学に通った場合の学費】
- 私立高等学校(全日制) 96万9,911円
- 私立大学(1年目) 133万6,033円(授業料90万4,146円、入学金(初年度)24万9,985円、施設整備費18万1,902円)
- 私立大学(2年目~4年目) 108万6,048円(授業料90万4,146円、施設整備費18万1,902円)
※参考:文部科学省「平成30年度子どもの学習費調査」、文部科学省「私立大学等の平成30年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」
【2人の子どもが私立高校、私立大学に通った場合の学費(年間合計)】
・上のお子さんが大学1年生時(下のお子さんが高校1年生)…230万5,944円(月々約19万2,162円)
・上のお子さんが大学2年~3年生時(下のお子さんが高校2、3年生)…205万5,959円(月々約17万1,329円)
【下のお子さんも私立大学に進学と仮定した場合】
・上のお子さんが大学4年生時(下のお子さんが大学1年生)…242万2,081円(月々約20万1,840円)
・下のお子さんが大学2年~4年生時…108万6,048円(月々約9万504円)
2人のお子さんの学費の負担額は、月々9万円~20万円ほどになります。特に、今から4年後前後、上のお子さんが大学4年生、下のお子さんが大学1年生時の学費が最大になります。
所得制限に該当するといくら損をする?
所得制限に該当せず、「高等学校等就学支援金制度」や「私立高等学校等授業料軽減助成金事業(東京都)」の対象となった場合、以下の支援金や助成金が受給できます。
【高等学校等就学支援金制度】
■私立高等学校(全日制) 39万6,000円に該当した場合
3年間の受給額(子ども1人分) 118万8,000円
3年間の受給額(子ども2人分) 237万6,000円
【私立高等学校等授業料軽減助成金事業(東京都の場合)】
■高等学校等就学支援金制度(国) 11万8,800円
■私立高等学校(全日制・定時制の軽減額(年額))34万8,200円
合計 46万7,000円
3年間の受給額(子ども1人分) 140万1,000円
3年間の受給額(子ども2人分) 280万2,000円
※いずれも所得制限あり
お住まいが東京都であれば、子ども2人分で280万円の学費の負担が軽減されるのですから、大きいですよね。
所得が高いと働き損?
所得が高いと、税金が高いだけでなく、受けられるはずの支援も対象外となってしまうことが多々あります。
そのため、「ある程度の所得でおさめておいた方が得」、「所得が高くなりすぎるのは働き損」と考える人もいます。
しかし、所得が高いのですから、本来ならば、私立高校や私立大学の学費を支払うのが不可能な家計状況にはならないはずです。
また、所得が高い分、学費の支払いが終わった後の家計は立て直しがしやすい場合が多いはずなのです。
それでも、家計が苦しくなってしまうのは、本格的な学費の支払いが始まる前の、事前準備が足りなかった場合が多く見られます。
所得制限に該当すると考えられるときは、本格的な学費の支払いが始まる前に、「必要以上に生活水準を上げすぎない」「学費の計画を子どもが小さいころから立てる」といった工夫が必要です。
所得制限で支援金や助成金がもらえないときは
「所得制限になるほど所得が高いのだから、経済的にも余裕があるだろう」と考えられがちな高所得世帯ですが、実は苦しい生活をしている人も多く見られます。
相談者さんも所得制限に該当しているということですから、これから約7年ほどは学費の負担が重くなる時期です。学費の負担が大きく、納得がいかないと考える相談者さんの気持ちも理解できますが、今は学費の支払いに合わせた生活水準を維持できるように、まず工夫しましょう。
「学費の支払いにより貯蓄が底をついてしまう」、「借金をしないと学費が支払えない」といった問題のある家計に転落しないように注意し、学費の支払いが終わった後に高所得であるメリットを生かして家計を万全な状況に立て直していきましょう。