家具の転倒対策を忘れずに
『地震対策として、家具の転倒対策が最重要課題です』と草野さん。地震発生後の在宅避難にも大きく関わってくることになります。本書では、具体的にどのような対策をするべきなのかを各部屋ごとに、教えて頂きました。
リビングの地震対策
リビングには、テレビや照明といった、地震の揺れにより破損しやすいものが多くあります。
そこで草野さんは、テレビやデスクトップパソコンの下には、ジェルマットを敷き、さらに転倒防止ベルトをつけることを推奨されています。他にも、割れる恐れのある小物には、下に耐震ジェルや滑り止めシートを敷くだけで飛び出し防止にもなるそう。
滑り止めシートは100均で売っている、マットの下に敷くタイプでOKです。必要な大きさに切って使います。
また、『壁掛けの写真などは、クロスピンを使って補強すると多方向の揺れのダメージを抑える効果があります。よく似ていますが、画びょうは一方向に動いてしまうため抜けやすく、地震発生時には危険を伴う場合もあるので注意が必要』と草野さんはおっしゃいます。
壁に飾るものは額に入れず、パネル貼りにするなど、飛んできても危険がないものに替えましょう。
キッチンの地震対策
キッチンは、割れ物や刃物が多くある場所。転倒はもちろん、飛び出し防止対策をする必要があります。
冷蔵庫
冷蔵庫には段ボールで天井まで埋めておくと倒れにくくなります。段ボールの下は滑り止めシートを敷き、中身は割れ物ではない物を入れておくと良いでしょう。
さらに、冷蔵庫用の転倒防止ベルトを使って固定させるのがおすすめ。地震発生後の停電時に、冷蔵庫が無事だとそのままクーラーボックスとして数日間は使用できます。転倒防止ベルトはホームセンターで2000円前後で購入できるので、ぜひ取り入れたいですね。
また、飲み終わったペットボトルに水を入れて凍らせておくと、保冷剤としての効果も。冷凍庫の隙間に常時用意しておくと、停電時に安心です。
食器棚
食器棚の中には、ガラスや陶器などの割れる可能性のあるものがたくさん。そのため、『食器棚から飛び出させない工夫が大切』と草野さんはおっしゃいます。
食器棚の下にも、転倒防止プレートを敷きます。ガラス扉がある場合は、飛散防止シートを貼る、さらに耐震ラッチをつける、というように、二重三重の対策が効果的。
耐震ラッチとは一定の震度になると開かないようになる、扉の留め金です。ホームセンターなどで購入できます。
さらに、両開き扉の場合は、両方の持ち手を絡めるようにS字フックをつけるなんて驚きのアイディアも!扉が急に開き、中身が飛び出すのを防ぐ効果があります。
寝室の対策
『寝室の安全は最優先です』と草野さんはおっしゃいます。
阪神・淡路大震災では、家屋や家具の倒壊によって多くの人が犠牲になりました。
基本的に寝室には、高さのある家具を置かないことが望ましいです。家具の転倒で、扉が開かなくなり避難が遅れてしまうかもしれません。もし寝室に本棚や、高さのある家具があるなら、万が一倒れても安全な場所に移動しておきましょう。
安全な場所に移動させた本棚や、タンス、サイドボードなどの家具類には、転倒防止プレートを必ず敷きましょう。本の下には、滑り止めシートを敷いておくと本が飛び出しません。さらには、本棚の中の置き方次第で転倒を避けることができます。図鑑のような重みのある本は下の段に入れ、軽い本は上の段に入れておくと、転倒の可能性が低くなるそう。
ただし、どれだけ転倒防止対策をしていても、揺れ方によっては効果がないことも。「背の高い家具は倒れるもの」と思っておいた方がよいでしょう。
さらに、ベッドの下にペンライトとスニーカーを置いておくと、夜間に地震が発生した場合に役立ちます。
100均アイテムは防災対策に使えるものがたくさん!
冒頭で紹介した滑り止めシートや転倒防止プレートは、100均でも手に入る優秀な防災対策アイテム。他にも、紙コップや紙皿、ポリ袋やラップなど在宅避難を強いられたときに使えるアイテムがたくさん!
今回は、地震対策について紹介頂きましたが、本書では暴風や浸水などの災害別に、ためになる情報が分かりやすくまとめられています。
『天災は忘れたころにやってくる』と古くから言われているように、自然災害はいつ起こるか予測ができないからこそ、日頃からの準備が大切。定期的に自宅の防災対策を見直すとともに、もし災害が発生したらどうするかを家族で話し合う時間を持ってみてはいかがでしょうか。
教えてくれたのは……草野かおるさん
2018年に防災士の資格を取得。韓国の高麗大学でシンポジウムに参加し、防災についての講演をおこなったほか、「備蓄の日」の東京都主催・備蓄イベントなどに登壇。最新著書『おうち避難のためのマンガ防災図鑑』がある。
『おうち避難のための マンガ 防災図鑑』
著者:草野かおる
定価:1,430円(税込)