ポイント1:思い切ってアク抜きなし!
なすの鮮やかな紫色の皮にはナスニンという水溶性の色素成分が含まれていて、水に溶けだしやすい性質を持っています。また、なすの実の部分に含まれるクロロゲン酸は空気に触れると茶色く変色する性質を持っています。
こちらは苦み成分(アク)なので、一般的に調理前に水に漬けてアク抜きすることが多いのですが、皮の紫色が抜けていくってしまうので、よほどアクが強いなす以外は、アク抜きをせず、すぐに調理をしていくのも1つの手です。揚げびたしや炒め物など、なすは油でコーティングすることによって、苦味を直接感じにくくなる効果もあるので、油を使う料理のときは、思い切ってアク抜きを省いてOK。
アクの成分となる、クロロゲン酸はポリフェノールの一種なので、栄養的にはまるごと摂取するのがおすすめ。最近では、品種改良も進んでおり、アクが少ないなすも多いので、食材選びの参考にしてみてください。
ポイント2:中心に隠し包丁
なすは、中心部分が太く、中心に火が入る頃には、それ以外の部分に火が入り過ぎてしまうことになるので、火の通りを均一に近づけましょう。
縦半分に切った場合なら、中心の厚みのある部分に切り込みを入れます。切り込みの深さはなすの厚みの半分ぐらいまで、格子状に切り込みを入れていきましょう。見た目もよくなり、食べる時に箸で切りやすくなります。
ポイント3:素揚げで色が鮮やか
ポイント1で説明したようになすは、油との相性がよく、ナスのアクを感じにくくする効果があるのに加えて、紫色の皮の色落ちを防ぐ効果が期待できます。
皮に含まれるナスニンは水溶性なので、そのまま出汁で煮込んだりすると、色落ちしてしまいますが、なすを油でコーティングすることで、直接水分が皮に触れにくくなり、色が抜けにくくなるのです。180℃の高温の油で短時間揚げるのがポイントです。
どうしてもカロリーを抑えたい場合は素揚げでなくても、少量の油を使っての焼きナスがおすすめです
なすの揚げびたしの材料
- なす 1本
- 合わせ出汁 800ml
- みりん 100ml
- 薄口醤油 100ml
- かつお節 10g
作り方
1.合わせ出汁にみりん、しょうゆを入れてアルコール分がとぶまで火にかけてください。
2.火を止めてかつお節を入れて、3分待ったら、出汁をこして冷ましておきましょう。
3.乱切りにしたなすを素揚げしていきます。
4.なすの粗熱をとったら出汁に入れ、味が染みるまで冷蔵庫で入れておきましょう。
今回は、なすの色止めをご紹介しました。鮮やかな色味を保つには、「油」が決め手だったことがわかりました。なすと油は味としての相性も抜群なので、いいこと尽くめ。油のカロリーが気になる方は、油を使った焼きなすで対応してみてください。
また、ナスニンは水溶性なので、ご紹介したポイントを抑えていても、後半にご紹介した揚げびたしなどの場合、長時間、出汁につけ続けていると、なすの色が徐々に抜けていくので、できるだけ早く食べきるのがおすすめです。
今回教えてくれたのは、岩野上幸生さん
岩野上 幸生(いわのうえ こうせい)さん
1985年生まれ。長崎県出身。18歳から料理の修行を始め、24歳で独立。現在は東京で飲食店を複数手がける人気料理人となり、企業コンサルティングや料理の技術指導なども手掛け、マルチに活躍中。YouTubeチャンネルの「飲食店独立学校 /こうせい校長」では、さまざまな料理のテクニック、役立つ情報を発信している。